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国立劇場3月歌舞伎「義経千本桜」、“三役完演”の尾上菊之助「本当に夢でした」

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令和2年3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」取材会より、尾上菊之助。(提供:国立劇場)

令和2年3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」取材会より、尾上菊之助。(提供:国立劇場)

東京・国立劇場の3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」の取材会が去る2月14日に行われ、尾上菊之助が登壇した。

「義経千本桜」は、国立劇場では約19年ぶりの通し上演となる演目。菊之助は、佐藤忠信・源九郎狐、平知盛、初役となるいがみの権太の“三役完演”に挑む。また今回は、二段目(鳥居前・渡海屋・大物浦)をAプロ、三段目(椎の木・小金吾討死・鮓屋)をBプロ、四段目(道行初音旅・河連法眼館)をCプロと、各場面を3つのプログラムに分けて披露する。

菊之助は「『義経千本桜』で、この3役を演じるのが本当に夢でした。いがみの権太は初役です。今までお里や維盛をするたびに、先祖が作り上げた音羽屋の型の権太をいつか演じてみたいと強く思っておりました。『ぜひ鮓屋の権太を』という思いの中から、『千本桜』の3役をひと月の公演で演じられないか相談したところ、その姿勢が“挑戦する小劇場歌舞伎”というコンセプトにも合うことから、今回の公演が実現することになりました」と経緯を語る。

また菊之助は「父(尾上菊五郎)も権太は得意としており、“ごんたくれ”という、なにか憎めない悪党、いたずらっ子のようなところに面白さを感じています。そして一転、“もどり”では自分の家族を犠牲にして述懐する……何度見ても感情が溢れ出てくる大好きな場面です。父が受け継いできた音羽屋の権太に自分がどれほど肉薄できるかが、これからの自分の10年につながっていくという思いを持って勤めます」と意気込んだ。

続けて菊之助は「知盛(渡海屋・大物浦)は岳父(中村吉右衛門)から教えを受けたことを思い出し、また“四の切”(河連法眼館)の忠信は父から受け継いだものをしっかりと守って、勤めたいと思っております」と目標を掲げ、「知盛の前半は、変装している船問屋の亭主・銀平の砕けたところと大きなところ、正体を現してからは平家の武将・新中納言知盛として、大きさもありながら気品の漂う公家でいなければなりません。そして戦の場面になってからはテクニックではなく、自分の持てるものすべてをぶつけないと武将としての壮絶さを出すことはできません」と思いを語る。

さらに「”四の切”の忠信では、前半の佐藤忠信本人とは一転、後半は軽々と欄干を飛び越えていくような狐の身体使いや、狐言葉など、人間離れした役を演じなければなりません。それ程作者が創意工夫を込めて書き、先人たちが磨き上げてきたものですので、やはり体当たりでぶつかっていかないと役にはなりきれないと思います」と言葉に力を込め、「今まで歌舞伎をご覧になったことのない方もお誘い合わせの上、ご来場いただけると嬉しいです」と来場を呼びかけた。

3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」は3月3日から26日まで東京・国立劇場にて。なお本作は、「日本博」の参画プロジェクトとして上演される。

令和2年3月歌舞伎公演「通し狂言 義経千本桜」

2020年3月3日(火)~26日(木)
東京都 国立劇場

作:竹田出雲、三好松洛、並木千柳

Aプロ
伏見稲荷鳥居前の場
渡海屋の場
大物浦の場

Bプロ
下市村椎の木の場
下市村竹藪小金吾討死の場
下市村釣瓶鮓屋の場

Cプロ
道行初音旅 清元連中 竹本連中
河連法眼館の場

出演者

佐藤忠信実ハ源九郎狐 / 渡海屋銀平実ハ新中納言知盛 / いがみの権太 / 佐藤忠信:尾上菊之助
源義経:中村鴈治郎
武蔵坊弁慶 / 逸見藤太:坂東亀蔵
銀平女房お柳実ハ典侍の局 / 弥助実ハ三位中将維盛 / 静御前(河連法眼館):中村梅枝
主馬小金吾 / 駿河次郎(河連法眼館):中村萬太郎
片岡八郎:市村竹松
静御前(鳥居前)/ 弥左衛門娘お里:中村米吉
梶原の臣:市村光
銀平娘お安実ハ安徳帝:尾上丑之助
庄屋作兵衛:中村寿治郎
相模五郎 / 弥左衛門女房おくら:市村橘太郎
若葉の内侍:上村吉弥
梶原平三景時 / 河連法眼:河原崎権十郎
法眼妻飛鳥:市村萬次郎
鮓屋弥左衛門:市川團蔵
静御前(道行):中村時蔵
ほか

※2020年3月11日追記:3月3日(火)から3月19日(木)までの公演は、新型コロナウイルスの影響で中止になりました。

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