元日に開催をアナウンスし、その後もライブ演奏の録音が可能な「テーパーズ・チケット」の販売や、映像を撮影する“オフィシャルカメラマン”の募集、会場限定CDのプレゼントなど、初の武道館公演を盛り上げるさまざまな企画を発表してきたスペアザ。そんな影響もあってか開演前から場内は楽しげな会話があちこちで起き、どこかお祭り感のある雰囲気が漂っていた。
第1部の幕が上がると4人はお互いのコンディションを確かめるように音を鳴らしたのち、まずは柳下”DAYO”武史(G)の印象的なギターから始まる「Ngoro Ngoro」を届けた。そこから芹澤”REMI”優真(Key)の弾く柔らかなイントロに、待ってましたとばかりに歓声が沸いた「Surdo」、又吉”SEGUN”優也(B)と柳下のアグレッシブなプレイがオーディエンスの視線を奪った「STAR」と続いていく。リラックスしたムードを醸し出しながらも、4人はお互いの音に耳を澄ませ、ときおりアイコンタクトをとりながら掛け合いのようにアンサンブルを響かせる。宮原“TOYIN”良太(Dr)の軽妙なドラムロールが幕開けを飾った「ROOT」では、ブレイクのたびに熱気が高まり、オーディエンスは手を上げたり、体を揺らしたりしながら4人の音を全身で堪能した。
芹澤の吹く鍵盤ハーモニカが楽曲に素朴なスパイスを与えた「IDOL」が終わると、宮原の叩くコンガと柳下の奏でるギターの音がオリエンタルなムードを紡ぎ、第1部のラストナンバー「Uncle John」へ。宮原と芹澤は途中で伸びやかな歌声を披露し、心地よい空気に拍車をかけた。
続く第2部は、躍動的でカラフルな照明が4人のパフォーマンスを盛り上げる。前半は軽妙なセッションを挟んだ「Good Morning」、跳ねるようなギターのメインフレーズと観客の手拍子が重なり会場が一体となった「Laurentech」など、ボーカル入りの楽曲が連続で披露された。そしてアコースティックスタイルによる「CP」でいったん会場の空気はクールダウンし、又吉の深みのあるベースを軸にゆったりとしたパフォーマンスが展開された。その後は4人が前のめりになりながら音を重ねた「beautiful world」、オーディエンスをおおいに踊らせた高揚感たっぷりの「AIMS」と続いた。
第2部もそろそろ終盤というとき、この日初めてのMCが始まる。宮原は「ライブハウス武道館にようこそ、って言っちゃうね」と氷室京介の名言を引き合いに武道館に立っている感慨を表現。芹澤も「本当に楽しい」「気持ちいいねえ」と連発し、「後悔しないように全身全霊で楽しみたいと思います」と口にする。又吉と柳下はマイクを通さず、「こんなにたくさん集まってくれてありがとう」といった感謝を宮原を介して観客に伝える。さらに宮原は「ここが終わりではなく、日々邁進していきますんで」とさらなる飛躍を誓い、「Wait for The Sun」を朗らかなアンサンブルで奏でた。
アンコールでは、特注の道着を羽織って4人が一列に並んで登場。そのまま演奏を始めるのかと思いきや「暑い!」と脱ぎだし、結局はラフなスタイルに。宮原は「最高で、最高で、面白くて、とてもいい感じです」と笑顔を浮かべ、柳下は「自分のことなんだけど、すごすぎて現実味がなくて夢心地」と芹澤の“翻訳”を介して興奮を表現する。さらに柳下は「うれしいし、楽しいし、大好きだし、サンキュ」とDREAMS COME TRUEの名曲タイトルを引用しながら喜びを表し、「10年も20年も続けていくので、ずっと応援してください」とファンに語りかけた。
ラストナンバーの「BEN」では、個々のプレイをフィーチャーしたソロパートを交え、改めてそれぞれの演奏力の高さを証明。また4人はステージを去りがたそうにアウトロを繰り返し、自分たちの音をステージに刻み付けていく。そして最後の1音を丁寧に奏でると、宮原と芹澤は揃って「最高でした!」と破顔した。
武道館という大舞台に臆することなく、心地よいアンサンブルで大勢のオーディエンスを魅了した4人。締めの言葉として「いい光景です。またやれるようにがんばるんで。それでは!」と又吉が語ったように、次の武道館公演への期待が高まる一夜となった。
なおこのライブの模様は、10月9日にライブDVDおよびライブアルバムとしてリリースされる。DVDはボーナスディスク付きの初回限定盤と通常盤の2仕様が用意され、ライブアルバムは完全生産限定盤となる。
SPECIAL OTHERS「武道館ワンマンライブ~SPE SUMMIT 2013~」
2013年6月29日(土)@日本武道館 セットリスト
<1st SET>
01. Ngoro Ngoro
02. Surdo
03. STAR
04. neon
05. Khechi Khechi
06. ROOT
07. IDOL
08. Uncle John
<2nd SET>
09. PB
10. Good Morning
11. Laurentech
12. CP~acoustic~
13. beautiful world
14. AIMS
15. Wait for The Sun
<アンコール>
16. BEN
※記事初出時、一部メンバー名の表記に誤字がありました。訂正してお詫びいたします。
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音楽ナタリー @natalie_mu
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