「唐版 風の又三郎」が、本日2月8日に東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕する。これに先駆け、昨日7日に公開ゲネプロが行われた。
精神病院から逃げてきた青年・織部と、宇都宮から流れてきたホステスのエリカは東京の下町で出会う。“風の少年”に憧れる織部は、その面影をエリカの中に見出し、一方のエリカは自衛隊の練習機を乗り逃げした恋人を探す道連れとして織部を利用するが、探し当てた恋人はすでにこの世の人ではなく……。
昨日公開されたのは、本作の1幕部分。柚希はよく通る声とくるくる変わる表情を武器にエリカ役を熱演し、金が「ファンタジックホラー」と評する唐の幻想的な世界を彩る。窪田はエリカに翻弄される純真な青年を、長い手足を使って全身で表現し、物語を牽引した。さらに北村、
ゲネプロの前には窪田、柚希、北村、風間、そして金が取材に応じた。窪田は「(2013年の唐作、蜷川演出『唐版 滝の白糸』出演以来)おそらく6年ぶりにBunkamuraに来ましたが、どこかで蜷川さんが観てるんじゃないかなという感覚がすごくあります。思い出を大切に、とか引き継ぐ、とかいう綺麗事ではなく、やってきたことが自然と身体に染み付いていたんだなと思いました」と心境を語り、「わからない世界に飛び込んでみたいと思い、今回お仕事させていただきました。“唐版”が身体に入ってきたような、言葉には表せない何かを感じられたのがすごく楽しくて、今ワクワクしています」と気合を見せる。
今回、アングラ演劇に初出演となる柚希は「私にとっては大挑戦。右も左もわからないところからお稽古が始まりましたが、大先輩にいろんなことを教わりながら、今日まで来ることができました。本当に緊張するんですけど、エネルギーを持って丁寧にやってみようと思います」と瞳を輝かせた。
金は「素晴らしいスタッフとキャストが集まって、演出冥利に尽きるとはこのことかなと感じます」と満足げな表情を浮かべる。そして、「出演した2人(森田剛と宮沢りえ)は今、幸せになっていますが」と笑顔で前置きしながら、「16年にはピンチヒッターとして『ビニールの城』の演出をしました。蜷川幸雄と唐十郎という2人の師匠から何を受け継ぐか。シアターコクーンでこの取り組みを継続していこうと、(プロデューサーの)故・佐貫こしのさんに5本選んでいただきました。これが1本目で、あと4本残っています」と次回作に向け期待を煽った。
ここで柚希が、「稽古から衣装を着させていただけるのにびっくりしました。これはアングラ演劇には関係ないんですか?」と金に視線を送る。金は「蜷川さんの稽古はジャージNG。本読み1回で、2日目から衣装をつけて立ち稽古。そういうスタイルだったので僕も受け継いでいます」と笑顔で答え、「つか(こうへい)さんはジャージでやってますけどね(笑)」と続ける。すると風間が、「それが衣装だからね(笑)」とツッコみ会見場を和ませた。
最後に出演者を代表して柚希が、「唐十郎さんの世界観をぜひ体感しにいらしてください」とコメント。窪田は「このBunkamura シアターコクーンが紅テントに変わります。ぜひ観ていただけたら」とメッセージを送り取材を締めくくった。上演時間は休憩2回を含む約3時間を予定。東京公演は3月3日まで行われ、3月8日から13日には森ノ宮ピロティホールにて大阪公演が行われる。
Bunkamura 30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「唐版 風の又三郎」
2019年2月8日(金)~3月3日(日)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
2019年3月8日(金)~13日(水)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
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