au「とどけ、ぜんぶ。」特集|卒業生&先生が心と声を重ねた「送る会」、有村架純が届けた次世代へのエール

携帯通信大手のauは、日本全国の卒業生を応援する企画を毎年さまざまな形で行っている。通信会社として“つながること”の重みや喜びを伝えるべく、学友と進路を分かつことになる節目の生徒たちへ向け、同社CMの出演タレントなどがサプライズでメッセージを贈るという趣向だ。auではこれまで、おなじみのテレビCM「au三太郎」シリーズや「意識高すぎ!高杉くん」シリーズに出演する俳優らのビデオメッセージなどを卒業シーズンに各地の学校へ届けており、生徒や保護者、職員らを喜ばせ、励まし、あるいは感涙させてきた。

今年は「とどけ、ぜんぶ。」をメッセージに掲げ、“つながる”のみならず“気持ちを全部届ける”というテーマのもと、全国およそ100校の応募から選ばれた10校で本企画が実施された。今年の「au三太郎」お正月CMで使用された楽曲「とどけ、ぜんぶ。」を据え、同シリーズにてかぐや姫役を務める俳優・有村架純がビデオメッセージで祝福と激励の言葉を届ける。月へ帰る運命を背負い、どちらかというと“見送られる側”ポジションを担うかぐや姫が旅立つ若者たちへメッセージを贈るという、比較的レアな構図と言えるだろう。

音楽ナタリーは今回、本施策の実施校の1つに選ばれた茨城・つくば市立吾妻中学校に潜入。卒業式を翌日に控えた同校で開催された全校イベント「9年生を送る会」(※)の中で、本サプライズ企画が行われた。有村からのメッセージ上映のみにとどまらず、その前段として教員が「とどけ、ぜんぶ。」を歌って卒業生に贈るという極めてハートフルな企画も。この記事ではその模様をレポートする。

※つくば市では平成24年度より全市で小中一貫教育を行っており、そのため中学3年生は“9年生”と呼称される。

取材・文・撮影 / ナカニシキュウ

鬼ちゃんが歌う「とどけ、ぜんぶ。」の魅力とは

「とどけ、ぜんぶ。」は、作詞を篠原誠、作編曲を大濱健悟(agehasprings)、ストリングスアレンジを長橋健一(agehasprings Party)が担当したフォークロックテイストのエモーショナルなバラードナンバー。The BeatlesやOasisから連綿と続く“王道ポップロック”をまっすぐに受け継ぐような、エレクトリックギター中心のバンドサウンドとノスタルジックなメロトロン、荘厳なストリングスが融合した、エレガントかつ実直なサウンドデザインを特徴とする。さらに楽曲構成はABサビ+ブリッジというオーソドックスなJ-POP構造を忠実に踏襲しており、リスナーの属性を問わずどんな人の耳にもスッとなじむフレンドリーな作り。まさに歌詞の通り「余すことないくらい ぜんぶ とどけ」ることに特化し徹底した1曲となっている。

特筆すべきは、Bメロおよびブリッジ部分で印象的に使われる上昇方向の半音進行だ。ベースラインが半音ずつ上がっていくことによってリスナーの感情に段階的な高揚をもたらすのはもちろん、パッシングディミニッシュ(要するに調性外の不安定な響き)を多用することで“その先にある解放”を強く予感させる。そして実際にその先では期待通りの大解放サビが待ち受けているため、その爆発力がより際立つ仕組みだ。その“解放へ向かって1歩ずつ登っていく”ような音使いが、特にブリッジパートにおいては「何回 何十 何千 何万 何億回でも」と積み重なる思いを歌う歌詞ともリンクして指数関数的な相乗効果を生み出している。

毎年CMソングが話題になる「au三太郎」シリーズのお正月CM。「とどけ、ぜんぶ。」もその流れを汲む1曲で、年始に放映が開始されるやいなや大きな反響を呼んだ。1月2日にはフルバージョンが公開されており、YouTubeでの再生回数は2026年3月現在で65万回を超えている。

吾妻中学校の教員&生徒たちがつないだ歌声

その「とどけ、ぜんぶ。」が、吾妻中学校「9年生を送る会」のクライマックスを彩った。同校の体育館を舞台に繰り広げられた会は、在校生によるダンスなどの出し物に始まり、9年生の進行によるクイズ大会へと推移。全校生徒を巻き込む観客参加型の企画を中心に、生徒たち自身がさまざまに趣向を凝らしたバラエティ豊かな演目が次々に展開した。9年生から教職員への花束贈呈などを経て、会のラストは職員たちが演者を担う。思い出の地を巡るロケ映像上映、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」およびももいろクローバーZ「行くぜっ!怪盗少女」のダンスパフォーマンスと続き、その締めくくりとして「とどけ、ぜんぶ。」が満を持して歌唱された。

ワンフレーズごとに職員らが1人ひとりソロで美声を響かせるマイクリレー形式で歌声をつないでいくと、客席の生徒たちは手拍子やハンズアップでそれを盛り立てる。そして楽曲が終盤に差しかかり、ブリッジ、落ちサビを経たラストのサビでは、9年生が一斉に立ち上がって大合唱を開始。教員らとともにサビのリフレインをまっすぐな歌声で歌いきり、体育館中を充実感と喝采で満たした。ある生徒からは「3年間、吾妻中生として楽しく生活してきた思い出がよみがえってきた」との証言も寄せられている。

かぐちゃんこと有村架純からのエール

ほんわかとした空気感が場を包み込む中、ふいに教員の1人が生徒たちへ向けて「ある人からメッセージを預かってきました。ちょっと観てもらえるかな」と切り出す。すると体育館のメインスピーカーから、つい先ほども耳にしたばかりの柔らかなアルペジオギターがそっと響き始め、「つくば市立吾妻中学校の皆さん、ご卒業おめでとうございます」と透き通った穏やかな女性の声がそれに続く。吾妻中生たちがいぶかしげにざわつく中、舞台上のスクリーンにその声の主の姿が映し出された。

「au三太郎シリーズのCMに出演しています、かぐや姫役の有村架純です」の言葉が発せられると、体育館中から「えええー!!」と驚愕と歓喜の入り交じった悲鳴のような叫声が拍手とともに湧き上がり、中には椅子から転げ落ちんばかりのダイナミックなリアクションを見せる男子生徒や、両手で口を押さえてあっけにとられたような表情を浮かべる女子生徒の姿も。「9年生を送る会」会場はにわかに騒然となり、よどみなく発せられ続ける有村の言葉をかき消すほどのざわめきが体育館を駆け巡った。

それとは対照的に、スクリーンの有村は粛々と彼ら彼女らへのメッセージを柔和なほほえみとともに伝え続ける。「とどけ、ぜんぶ。」に込められた思いを切々と語ったのち、9年生たちへ向けて「卒業は先生や仲間への感謝、この日まで見守ってくれた家族への思い、未来への願いが込められる特別な時間です。この学校での生活もあとわずかですが、今日皆さんがこうして迎えた節目の日だからこそ、心に浮かぶ大切な思いが皆さんの大切な人に全部届きますように」と卒業のタイミングならではの言葉をプレゼント。「そしてその先に待っている素敵な未来を、私も応援しています。改めまして皆さん、ご卒業おめでとうございます。以上、有村架純でした」とたおやかに結び、割れんばかりの喝采を巻き起こした。

スクリーンから有村の姿が消えたあとも、興奮冷めやらぬ吾妻中生たちは「かわいい」以外の日本語をすべて忘れてしまったかのように壇上へ向けて「かわいいー!」と絶叫し続けるばかり。ある生徒は「本当に予想していなかったのですごくびっくりしたし、“うれしい”がいっぱいです。かわいかった!」と無邪気に顔をほころばせた。

auのYouTubeチャンネルでは、10校で行われた今回のサプライズ企画の映像「とどけ、ぜんぶ。卒業ver.」を公開中。これから新しい一歩を踏み出す若者たちの笑顔や合唱する姿が収められている。なお、鬼ちゃんが歌う「とどけ、ぜんぶ。」はauミュージックパス(旧auスマートパスプレミアムミュージック)やPontaパス、Apple Musicの各種サブスクリプションサービスで絶賛配信中。