「散歩する侵略者」前川知大と黒沢清が松田龍平を絶賛「まんま真治」

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映画「散歩する侵略者」の劇場公開に向け、原作者である劇団イキウメの主宰・前川知大と、映画版の監督を務めた黒沢清の合同取材が7月に行われた。

左から前川知大、黒沢清。

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前川知大

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「散歩する侵略者」は、劇団立ち上げから2年目の2005年に初演され、イキウメと前川の名を広く知らしめた作品。その後、たびたび上演を重ねているが、今回が初の映画化となる。

黒沢清

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映画化について前川は「期待することしかなかった」と即答する。「監督が『侵略SFとしてやりたい』『小説版にも演劇にも書かれていない侵略シーンを画にしたい』とおっしゃっていたので、『ああ、そうか、そこまで描くんだ』と。もし最初に小説版を書いていたら僕もそういったシーンを書いたのかもしれないけれど、演劇では考えなかったので……」と思いを語る。実際に映画版を観て、「侵略シーンの、得体の知れないものが来たっていう感じがすごく面白かった。そこまでのストーリーを、小説版に忠実に丁寧に描いてくださったのもすごいなと思いました。ストーリーは同じなのに、演劇とはまったく違うものになっていることに驚きましたね」と笑顔で述べる。

前川知大

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一方、本作の小説版を読んだ際に、“映画っぽい物語”と感じ、7、8年前から映画化を考えていたと語る黒沢。「物語が前に前にと進んでいき、『この先どうなるの?』と思わせる作品。“先が観たい”と思うのは観客の素直な欲望だと思うので、そこが映画に向いているなと。それと、まず演劇として誕生し次に小説になったことが大きいのでしょうが、意外とコンパクト。そこが映画にしやすそうだなと感じました」と語る。

黒沢清

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撮影現場には前川も訪れたと言い、「真夏の暑い日だったんですけど、撮影の待ち時間、真治役の松田龍平さんがテントの下で椅子に座って、やや猫背でアイスクリームを食べてたんですよ。本当に虚空を見ながらアイスを食べていて、その姿が『まんま真治だ』って(笑)。衝撃でした。不思議な存在感ですよね」と語ると、黒沢も「松田さんは“今できたての人間”みたいにニュートラルに演じるんですよね。びっくりしました」と大きく頷く。さらに黒沢はほかのキャストにも触れ「長澤(まさみ)さんは、本当にうまいんですよ。あまりに美人過ぎちゃって、普通の街の中に立ってると違和感があるんですけど、本人もそれをよくわかっていて、泥臭いというか、美人であることをかなぐり捨てたような芝居を平気でやってくれました。長谷川(博己)さんは本当に映画好きな人で、今回初めてご一緒したのですが、撮影中も前からの知り合いようにペラペラぺらぺらと雑談してしまいました(笑)」とエピソードを披露した。

最後に作品にちなみ「奪われたくない概念は?」と記者が質問すると、「難しいですね」「答えるのがちょっと恥ずかしい」と2人は苦笑い。少し考えた後、前川が「概念じゃないですけど、煩悩みたいなものを奪ってくれたらいいなと思いますね。嫉妬の概念とか。でも奪われたら、面白くなくなっちゃうのかな。創作意欲がなくなっちゃったり……」と答えると、黒沢も「ありえますね。いじいじと人のことが気になってしまう、これがなくなればいいと思うけど、なくなった瞬間に映画なんか撮る気がしなくなるかな(笑)」と続け、和やかに対談は終了した。

映画『散歩する侵略者』は9月9日に公開。なお、「イキウメ」による舞台版が10月から12月にかけて東京・大阪・福岡にて上演される。

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イキウメ「散歩する侵略者」

2017年10月27日(金)~11月19日(日)
東京都 シアタートラム

2017年11月23日(木・祝)~26日(日)
大阪府 ABCホール

2017年12月3日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場

作・演出:前川知大
出演:浜田信也安井順平盛隆二森下創大窪人衛 / 内田慈松岡依都美栩原楽人天野はな板垣雄亮

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