現在上映中の「ブラナー・シアター・ライブ」の関連企画として、1月7日にシネ・リーブル池袋にて、英米文学研究を専門とする翻訳家の水谷八也によるトークショーが行われた。
俳優・映画監督の
トークの冒頭で司会進行役の演劇ライター・大堀久美子は、ケネス・ブラナーがなぜ昨年2016年に「エンターテイナー」を上演したのか、その背景について水谷に疑問を投げかける。水谷は「エンターテイナー」の初演が1957年だったこと、その前年にスエズ動乱があったことに触れ、「イギリスはそれを機に、ヨーロッパの列強の中から本格的にダメになっていきました。
作者のジョン・オズボーンは、「怒りをこめてふり返れ」で知られる、イギリス現代劇を代表する作家。水谷は今年2017年7月に新国立劇場 小劇場にて上演される「怒り~」の新訳を手がけており、オズボーン作品を考える上で、彼が労働者階級の出身である視点は重要だと指摘する。「それまでのイギリスの演劇界では、ノエル・カワードやテレンス・ラティガンのような、中産階級とか上流階級の、“茶の間劇”と言われるものばかりだったんですね。その中で『怒り~』は、労働者階級出身の夫ジミー・ポーターが、中産階級出身の妻アリソンを四六時中罵るという、まったく毛色の違う芝居だった。規制のものや先行世代に対して、若い人が怒りをぶつけるという芝居です。オズボーンはそういう苛立ちを、ずっと持ち続けていたのだと思います」と語る。「ただそれと同時に、ミュージックホールのような民衆の芸術の中にこそ、信頼し得るものがあるのだという目線もある人物だった」と続け、そんな彼の複雑さが、膨大なセリフと熱量で綴られる作風に反映されていると指摘した。
またトークの最後には、
ブラナー・シアター・ライブ「エンターテイナー」
作:
演出:ロブ・アッシュフォード
出演:
「怒りをこめてふり返れ」
2017年7月
東京都 新国立劇場 小劇場
作:ジョン・オズボーン
翻訳:水谷八也
演出:千葉哲也
出演:中村倫也、中村ゆり、浅利陽介、三津谷葉子、真那胡敬二
関連記事
タグ
リンク
- btlivejapan
- 怒りをこめてふり返れ | 新国立劇場 演劇
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
нᵉᵐⁱ ᵕ̈♡ @Giulietta5683
2017年7月公演
新国立劇場 小劇場
怒りをこめてふり返れ
演出 千葉哲也 さん
主演 中村倫也 さん
ブラナー・シアター・ライブで
翻訳家 水谷八也 さんが
作家 ジョン・オズボーン さんを語る
https://t.co/T4XiB4jt2i