ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」が東京・帝国劇場で4月9日に開幕した。ステージナタリーでは、8日に行われたゲネプロの模様をレポートする。
本作は、フランス革命の激動の最中に生まれた愛を描くミュージカル。2012年にフランスで誕生し、15年4月に宝塚歌劇月組が上演、16年には東宝版の初演が行われた。今回の上演版では、宝塚版、東宝版の初演に続いて
舞台は18世紀末のフランス。貴族が贅沢に溺れる一方、民衆は貧困に苦しんでいた。ある日、兵士たちの理不尽な取り締まりに抗議したことで、ロナン(小池)は目の前で父を銃殺されてしまう。敵討ちを誓ってパリへと向かったロナンは、革命派のロベスピエール(三浦)、ダントン(上原)、デムーラン(渡辺)らと出会い、革命への情熱を燃やしていく。一方、王太子ルイ・ジョセフに養育係として仕えるオランプ(神田)は、マリー・アントワネット(凰稀)とフェルゼン(広瀬)の逢瀬を手引きするためにパレ・ロワイヤルへ来ていた。ひょんなことからアントワネットをつけ狙う一味との騒動に巻き込まれたロナンとオランプは、運命の出会いを果たす。
農民や街の人々の色あせた服装に対して、貴族の衣装にはレースやフリル、金糸があしらわれ、大きな貧富の格差をうかがわせる。夜会のシーンでは、豪奢なドレスをまとったアントワネットが舞台上方からゴンドラで登場。そこでアントワネット役の凰稀は、ベルサイユ宮殿をイメージした鏡を使用した舞台装置を背に、色鮮やかなドレスの貴族たちと華やかなパフォーマンスを繰り広げる。また、民衆が怒りと不満を爆発させて革命へと向かっていく様を、キャスト陣はエネルギッシュなダンスで表現。市民が王や貴族に抗議を行う球戯場の場面では、民衆が力強く足を踏み鳴らす振付を披露し、会場を盛り上げた。
さらに、ラマール(坂元)ら秘密警察3人組のコミカルな立ち回りも見どころの1つだ。僧侶、貴族、平民が一堂に会する三部会の場面では、議場に立つルイ16世やロベスピエールらを人形に見立て、秘密警察の面々が彼らの身体を操作しながらセリフを代弁する。ラマール役の坂元らは、観客の笑いを誘いつつ、会議の顛末を滑稽に表現した。
ロナン役の小池は、実直な農民が革命に向かう過程を熱くまっすぐに演じる。激しいアクションやパワフルなダンスを交えながら、切実に自由を希求する若者を体現した。神田は聡明で誠実なオランプを知的に演じつつ、アントワネットへの忠誠心とロナンとの身分違いの恋心に揺れる様子を細やかに表現。また裾の大きく広がったドレスを優雅にさばく凰稀は、フェルゼンとの恋に悩みながらも、妻、母、フランス王妃として生きる道を選ぶアントワネットの気高さを、儚い表情で繊細に表した。さらに三浦、渡辺、上原の3人は革命派の面々を力強く演じ、吉野や岡もロナンらを迎え撃つ王族、貴族として貫禄たっぷりの佇まいを見せた。
対立する身分の壁を越え、強く惹かれ合うロナンとオランプ。2人を主軸に、激動の時代の中でお互いを求め合う恋人たちの姿が、アップテンポなポップスやロックナンバーなど現代的な楽曲群に乗せてドラマチックに描き出された。バスティーユへの襲撃を前に、革命派の恋人たちが激しいダンスと共に披露するナンバー「サ・イラ・モナムール」を、ぜひ劇場で堪能しよう。
上演時間は25分間の休憩を含む約3時間。東京公演は5月12日まで帝国劇場で行われ、その後6月2日から25日まで大阪・新歌舞伎座、7月3日から30日まで福岡・博多座で上演される。
※初出時より、本文の表現を一部変更しました。ミュージカル「1789 -バスティーユの恋人たち-」
2018年4月9日(月)~5月12日(日)
東京都 帝国劇場
2018年6月2日(土)~25日(月)
大阪府 新歌舞伎座
2018年7月3日(火)~30日(月)
福岡県 博多座
潤色・演出:
キャスト
ロナン:
オランプ:
マリー・アントワネット:
ロベスピエール:
ダントン:
デムーラン:
ソレーヌ:
アルトワ:
ラマール:
フェルゼン:
ペイロール:
シャルロット(トリプルキャスト):佐藤芽佳、田島凛花、山口陽愛
ルイ・ジョセフ(トリプルキャスト):陣慶昭、寺崎柚空、中村琉葦
※高橋祥太の「高」ははしごだかが正式表記。
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