魅力は三谷編集による“展開の気持ちよさ”、テレビ初放送「風雲児たち」幸四郎が見どころ語る

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CS衛星劇場で5月1日にテレビ初放送される「《シネマ歌舞伎/三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち》」の主演・松本幸四郎のオンライン取材会が、去る4月22日に実施された。

シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」より。(c)松竹株式会社

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松本幸四郎

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シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」より。(c)松竹株式会社

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新作歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」は、みなもと太郎の歴史ギャグマンガ「風雲児たち」(リイド社)を原作に、三谷幸喜が作・演出を手がけた作品。2019年に東京・歌舞伎座で上演され、昨年10月にシネマ歌舞伎化された。劇中では、江戸を目指して伊勢を出発したものの、嵐に見舞われ、ロシア領のアリューシャン列島アムチトカ島に遭難してしまった乗組員たちの物語が描かれる。船頭の大黒屋光太夫(幸四郎)は、生き残った乗組員たちと、ふるさと・日本への帰国を目指すが……。

シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」より。(c)松竹株式会社

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幸四郎が、歌舞伎作品で三谷とタッグを組むのは、2006年に上演されたPARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」以来のこと。「三谷さんが歌舞伎座で歌舞伎を書かれるとのことで、まずは2人だけで会って話をしたのを覚えています。みなもと太郎さんの『風雲児たち』をやりたいというのは、そのときに聞きました。『風雲児たち』をどう歌舞伎化するかということに、不安よりかは、想像がつかないからこその興奮を覚えましたね」と三谷への信頼を垣間見せる。

シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」ビジュアル(c)松竹株式会社

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「台本をいただいた段階で、作品が面白くなるという確信を持った」と話す幸四郎は「(台本は)稽古が始まる前にはもうできあがっていて。歌舞伎の新作で、これだけ台本の内容をいじらない、というのも珍しいくらい、最初から完成度が高かったですね」と語る。「稽古では“どうやってドラマを作り上げていくか”ということに集中していました。三谷さんは、『テンポをこうして』といった細かな演出指示はあまりされない。なのにできあがると、ちゃんと“三谷さんのお芝居”になっているんですね。今思い返すと、すごいテンションで作品を作っていました(笑)。稽古場での凝縮された時間が、作品に表れているかと」と、懐かしそうに稽古を振り返った。

シネマ歌舞伎化にあたり、三谷は自ら映像編集にも携わった。幸四郎はこのことに「かねてから願っていたことでした」とほほ笑み、「三谷さんは、やはり映画監督としての視点で編集されている。実際の上演から、40分ほどカットされているのですが、それもおそらく、“映像で見せるなら”という思いから。舞台では味わえない、展開の気持ちよさが生まれて、ただたださすがだな、という気持ち」と三谷の手腕を絶賛した。

記者から役作りについて問われた幸四郎は、稽古前、実際に大黒屋光太夫の記念館を訪れたことを明かした。「彼はロシアに漂流した日本人の中で、唯一日本に帰還できた人ではありますが、徹底的に“普通の人間”なんですね。ものすごく良いことを言ったとか、すごいリーダーシップを持っていたというわけでもない。でもチームをまとめあげる力があって、誰とでも仲良くできる人間性の持ち主。決して“英雄”ではない、ということを意識して演じました。そこが彼の一番の魅力だと思っているので」と述べる。

また、市川染五郎演じる磯吉の成長も本作の見どころの1つだ。「染五郎の出演は、三谷さんからの直々のオファー。彼にとって、大きなチャンスだと思いました」と話し、「八嶋(智人)さんが、よく面倒を見てくださいました。お稽古が終わったあとにアドバイスしていただいたり、本番前に『今日はこうやってみようよ』と声をかけていただいたり。また、八嶋さんに『お芝居好き?』と問われて、染五郎が『好き』と返すやりとりもあって。八嶋さんとご一緒できた経験は、染五郎にとってとても大きかったのでは」と目を細める。「染五郎自身も役への思いが強かったようです。僕は気付けなかったのですが、千秋楽公演の幕が下りたあと、染五郎が泣いていたみたいで。“終わってしまった”という寂しい思いが彼の中にあったみたいですね。その思いは芝居をやるうえでとても大事。大きな経験になったかと」と父としての思いも声ににじませた。

さらに幸四郎は「1年遅かったら誕生していなかった舞台。今思い返すと、はるか昔のようにも感じます」と上演当時を振り返る。「でも、こういった状況でも、歌舞伎作品はまだまだ進化していると思っています。“この状況でできるものを”という思考ではなく、“自分が何をしたいのか”ということを、夢のようなことでもいいので、まず大きく掲げて、じゃあそのために今は何ができるのか、という思考を持っていたい。“どんな状況でも前を向く”ということは、自分にも言い聞かせていることでもあります」と言葉に力を込めた。

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CS衛星劇場 シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」

2021年5月1日(土)17:00~19:30

原作:みなもと太郎
作・演出:三谷幸喜
出演:松本幸四郎、市川猿之助、片岡愛之助、八嶋智人、坂東新悟、大谷廣太郎、中村種之助、市川染五郎、市川弘太郎、中村鶴松、片岡松之助、市川寿猿、澤村宗之助、松本錦吾、市川男女蔵、市川高麗蔵、坂東竹三郎、坂東彌十郎、松本白鸚
語り:尾上松也

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