「リチャード二世」が明日10月2日に東京・新国立劇場 中劇場で開幕する。これに先駆けて本日1日に、フォトコールと囲み取材が行われた。
今作は、2009年より上演が重ねられてきた、シェイクスピアの歴史劇シリーズの完結作。フォトコールでは約10分間にわたり、リチャード二世の王宮を舞台とした、冒頭の1シーンが披露された。ステージ前方には枯れ草だらけの野原を模した舞台美術が広がり、ところどころに色鮮やかな花が咲く。その上に1段高い木組みの舞台が設置され、中央に置かれた王座の前に貴族たちが集まった。
リチャード二世の前に召喚された2人の貴族、ノーフォーク公モーブレーとヘンリー・ボリングブルックは、王の前でにらみ合い、激しい言い争いを繰り広げる。ボリングブルックは、先ごろ暗殺されたグロスター公の死にモーブレーが関わっていたと告発するが、モーブレーはこれを否定していた。互いの足元を目がけて手袋を投げつけた2人は、決闘によって黒白をつけることになるが……。ボリングブルック役の浦井は、ひざまずいて冷静な口調で話しはじめるも、次第に感情を高ぶらせ、周囲の制止も聞かずに声を荒げていく変化を熱演。リチャード二世や王妃たちが見守る中で、かけあいがヒートアップしていく様子は、観る者に波乱の物語の幕開けを予感させた。
そのあと行われた囲み取材には演出の
浦井は「12年経つと先輩方もそのぶん年齢を重ねられ、深みが増して“ふかぶかしい”と言いますか……」と独特の言い回しで共演者を笑わせ、「先輩たちが発する1つの音が重い。『その1音を出したい』という憧れが(カンパニーの中に)たくさんあります」と真剣なまなざしを向ける。また、ボリングブルック役をかつて故・中嶋しゅうが演じていたこと、自身はその息子役を演じた経験があること、さらに美術の島次郎が昨年死去したことに触れて「輪廻と言いますか、見守ってくれていると思います。いろいろな思いを抱えながらみんなが前を向いていて、『演劇って素敵だな、絶対につながっていくんだな』という希望を感じるので、それに恥じないようにやっていけたら」と決意を述べた。
「こういう時期に、お客様の前で演じられて本当に幸せ」と言う王妃役の中嶋朋子は、「シリーズを12年続けているからこそ『あのときのあれはお前のせいだったんだね!』みたいな話になっていくのがすごく面白い。親戚の集まりではないですが(笑)、長年積み重ねてきたものを本当に尊く、ありがたく思う毎日です」と感慨深げな表情を浮かべる。さらに「皆さん変わっていないと言えば変わっておらず、それが素晴らしいところ。もちろん寄る年波はありますが(笑)、顔を合わせられるだけで本当に幸せです。先輩方にもとても元気をいただいていて、私も元気を差し上げねば!と自分を奮い立たせています」と笑顔を見せた。
鵜山は「初めは『ヘンリー六世』3部作だけで“たくさんだ”と思いましたが、いろいろな方の力でシリーズを続けてこられたことは大変ラッキー」とコメントし、「12年ずっと、王位を巡る話をやってきました。今回も端的に言えば『王位を譲れ!』『譲らない!』という、権力闘争の人間ドラマです」と本作を紹介。続けて、本作ではステージが草花に囲まれていることに言及して「花が咲いて実がなり、また葉が落ちるという世代交代や季節の変化も感じられる。自然の中で生きていく者の表情を見ていただけたら」と見どころをアピールする。またコロナ禍での上演については「(ウイルスを)あまり“敵”だと思っていない。よりいろいろなものを寛容に受け入れるためのものだと考えている」と持論を述べ、「最近は『人間のことだけ考えているとだめみたいだ』と痛切に思わされています。芝居はやはりそういう“エコー”を聞き、表現していかなくては」と言葉に力を込めた。
また囲み取材では、過去作から続投のキャストが多い中で初参加する
公演は10月25日まで。なお歴史劇シリーズの完結を祝し、特別イベント「シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映」が、27日から11月3日まで新国立劇場 中劇場で開催される。イベントでは2009年の「ヘンリー六世」と2012年の「リチャード三世」を上映。詳細は公式サイトで確認を。
演劇「リチャード二世」
2020年10月2日(金)~25日(日)
東京都 新国立劇場 中劇場
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出:
出演:
特別イベント「シェイクスピア歴史劇シリーズ映像上映」
2020年10月27日(火)~11月3日(火・祝)
東京都 新国立劇場 中劇場
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きたか @kitaka3104
囲み取材では初参加する原くんの話題も😊
【公演 / 会見レポート】歴史劇シリーズ完結作「リチャード二世」開幕に岡本健一「12年かけて本番に挑む」 https://t.co/5QJZLrzbYX