日米韓の関係性描く「God Bless Baseball」岡田利規、ドイツ公演に手応え

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「God Bless Baseball」が、現地時間6月9・10日にドイツ・ブラウンシュヴァイクで上演された。

「God Bless Baseball」ドイツ公演より。

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「God Bless Baseball」ドイツ公演より。

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Asian Arts Theatreとの共同制作として岡田利規が作・演出を担当した本作では、日韓の俳優4名が“野球”をテーマにゆるい会話を繰り広げる。物語が進むにつれて不気味な変化を遂げる高嶺格の舞台美術とともに、暗に示された日本、韓国、アメリカの関係性が徐々に浮き彫りになっていく。

今回はドイツのフェスティバル・Theaterformenのオープニングプログラムとして上演。開演前の会場ロビーでは、日本のかっぱえびせんとキャラメルコーン、韓国のセウカンといった劇中に登場するお菓子が食べられるようになっており、フェスティバル側が積極的に会場の雰囲気を盛り上げる。野球があまり浸透していないドイツで、日米韓の関係を知らない観客に向けて公演が行われることについて岡田は「今まで上演してきた場所と違うから反応はもちろん違うだろうけど、伝わるから大丈夫」と自信を見せていた。

「God Bless Baseball」ドイツ公演より。

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当日パンフレットには、日米韓の歴史を紹介するテキストを載せ、3国の歴史を知らない観客に向けてのイントロダクションとした。そして公演ではイチローの動きを模した捩子ぴじんの身体表現が観客の笑いを誘う一幕も。このたびドイツ公演を終えた役者陣から、ステージナタリーに寄せられたコメントは以下の通り。

イ・ユンジェコメント

「God Bless Baseball」は基本的に韓国、日本、アメリカという3カ国の関係を野球というスポーツを通してほのめかす話です。しかしながらドイツでは野球は人気のあるスポーツでもないですし、話自体が他人事のようなものかもしれません。それにもかかわらず、観客の皆さんはこの作品に対し、大きな拍手で応じてくれたのです。これはひょっとすると話の当事者ではないからこそ、少し離れたところから作品を客観的・理性的に眺めることができるからではないかと思います。細かい部分にふりまわされることなく、全体的なイメージをきちんと理解してくれたのではないでしょうか。

捩子ぴじんコメント

「God Bless Baseball」ブラウンシュヴァイク公演を終えました。これまで作品を上演した韓日米に比べると野球人気がイマイチのヨーロッパでも、観客は大いに楽しんでいた様子です。フェスティバルも昨日10日に開幕。ヨーロッパのフェスではディレクターの開幕アナウンスがロビーで行われるのですが、それはとてもよいので、ぜひ日本でも取り入れたら良いと思います。

ウィ・ソンヒコメント

ドイツでは野球が大衆的なスポーツではないですし、韓国、日本、アメリカという3カ国の関係もあまりわからないのではないかと考えていましたので、公演当日まで観客たちの間に作品に対する共感が生まれるかどうかちょっと心配でした。でも作品を集中して観続けてくれたようですし、舞台の上に立っているときも観客の皆さんから多くの刺激を受けながら演技ができました。

野津あおいコメント

「God Bless Baseball」は日本、韓国、アメリカの関係性を扱った作品ですが、ドイツでどう受け取られるのか気になります。東アジアから来たカンパニーの作品として遠い国を眺めるのではなく、今ここで起こっていることを観てもらえるように、現実感を持って舞台に立っていようと思います。私は野球のルールがよくわかりませんが、野球があまり浸透してないドイツの人とは、ゆるーい共感があったようにも思います。

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「God Bless Baseball」

2016年6月9日(木)・10日(金)
Festival Theaterformen
ドイツ・ブラウンシュヴァイク Staatstheater Kleines Haus

作・演出:岡田利規
出演:イ・ユンジェ、捩子ぴじん、ウィ・ソンヒ、野津あおい

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読者の反応

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nukisuke♨️ @nukisuke

日米韓の関係性描く「God Bless Baseball」岡田利規、ドイツ公演に手応え - ステージナタリー https://t.co/b2rRIST1XL 「当日パンフレットには、日米間の歴史を紹介するテキストを載せ」これ書いたの僕かもしれないけど、どうも記憶が曖昧

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