来年2019年4月から9月にかけて東京、愛知、大阪、福岡、北海道で上演されるミュージカル「レ・ミゼラブル」の新キャスト発表記者会見が、本日10月10日に東京都内で行われた。
ヴィクトル・ユゴーの小説を原作とするミュージカル「レ・ミゼラブル」では、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に、当時の社会情勢や民衆の生活が描かれる。ミュージカル版は1985年のイギリス・ロンドン公演に始まり、日本では87年6月に帝国劇場で初演。以降も上演を重ね、日本での上演回数は現在までに3172回を数える。
本日の会見では、1万通以上の応募から抽選で選ばれた約300人のオーディエンスが見守る中、オーディションを経て出演をつかんだ出演者たちが登場。ジャン・バルジャン役の
佐藤は「いつかは挑戦してみたい作品でしたが、正直こんなに早く受かると思っていなかったので焦っています。スキルと内面が伴うよう、本番に向けてがんばりたい」と言葉に力を込める。国立音楽大学出身の佐藤が、技術的にも難しいと言うジャン・バルジャンの歌唱曲について「感情と技術のバランスが難しい。音大を出ていると技術に走りがち」と苦笑いを漏らすと、東京藝術大学で声楽を学んだ隣の上原が「わかるー」と頷き、会場は大きな笑いで包まれた。
上原は2011年にアンジョルラス役で本作に初参加して以来、ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」ダントン役や「スカーレット・ピンパーネル」ロベスピエール役など、革命を先導する役柄を多く演じてきた。ジャベール役での出演には「革命を鎮圧する側に回りました!」「2幕でジャベールが『昔は俺も戦った』と言いますが、説得力が出せる」と話して会場を笑わせる。今回の役替わりについては「ありがたいことでしたが『あぐらをかきたくないな』と思い、違う役に挑戦したくなった」と心境を明かし、「まったく違う『レミゼ』の景色が観られるんじゃないかな」と期待を語った。
佐藤と上原のやり取りを受け、「僕は彼らと違って“芸大”ってやつに行ってないんで、(歌の)技術を習得しなきゃいけない」と茶目っ気たっぷりに話す伊礼は、初めての観劇以来、ジャベール役にあこがれていたと語り、「思いのほか早くたどり着けました」と出演の喜びをにじませる。そして「ミュージカルの中でも芝居を大事にしている」と述べると、村井國夫が歌うジャベールのCDを聞いたと言い、「イヤホンから届く村井さんの声から、ものすごく芝居の要素を感じて。『俺もこういう役者になりたい』と思った」と感動を語った。出演に向けては「自分が持っている“ワイルド感”や“イケメン感”“悪役感”といった引き出しを、すべて駆使して挑みたい」と、冗談を交えつつ意気込んだ。
「『えっ!? まさか濱めぐがレミゼに』と皆さんも驚かれたと思う」と笑い交じりに話す濱田は、昔から観劇していたと言う本作について「観客として観るものだと思っていた」と述べた。今回のオーディションに際しては「最後のチャンスだと思った」「逃したら後悔しながら舞台に立ち続けることになる。だめならだめでいいけど、トライしなければ」と決意したことを振り返り、ファンテーヌについては「子供を大切にしていて、彼女の女性としてのあり方や価値観に共感できるところもあった」と所感を語り、「自分の転換期になる作品だと思います。今まで経験した役や人生をすべて投入して、ファンテーヌを心から愛していきたい」と力強く述べた。
「歴史ある素晴らしい作品に出演させていただけることをうれしく、光栄に思います」と真摯に述べるのは屋比久。昨年本作を初めて生で観劇したと言う屋比久は「舞台が生ものである意味とエネルギーをビシビシと感じた」と感動を語る。エポニーヌ役を演じるにあたっては「選んでいただいた責任を強く感じる」と真剣なまなざしを見せ、「役と向き合って、作品の世界で1日1日を大切に生きたい。劇場でお会いできる日までに、今より何倍も成長したい」と抱負を述べた。
三浦は本作を初めて観劇した際、感激のあまりもう1度チケットを取って観に行ったと明かす。本作のオーディションを「泣きそうになるくらい、『うわあできなかったなあ』と思った」と回顧する三浦は、「絶対に次はもっとできるようになってやろうと思ったんですが、選んでいただけた。万全の状態で本稽古に挑みたい」と力強く意気込み、「まだまだ経験も浅く未熟な自分ですが、すべてマリウスに注いでいきたい」と抱負を述べた。
3歳頃に初めて本作を観劇したと話す熊谷は、「家のソファを舞台代わりに、毛布をフランス国旗だと思いながら『レミゼ』ごっこをしていた」とエピソードを明かす。オーディションでは演出家の指示のもと、「通訳さんを高校の友達に見立てて、恋バナをするようにうきうきしながら『プリュメ街』を歌った」と話し、コゼットについては「好奇心旺盛なところが自分にも似ている」と分析。出演に向けては「素晴らしい大先輩の方々からいろいろ学んで、全力で演じたい」と笑顔を見せた。
続いてテナルディエを演じる斎藤が「今回コゼット役で……」と冗談を飛ばすと、伊礼ら共演者たちが「違う違う違う違う!」と、口々にツッコんで会場を笑わせた。「大先輩の方々に囲まれて緊張している。歯が痛い」と胸の内を告白する斎藤は、「『あらびき団』の10倍くらいの人数のスタッフさんたちが見ていて、『嘘だろ?』と思いました」と、お笑いネタ番組を引き合いに出しながらオーディションを回顧。役作りに際しては「手探り」と言い、「街で足を引っかけたりして役作りしている」「オーディションでは『フリースタイルダンジョン』みたいになった」と笑いを交えつつ、「責任重大で自分には見合っていないとわかっているんですが、このお仕事で成長させてもらえると思う」と真摯なまなざしを見せた。
ミュージカル初挑戦の朴は「四十代半ばでまさか」と出演への驚きを語る。オーディションの誘いを受けた際は断ることも考えたと話しつつ、「演劇集団 円を昨年退所して独立したばかり。チャレンジしてもいいのかなと思った」と心境を振り返る。オーディション当日については「緊張しすぎて、帰って寝たかった。これはだめだと思いながら会場に行きましたが、歌唱指導してくださったスタッフさんたちが親のような目で見守ってくださって……それでスイッチが入りました」と裏話を語り、「新たな扉を開くことができたら」と出演に向けて期待を寄せた。
小野田は、「『レミゼ』はほかのどの作品よりも観ているし、音楽を聞いています」と作品愛を語る。15歳のときに本作のオーディションを受けたと言う小野田は、最終選考まで残ったものの「若すぎるので、20歳を過ぎたらもう1度来て」と告げられたと話す。その後「ミス・サイゴン」に出演した際に海外からのスタッフに「『レ・ミゼラブル』には興味がないのか」と尋ねられたことをきっかけに改めて出演を目指したと明かし、「携わることができるのがまだ信じられないですが、うれしくて身の引き締まる思い」と笑顔で喜びを述べた。
「レ・ミゼラブル」は4月15日から18日の東京・帝国劇場でのプレビュー公演に始まり、4月19日から5月28日に同劇場で東京公演を行う。その後6月7日から25日まで愛知・御園座、7月3日から20日まで大阪・梅田芸術劇場メインホール、7月29日から8月26日まで福岡・博多座、9月10日から17日まで北海道・札幌文化芸術劇場 hitaruで上演される。東京公演4月分チケットの一般販売は19年1月26日に、5月分は2月9日にスタート。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」
2019年4月15日(月)~18日(木)※プレビュー公演
2019年4月19日(金)~5月28日(火)
東京都 帝国劇場
2019年6月7日(金)~25日(火)
愛知県 御園座
2019年7月3日(水)~20日(土)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール
2019年7月29日(月)~8月26日(月)
福岡県 博多座
2019年9月10日(火)~17日(火)
北海道 札幌文化芸術劇場 hitaru
原作:ヴィクトル・ユゴー
作:アラン・ブーブリル、クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:
翻訳:
訳詞:岩谷時子
キャスト
ジャン・バルジャン:
ジャベール:川口竜也、
ファンテーヌ:知念里奈、
エポニーヌ:昆夏美、唯月ふうか、
マリウス:海宝直人、内藤大希、
コゼット:生田絵梨花、小南満佑子、
アンジョルラス:相葉裕樹、上山竜治、
テナルディエ:駒田一、橋本じゅん、KENTARO、
マダム・テナルディエ:森公美子、鈴木ほのか、
ほか
※朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記。
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