CS衛星劇場で5月1日にテレビ初放送される「
新作歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」は、
幸四郎が、歌舞伎作品で三谷とタッグを組むのは、2006年に上演されたPARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」以来のこと。「三谷さんが歌舞伎座で歌舞伎を書かれるとのことで、まずは2人だけで会って話をしたのを覚えています。みなもと太郎さんの『風雲児たち』をやりたいというのは、そのときに聞きました。『風雲児たち』をどう歌舞伎化するかということに、不安よりかは、想像がつかないからこその興奮を覚えましたね」と三谷への信頼を垣間見せる。
「台本をいただいた段階で、作品が面白くなるという確信を持った」と話す幸四郎は「(台本は)稽古が始まる前にはもうできあがっていて。歌舞伎の新作で、これだけ台本の内容をいじらない、というのも珍しいくらい、最初から完成度が高かったですね」と語る。「稽古では“どうやってドラマを作り上げていくか”ということに集中していました。三谷さんは、『テンポをこうして』といった細かな演出指示はあまりされない。なのにできあがると、ちゃんと“三谷さんのお芝居”になっているんですね。今思い返すと、すごいテンションで作品を作っていました(笑)。稽古場での凝縮された時間が、作品に表れているかと」と、懐かしそうに稽古を振り返った。
シネマ歌舞伎化にあたり、三谷は自ら映像編集にも携わった。幸四郎はこのことに「かねてから願っていたことでした」とほほ笑み、「三谷さんは、やはり映画監督としての視点で編集されている。実際の上演から、40分ほどカットされているのですが、それもおそらく、“映像で見せるなら”という思いから。舞台では味わえない、展開の気持ちよさが生まれて、ただたださすがだな、という気持ち」と三谷の手腕を絶賛した。
記者から役作りについて問われた幸四郎は、稽古前、実際に大黒屋光太夫の記念館を訪れたことを明かした。「彼はロシアに漂流した日本人の中で、唯一日本に帰還できた人ではありますが、徹底的に“普通の人間”なんですね。ものすごく良いことを言ったとか、すごいリーダーシップを持っていたというわけでもない。でもチームをまとめあげる力があって、誰とでも仲良くできる人間性の持ち主。決して“英雄”ではない、ということを意識して演じました。そこが彼の一番の魅力だと思っているので」と述べる。
また、
さらに幸四郎は「1年遅かったら誕生していなかった舞台。今思い返すと、はるか昔のようにも感じます」と上演当時を振り返る。「でも、こういった状況でも、歌舞伎作品はまだまだ進化していると思っています。“この状況でできるものを”という思考ではなく、“自分が何をしたいのか”ということを、夢のようなことでもいいので、まず大きく掲げて、じゃあそのために今は何ができるのか、という思考を持っていたい。“どんな状況でも前を向く”ということは、自分にも言い聞かせていることでもあります」と言葉に力を込めた。
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CS衛星劇場 シネマ歌舞伎「三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち」
2021年5月1日(土)17:00~19:30
原作:
作・演出:
出演:
語り:尾上松也
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