11月に上演される「メトロポリス」の稽古が本日10月11日に公開され、演出・美術を手がける
本作は、1926年に製作されたドイツのモノクロサイレントムービー「メトロポリス」を原作とする、ディストピア未来都市を描いた物語。出演者には松、森山に加え、
労働者階級の娘・マリアと、彼女そっくりのアンドロイドの2役を演じる松は、作品の印象について「映画版『メトロポリス』を観て、当時の制作現場の熱気はすごいものだったんじゃないかと感じました。そういったパワーを感じながら今作に臨みたいです」とコメント。続けて、メトロポリスの主・フレーデルセンの息子・フレーダーを演じる森山は「作中に出てくるアンドロイドだったり、摩天楼だったり、当時は珍しかったけど、今では決して特別な景色じゃない。映画版が上映されて90年経った今、現代の肉体と頭脳を使って、新たな『メトロポリス』を立ち上げたい」と本作にかける熱い思いを語った。
演出の串田は「脚本の潤色を務めた加藤直さんに『完成図ではなく、出発点になる脚本を書いてくれ』とリクエストした」ことを明かし、「終着点がわからない、集合場所だけが明かされているような脚本になっている。そこに集結した人たちが『こっちじゃないか』『いや、あっちじゃないか』と旅をするような作品が作れたら」と意欲を見せる。
今回が串田作品に初参加となる森山は、串田の言葉を受けて「作品を途中で壊して、一から作り直す潔さだったり、串田さんの舞台の作り方について噂は聞いていたので(笑)」と前置きし、「これは決してネガティブなことじゃなく、ものを作る上で健全な作業だと思うんですね。今回の脚本は“アイデア本”という意味合いが強いと思うので、どのアイデアを取捨しても自由だし、物語の時系列を『これだ』と決める必要もないし。それくらいの気持ちで柔軟に対応できれば」とコメント。また「舞台っていうのは初日に完成してなきゃいけないっていう意識が日本にはあるけど、お客さんに受け取ってもらってから変わっていくこともあると思うので、どんどん変化させていきたいですね」と答え、文化交流使としての渡航が、自身にとって大きな経験であったことを伺わせた。
一方松は「『人がその場所で演じている瞬間に居合わせること』が感動を生むというのは、舞台ならではだと思っていて。舞台の幕が降りたときに、作り手とお客さんの体温がちょっと近くなるような、そんな作品を目指したいです」と演劇の醍醐味にふれつつ、今回のカンパニーについて「しっかりとした個性の持ち主ばかり。飴屋さんみたいに立っているだけで存在感のある人もいれば、未來くんのように具体的に優れた演技を見せてくれる人もいる。稽古を進めていく中で『あ! これだ!』と思える瞬間が来るんだろうなと、今から楽しみにしています」と笑顔を見せる。
最後に串田は「現代では『知りたい』『納得したい』という気持ちばかりが先行してしまっているけど、理由を突き止めたからってすべてがわかるわけじゃない。『わからない』ことが魅力的に感じられるような演劇を作っていけたら」と核心に迫りつつ、「演劇ってもっと可能性があるんじゃないかと思うんです。言葉や歌や踊りの間にあるものはもちろん、そのもっと先にあることを伝えたい。限りない表現を探しながら『観たことないけど、なんか観たことあるぞ!』と思ってもらえるような作品にしたいですね」と力強く答えた。
取材後の公開稽古で披露されたのは、冒頭部分のダンスシーン。自然な身体の在り方と軸を意識しながら、山田は俳優たちに振りを付けていく。その中でディスカッションを重ねながら、真摯に作品に挑む彼らが、一体どのような「メトロポリス」を作り上げるのか。ぜひ劇場で見届けよう。公演は11月7日から30日まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて。
「メトロポリス」
2016年11月7日(月)~30日(水)
東京都 Bunkamura シアターコクーン
原作:テア・フォン・ハルボウ(「新訳 メトロポリス」中公文庫 訳:酒寄進一)
潤色:加藤直
演出・美術:
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- シアターコクーン・オンレパートリー2016 メトロポリス | Bunkamura
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