本作は、1926年に製作されたドイツのモノクロサイレントムービー「メトロポリス」を原作とする、ディストピア未来都市の物語。出演者に
物語は、労働者階級の娘・マリアと、彼女そっくりのアンドロイドの2役を演じる松、メトロポリスの主・フレーデルセンの息子・フレーダーを演じる森山を中心に展開。劇中では、照明の明滅を巧みに利用し、労働者が暮らす地下の世界と、支配者が暮らす摩天楼の対比が描かれた。
また
上演にあたって串田は「この芝居に限らず、表現の幅を広げたいという思いが僕の根底に絶えずあります」と前置きしながら、「演劇って、人によって見方が様々だから、『こんなの演劇じゃない』と言う人もいるかもしれません。でも、今回の表現そのものを素直に見てもらいたいと思っています」とコメント。また松は「串田さんが稽古始めに『勇気を持ってこのホンに取り組む』とおっしゃったんです。私も勇気を持ってこの世界に飛び込み、とことん生きて、漂っていたいと思います」と意気込みを述べた。
森山は自身の役どころについて「フレーダーだからということにこだわらず、たとえば松さんとやる時は松さんと僕の関係性でなにができるかを探したい」と語り、「僕自身、単純にここにある事象を楽しみたいし、楽しむ自分が観客に伝わったほうがいいような気がする」と心境を明かした。公演は11月30日まで。
串田和美コメント
この芝居に限らず、表現の幅を広げたいという思いが僕の根底に絶えずあります。そういう表現の元になる作品を、いつも探している。シアターコクーンから提示された「メトロポリス」は、そういう意味でも刺激的でした。演劇って、人によって見方が様々だから、「こんなの演劇じゃない」と言う人もいるかもしれません。でも、今回の表現そのものを素直に見てもらいたいと思っています。カットアウトで時空がズレる感覚とか、ひとりの人物を何人かで演じることで人間の多様性を表現できないかとか、できるだけ幅広く表現の方法を探りたい。それはただの手段かもしれないけど、手段そのものにも意外と力がある。原作の「メトロポリス」は、100年前に既に都市の崩壊を描いているけれども、崩壊や滅亡は絶えず起こっている。戦争や人災も含めた大きな自然の災害は、今も起こり続けています。それに対しての思いは常に考えていることで、この作品にも現れていて、感じてもらえることは、たくさんあると思っています。
松たか子コメント
マリアは、自分のことをフレーダーに少し語るくらいで、あとは謎に包まれた存在です。メトロポリスの人々にとって、拠り所になれば、と。人は感情を割り切り、効率のみで生きることもできるのかもしれない。マリアが希望となって命をつなげればいいのですが、どうなるでしょうね。森山くんはアイディアマン。アイディアを構築し、かつ自らやってみせることができます。先輩たちも頼もしく、自分にないものを持つ方々と過ごす時間は、とても充実しています。串田さんが稽古始めに「勇気を持ってこのホンに取り組む」とおっしゃったんです。私も勇気を持ってこの世界に飛び込み、とことん生きて、漂っていたいと思います。森山未來コメント
フレーダーは決まったものを持たないまま、やっていいんじゃないかと思っています。世界観を構築する際に、ある程度見せ方やビジュアルをまとめる必要はあるでしょうけど、フレーダーだからということにこだわらず、たとえば松さんとやる時は松さんと僕の関係性でなにができるかを探したい。松さんはすごいと思うんですよ。稽古で立つとキャラクターうんぬん以前に、彼女の人間性がズンっと前に来ますから。田んぼに躊躇なく脚を踏み入れていけるような姿勢が素晴らしくて、僕は周りでチョロチョロしていれば大丈夫かな(笑)。僕自身、単純にここにある事象を楽しみたいし、楽しむ自分が観客に伝わったほうがいいような気がする。フィクションであるということを意識しすぎないほうがいいんじゃないかなと思っています。「メトロポリス」
2016年11月7日(月)~30日(水)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
原作:テア・フォン・ハルボウ(「新訳 メトロポリス」中公文庫 訳:酒寄進一)
潤色:加藤直
演出・美術:
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- シアターコクーン・オンレパートリー2016 メトロポリス | Bunkamura
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