2024年に櫻坂46を卒業した小林由依によるソロプロジェクト・youstiから、1stシングル「Game of Life」が届けられた。
表題曲はゲーム「スーパーマリオ」をイメージして小林自ら作詞した1曲。障害物だらけで前にしか進めないゲームシステムに人生を重ね、優しく温かいメッセージを送るナンバーだ。小林がこの曲で一番伝えたかったこととは? また2025年8月にミニアルバム「yousti」でセルフプロデュースの活動をスタートさせてからおよそ半年間、いったい何を感じてきたのか。「小林由依とyoustiは常に共存している」と語る、小林由依 / youstiの現在が詰まったインタビューを、1stシングル「Game of Life」とともに楽しんでもらいたい。
取材・文 / 宮崎敬太撮影 / 堅田ひとみ
愚痴大会で盛り上がっちゃったイメージで
──youstiとして活動を始めてから約半年が経過しました。今、小林由依とyoustiはどのように共存していますか?
「yousti」と口にする際の違和感はなくなりました(笑)。ただ、私としては小林由依とyoustiは常に共存していて、境目みたいなことはあまり考えていません。小林由依が持っている感情を歌詞にしています。youstiという名義は、受け取る人が(元櫻坂46の)小林由依というフィルターをなくして受け取ってもらうためでもあるんです。
──1stミニアルバム「yousti」の発売を記念したショーケースでは、1人でのステージを経験されました。
やることが多いので、常に「次はこういうことしゃべらなきゃ」と考えてパフォーマンスしていました(笑)。自分の足りない部分に気付いたショーケースでもあったので、そこは今後の課題ですね。「ステージを100%楽しめた」と言えるようになりたいです。
──観客からすると、大勢の前で歌いながら踊っているだけでもすごいですが、演者は段取りやMCも覚えていなきゃいけないですもんね。
もともと1人でしゃべるのが得意ではないので、伝えたいことをちゃんとスムーズに言おうとか、皆さんの盛り上がりを台無しにしないようにとか、そういう面ですごく気を張っていました。
──そうした前作「yousti」での活動経験を経て、1stシングル「Game of Life」がリリースされます。デモを聴いて最初にどんな印象を持ちましたか?
「Game of Life」はずっとジャンプしている感じの楽曲というか。リズムを自分の声で表現する必要があったので、そこがかなり難しかったです。「言葉の粒がはっきり出るように歌うといい感じになると思うよ」とディレクションしていただいて、いろいろ試しては、またアドバイスをいただき、それをまた試すという、試行錯誤しながらレコーディングしていきました。
──確かに歌うのがかなり難しそうな曲だと思いました。
試行錯誤しすぎて、どう歌うのが正解なのかどんどんわからなくなって、正直泥沼にハマった感は否めないですね。でも完成した曲を聴いたら、けっこういい感じになっていたので安心しました(笑)。
──「Game of Life」の歌詞は、シリアスにも受け取れる内容ですよね。
私的には「イェーイ!」って感じ(笑)。作詞に関しては、音にはめることを意識しないで、まずどういう歌詞にしたいのかをバーッと書き出したんです。そしたら友達と愚痴を言い合っているみたいだなと思って。「なんで私だけ人生こんなにハードモード!?」「リセットできないしさあ。ホントたまんないよね(笑)」みたいな。文字で読むと重くなると思うけど、友達と盛り上がったときに出てくる愚痴みたいな軽いニュアンスで捉えてもらうとイメージしやすいかも。そういう感じがこのメロディにもハマるんじゃないかと思ったんです。
──なるほど。自分は欅坂46 / 櫻坂46時代の小林さんのイメージが抜け切ってないところがあって、歌詞を真面目に捉えすぎていたかもしれません。
グループに所属していた頃は、いただいた楽曲と歌詞が大前提としてあって、それを自分がどう表現するかに集中していました。そうすると、自ずと歌詞に出てくる人物を想像して、ビジュアルも歌詞の世界観が伝わるように寄せることを優先してしまう。自分としては、あの頃のほうが演じていたかも。今は自分で歌詞を書いているので、より本当の私に近いと思います。
戻れないし、障害物が向かってくるし、人生みたいだな
──書きたいことを書き出したあとは、どのように歌詞を作っていったのですか?
人生をゲームに例えた内容になっていますが、最初は人生とか関係なく、「スーパーマリオ」をイメージしていました。そこからいろいろと考えていくうちに、あのゲームの戻れない感じとか、亀が障害として向かってくる感じとかが、人生みたいだなと思ったんです。そのイメージで言葉をメロディにはめていきました。
──余談ですけど、小林さんはゲームをしますか?
小さい頃のほうがいろんなタイプをやっていましたね。大人になってからは戦う系のゲームをやらなくなったんですよ。「クリアできなそう」と思っちゃう。自信がないからそっち系をどんどんやらなくなって。でもほのぼの系は今でも好きですよ。
──「あつまれ どうぶつの森」みたいな。
そうですね。ゲームについて考えている中で、今話したような戦う系のゲームを避けている自分に気付いたりもしたので、そこも歌詞に入れてみました。ゲームって人生と似ている。
──小林さんは争い事や競争が得意ではないんですね。
はい。
──とはいえ、芸能は誰かと比較されやすい仕事だと思います。小林さんはどのようにバランスをとっているのですか?
私はその状況から逃げます。やっている人が少ない場所であれば比較されることも少なくなるだろうし。そうして行き着いたのがyoustiの活動なんだと思います。もちろんそれでもまだ比較されることはあって、それが仕方がないことはわかっています。でも今はyoustiの活動をまっすぐ見てくれる人が私の目に入るようになったので……それがうれしいです。
──この曲で一番伝えたかったのはどんなことでしょうか?
歌詞にも書いていますが、「Not game over」という部分ですね。最悪ゲームオーバーにならなきゃいいよねって。信じて進むしかない。でもそんな気負わなくていいんです。ゲームだって1回で完璧にクリアできることなんてないじゃないですか。何回もトライして、時には攻略法を読んで、何回もチャレンジしてようやくクリアできるわけで。人生も同じで、1回ですべてを完璧にこなすこと自体がそもそも無理なんですよ。そういうことを言いたかったんです。
「もう1回」と思ってもらえる工夫をたくさんしたい
──「Game of Life」はサビの手の振付がかわいいですね。コレオグラファーはアリシア・キーズやAwichとも仕事をしているMONAさんです。
この曲はフックになる部分が多いので、キャッチーなダンスにできたらな、と思っていろんなコレオグラファーさんのInstagramを見ていたんです。そしたらとある韓国のグループでソロ活動されている方の振付がすごくかわいくて。それを作られたのがMONAさんだったんです。ダメ元でお願いしたら、快諾していただきました。私自身が気持ちを込めて作品を作っているので、ダラッと聴き流されるのは悲しい。だから「もう1回聴いてみよう」「もう1回観たいな」と思えるような工夫をたくさんしたいんですよね。
──ミュージックビデオのディレクションは新宮良平監督です。新宮監督は、小林さんが櫻坂46を卒業する際のソロ曲「君がサヨナラ言えたって・・・」をはじめ、欅坂46時代から数々の作品で一緒に仕事をされていますね。
新宮監督にはグループ時代からお世話になっています。今回は先に歌詞をお渡しして、ゲームっぽい世界観にできたら、という私の要望をお伝えしました。変わったアングルからの撮影もあったけど、とても信頼しているのでこちらも気持ち的に余裕を持って臨むことができました。
──信頼できるクリエイターと仕事ができるのは大きいですね。ジャケットのアートワークも素敵でした。
アートワークに関しては、楽曲ができあがる前からひたすら走っているイメージが浮かんでいたんですよ。そこからいろいろと考えていった結果、完成品はまったく走ってないんですが、車に乗っているジャケット(Type A)には一応名残りがある、という(笑)。
──走る、車に乗る、という行為は現実逃避のメタファーでもありますよね。
はい。そういう要素を入れたかったんですよ。
──あと衣装がかわいい。
何着か用意していただいて、ピンクのものとかもあったんですけど、実際に着てみたら緑が一番いい感じだったので、この衣装になりました。
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自分の取扱説明書がだんだんわかってきた




