H.G.ウェルズの短編をもとにした、藤倉大の新作オペラ「アルマゲドンの夢」来月上演

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オペラ「アルマゲドンの夢」が11月15日、18日、21日、23日に東京・新国立劇場 オペラパレスで上演される。

左から藤倉大、 大野和士、 リディア・シュタイアー。

左から藤倉大、 大野和士、 リディア・シュタイアー。

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藤倉大

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オペラ「アルマゲドンの夢」は、ロンドンを拠点に活動し、映画「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した藤倉大が作曲する新作オペラ。SFの父ことH.G.ウェルズの短編「アルマゲドンの夢」(邦題:世界最終戦争の夢)をオペラ化したもので、「紫苑物語」に続く同劇場の日本人作曲家創作委嘱シリーズ第2弾となる。クリエイティブチームには、台本のハリー・ロス、演出のリディア・シュタイアーが名を連ね、同劇場のオペラ芸術監督・大野和士が指揮を務める。

大野和士

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本作で藤倉は、フルオーケストラと合唱を伴うオペラ作曲に初挑戦。劇中では、「別時間から来た」という男の数奇な運命が描かれる。大都市へ向かう通勤電車の中で、若い税理士フォートナムは見知らぬ男に「その本は夢についての本か」と聞かれる。クーパーと名乗るその男は、「自分は夢の中で殺された、別の時間に生きていたのだ」と畳み掛け……。

藤倉は「『アルマゲドンの夢』は夢の物語であり、現実とは思えない世界を描いていますが、今日の社会にも強く結びついています。鏡のように今を映し出しているのです」と作品への思いを語っている。出演者には、ピーター・タンジッツ、セス・カリコ、ジェシカ・アゾーディ、加納悦子、望月哲也が名を連ねた。藤倉のコメント全文は下記の通り。

藤倉大コメント

「アルマゲドンの夢」は夢の物語であり、現実とは思えない世界を描いていますが、今日の社会にも強く結びついています。鏡のように今を映し出しているのです。

大野和士さんからの突然のメールで、僕の3作目のオペラ、それも合唱と管弦楽を伴うオペラの作曲を依頼された際、大野さんは現代に関連した物語を要望しました。

そこで僕は、H.G.ウェルズのこの短編がぴったりだと思ったのです。「アルマゲドンの夢」は2度の世界大戦よりも前に書かれた物語ではありますが、見知らぬ他人同士が電車内で交わす会話を通じて、戦時下における全体主義的な世界が描かれています。

僕はこの小説にすぐ夢中になりました。実は台本作家と僕は、通勤電車の場面で幕を開けるオペラを作りたいと、20年以上も思っていたのです! それから結局作らないままになっていたのですが、それは20歳の僕たちにはそのような作品委嘱の機会に恵まれなかったというだけでなく、電車の場面からどう物語を展開させていくか、うまく決められなかったからでもあります。

ですが今、オファーをいただいて、僕たちの物語は、電車の会話から近未来を予言する奇妙な夢の物語へと発展していったのです。

今回のプロジェクトで一緒に取り組むのは、台本作家のハリー・ロスと演出家のリディア・シュタイアーです。ハリーとは20年以上、多くの作品を作ってきた間柄です。リディアとはここ数年、共同で創作できるプロジェクトはないか探っていました。彼女がもつヴィジョンであれば、僕の音楽を躍動させることができると感じていたからです。

この作品では、通勤電車内のコーラスが、血なまぐさい軍隊のコーラスへと変化します。そのコーラスは、僕たち全員の未来を予感させるものでもあります……

このオペラではどの場面でも、夢のような情景が浮かんでは消えていきます。何が事実で、何が想像なのか、判然としなくなるのです。

未来的な動く廊下のシーンや、ダンスホールでの、H.G.ウェルズによれば「言葉で説明できないような」未来のダンス音楽もあります。

この未来の夢の世界には個性あふれる人物たちが登場し、彼らの感情や政治論が、叙情的なストーリーのなかで歌い上げられます。

この作品はオペラであるべきでした。この作品は、夢であるべきでした。その夢から、目覚めることができればと願っています。

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