大森元貴(
写真を通して自分自身を“追体験”
「GQ クリエイティビティ・アワード」は雑誌「GQ」が2023年に創設した、アート、建築、音楽などあらゆる分野で時代を切り拓く先駆者たちを称えるプロジェクト。会場では受賞者の大森、藤倉麻子、GILLOCHINDOX☆GILLOCHINDAE、GROUP、安永正臣の作品を見ることができる。
大森は「GQ JAPAN」の編集長の石田潤、編集部の高田景太とともにトークセッションを展開。写真を撮り始めた時期を尋ねられた大森は「わりと最近ですね。ここ2年くらいです」と述べ、「今はスマホで簡単にクオリティの高い写真が撮れますけど、やっぱりフィルムだったり、アナログのよさというか、小難しさに憧れる部分があって。自分が見てる世界が音楽とは違う形で具現化されるのところにカメラの魅力を感じて始めました」とカメラを手に取ったきっかけを語った。
「どういうときに心を動かされて写真を撮るか?」という質問に対して、大森は「自分の感情がはっきりとしていない瞬間にシャッターを切る機会が多いですね。写真を見返すことによって、このときの自分はこういうことを考えていたんじゃないかとか、自分自身を追体験することが多い気がします。文章とは違う形のログに近いと思います」と回答した。
「僕が居ようが居まいが」に込めた思い
大森が手がけたのは、全19点からなる写真作品群「僕が居ようが居まいが」。このタイトルについて大森は「日頃音楽を作っていて、人前で歌を歌って表現しているので、自分と対峙する機会が多いんですけど、結局は1人の人間として、自分を認めてあげられるかとか、僕は生きてる中でどれくらいの影響を正しく……数じゃなくて誠意として、残していけるんだろうかと思った。そういうことを考えたときに、やっぱり“0”を1回彷彿とさせるということが、何か物を作るうえでとても大切な気がしています。だから『僕が居ようが居まいが……』みたいな。この世界は続いていくのか、この表現が終わってしまうのか、いろいろわからないけれど、自問自答する意味でも、このタイトルを付けました」と説明した。
大森は写真を指差し、「あそこにある写真はハンガリーで撮りました。自分が拠点としていない海外で刺激を受けることはあります。あとは、よく行く銀座の写真だったり、メンバーの姿もあったり。日常生活の延長線上のような夕焼けを背に自分が影が伸びてる瞬間とか。初出しなんですけど、自分が作業しているところとか」と紹介。「どれも自分であって、外側と内側、繕う自分と素のありのままの自分の垣根が、カメラを通すとなくなる気がしていて。はじめはモノクロだったものが、だんだん色付いていくような、シームレスな物を意識して写真を選定した気がします」とモノクロとカラーの写真を両方取り入れた展示のコンセプトを語った。
「商業作家と表現者としての相反する要素を、自分の中でどういう対話をして最終的に出しているのか?」と聞かれると、大森は「それは最近強く考えること。芸術作家として自分を表現したいという側面もあるけど、商業作家であるという一面も僕は否定する気はない。多くの方々に届けたくて音楽を作っていて。タイアップやいろんな商業さんとのコラボで成り立っている部分がすごくある」と語ったうえで、「より多くの人に自分を好いてもらうため、楽曲をより多くの方に届けるため、どういうふうにパッケージしようと考えるけど、結局やっぱり好きなものを書いてる。純粋に自分の心が躍るような音楽を作り続けるのが楽しいというのが根幹にあります」と顔をほころばせながら述べた。
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@otonajamsmga @natalie_mu @MotokiOhmoriMGA GQ受賞も展示も本当におめでとうございます