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戦争に翻弄される朝鮮半島の日本人妻たち、てがみ座「海越えの花たち」

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てがみ座「海越えの花たち」ゲネプロより。(撮影:田中亜紀)

てがみ座「海越えの花たち」ゲネプロより。(撮影:田中亜紀)

去る6月20日、東京・紀伊國屋ホールでてがみ座「海越えの花たち」が開幕。ステージナタリーでは、同日に行われたゲネプロの様子をレポートする。

脚本をてがみ座主宰の長田育恵、演出を木野花が担当する本作では、在韓日本人妻たちの収容施設・慶州ナザレ園にまつわる物語が展開。キャストにはてがみ座の石村みか、箱田暁史、岸野健太、実近順次のほか、KAKUTAの桑原裕子内田慈西山水木、FUKAIPRODUCE羽衣の日高啓介半海一晃中西良太が名を連ねた。

物語の中心となるのは、朝鮮半島の南側のとある村。時は第二次世界大戦が終わる直前、日本から嫁いできた千賀は、出征中の夫の帰りを待ちながら家作と平穏に暮らしていた。しかし終戦後間もなく周囲の村人たちは豹変し、家財道具を奪おうと家に押し入ってくる。それでも夫の帰りを待つため、村で暮らし続けることを宣言した千賀。彼女のもとにはやがて、終戦と同時に夫に捨てられたユキ、広島で被爆した夫と終戦後に帰国してきた多満子、朝鮮戦争で夫や子供と生き別れたあつえ、といった日本人妻たちが集まってきて……。

本作では第二次世界大戦だけではなく、朝鮮戦争、さらにはベトナム戦争と、戦争に翻弄されながら生きる日本人妻やその周辺の人々が描かれる。本編には朝鮮半島の民族音楽や当時の流行歌が挿入され、時代の移り変わりと、彼女らが朝鮮半島で過ごした長い時間が表現された。

キャストたちは戦争の中で生きざるを得ない女性たちの切実さを張り詰めた雰囲気で演じつつ、日常の場面ではユキの作ったマッコリに舌鼓を打ったり、家作の姜が発する下ネタに大きな笑い声を上げたりと和やかな表情を見せる。石村は、傷付いた朝鮮人の夫に献身的に尽くして頑なに朝鮮に留まろうとする千賀を、静かな佇まいと激しく悲痛な泣き声で表現。また桑原は、自暴自棄になりかけながらも、酒造りに希望を見出すしたたかなユキを好演する。そして内田は夫を守るために奮闘する多満子を力強く演じ、西山はあつえが韓国に留まることを決意する様を、悲しくも爽やかな表情で表した。

上演時間は休憩なしの約2時間15分。公演は6月26日まで行われる。

てがみ座「海越えの花たち」

2018年6月20日(水)~26日(火)
東京都 紀伊國屋ホール

脚本:長田育恵
演出:木野花
出演:石村みか、箱田暁史、岸野健太、実近順次 / 桑原裕子内田慈西山水木日高啓介半海一晃中西良太

※日高啓介の「高」ははしご高が正式表記。

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