大竹しのぶ、平岳大、門脇麦ら「フェードル」に全力「エネルギーを放出します」

栗山民也演出「フェードル」が明日4月8日に東京・Bunkamura シアターコクーンにて開幕する。これに先がけ昨日4月6日には公開稽古が行われた。

フランスの劇作家ジャン・ラシーヌが、古代ギリシャの三大詩人であるエウリピデスの悲劇「ヒッポリュトス」から想を得て書いた本作。立派な王テゼを夫に持つ人妻フェードルが抱く、義理の息子イッポリットへの禁断の思いが描かれる。稽古前には出演者の大竹しのぶ、平岳大、門脇麦、キムラ緑子、今井清隆が取材に応じた。

主人公・フェードルを演じる大竹は、本作を「人を愛するってこんなに激しいことなんだ。命を賭けて愛するってなんて清々しいんだと思える作品」とアピール。さらに「お芝居は役者の身体と声で、天国にも地獄にも行けるし神様とも話ができる。そんなお芝居の力を信じさせてくれる作品にしたいんだって栗山さんがおしゃっるので、そこに近付けたら」と真摯に語る。

フェードルの恋敵となるアリシー役を演じる門脇は、「なんとなく見えている到達点に、たどり着けなくて苦しい。仕事を始めて5年ぐらいですけど、『一体5年間、何してきたんだろう、自分』と思いながら、毎日やっています」と、初挑戦となる古典劇の難しさを語る。大竹との共演については「実は一緒のシーンが無くて……」と残念がり、大竹も「つまんないね」と相槌。2人で顔を見合わせて、微笑み合う一幕も。「本当に。一緒のシーンがあればよかったと思います」と語る門脇の表情は、俳優としてさらに高みを目指す、覚悟と自信を感じさせた。

自身の役どころを「42歳の、恋をしたことが無い王子です（笑）」と説明する、フェードルの義理の息子・イッポリット役を演じる平は、大竹演じるフェードルの愛情表現について「怖いです（笑）」と感想を即答し、大竹以外の共演者たちの笑いを誘う。大竹は「怖がってるのわかります」とふくれて見せ、「麦ちゃんとのシーンを観ると、『そりゃこっち選ぶだろう』と思いますよ」と笑う。さらに大竹は平の父（平幹二朗）とかつて映画で共演したことがあることを明かし、「お父様の最後の舞台を観に行ったときに、楽屋で『今度息子をよろしくね』って言われました」と振り返った。

フェードルを愛し守り抜く乳母・エノーヌ役を演じるキムラは、大竹との創作の日々に瞳を輝かせる。「昨日しのぶさんと2人で、『その日その日のライブ感覚でやれたら』となったので、それに応えたいと思います」と意気込む。フェードルの夫・王テゼ役を演じる今井清隆は、「（妻と前妻の息子の恋のいざこざに挟まれるという）経験が実生活でないので、どうしていいかわからず役作りに悩んでいます」と笑った。

最後に大竹が「私たちが劇場という空間の中で、血が駆け巡るようなエネルギーを放出します。しかと受け止めてもらって、皆さんに『生きてるんだ』って思ってもらえたら。愛することに臆病になっている若者には、『傷ついてもいいし、失恋したって憎んだっていいから、人を愛そう！』って思ってもらえたらうれしいです」と挨拶し、取材は締めくくられた。上演時間は約2時間10分を予定。公演は30日まで。