六月花形新派公演「夜の蝶」に向けて、本日5月29日、出演者の
第1回直木三十五賞を受賞した川口松太郎による小説「夜の蝶」は、昭和30年代に銀座で人気を二分していた、実在のクラブのママをモデルとした作品。1957年に単行本と映画版が発表されたほか、同年に東京・新橋演舞場で劇団新派により舞台版が上演された。
高級クラブ・リスボンのマダム、葉子を演じる雪之丞は、本作がかつて花柳章太郎と初代水谷八重子、水谷八重子と坂東玉三郎によって上演されたことを紹介して「今回は初めての、女方同士の『夜の蝶』。少しニュアンスの違うものにできれば」と意気込み、「女2人のバトルをしっかりとご覧いただきたい」とメッセージを送った。
一方の篠井は、舞妓あがりで銀座に新しくバーを構えるお菊役を担当。以前から新派の作品に憧れていたと言う篠井は、「歴史ある劇団新派に飛び込むのは勇気がいることでした。でも雪之丞さんの舞台はずっと拝見していましたし、(喜多村)緑郎さんや雪之丞さんがご一緒なら助けていただけるかと、甘えた気持ちで参りました」と雪之丞に視線を送る。また本作で描かれる“女の闘い”については「殴り合いはしませんが、独特の皮肉や嫌味から火花が見えたら面白いと思います(笑)」と見どころを語り、「エンディングではほっこりしていただけると思います」と期待を煽った。
篠井の“女方”としての魅力を尋ねられた雪之丞は、「花組芝居で女形をされていて、日本舞踊の基礎がおありですし、翻訳ものの作品にもたくさん出られている。“時代み”もあるし現代的なので、新派に合っていると以前から思っていました。今回ご一緒して、私の目に狂いはなかったと思っています」と篠井に信頼を寄せる。篠井は雪之丞の言葉を「すっごくうれしい」と受け止め、「『欲望という名の電車』のブランチをやっても、『ハムレット』のガートルードをやっても、僕のベースにあるのは日本の古典。それは、日本人の僕が日本のお客さんに日本で演劇を観ていただくためには、身体に古典の技術や素養があったほうがいいと考えているからです。雪之丞さんがそんな僕を『新派に向いている』と言ってくださるとは……理解者でいてくださったのですね」と笑顔を浮かべた。
また取材会では、2人が役作りに向けて意識していることについても語られた。雪之丞は「『夜の蝶』は“もはや戦後ではない”というフレーズが出回った頃に発表されましたが、女性が一国一城の主としてバーを経営するのは、戦前から考えれば大きな変化だったのでは」と話し、「葉子もお菊も、自分の店を堅持していくための責任がとても重かったのだと思います」と分析する。篠井も「僕が上京してきた頃は、夜10時頃に電車に乗っている女性って1割くらいだったように思います。でも今は夜でも乗客の半分は女性ですから、時代が変わったなと」と語り、「夜の蝶」の時代について「当時は『女性が人の上に立って仕事なんてカッコいい!』という憧れがあったのだと思う」と話す。さらに「彼女たちがどれだけの苦労や根性で店を経営していたのか、という認識を持って演じたい」と意気込みを述べた。
本作の出演者には、ほかに喜多村緑郎、瀬戸摩純、山村紅葉らが名を連ねている。公演は6月6日から28日まで、東京・三越劇場にて。なお6月10日11:00開演回と18日11:00開演回の終演後には、アフタートークが行われる。
六月花形新派公演「夜の蝶」
2019年6月6日(木)~28日(金)
東京都 三越劇場
作:川口松太郎
脚色・演出:成瀬芳一
出演
白沢一郎:喜多村緑郎
葉子:
お景:瀬戸摩純
お春:山村紅葉
お菊:
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