MONO NO AWARE「いつか末小で盆祭り！」ドミコを迎えた「八八音楽祭」後夜祭もマイムマイムで大熱狂

2025年12月4日 12:01 66 2 音楽ナタリー編集部

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

13 35
18 シェア

MONO NO AWAREが11月29、30日の2日間にわたり東京・八丈島でイベント「八八（パチパチ）音楽祭2025」を開催。この記事では2日目に行われた後夜祭の模様をレポートする。

MONO NO AWAREとは？

東京都八丈島出身の玉置周啓（Vo, G）と加藤成順（G）が、大学で出会った竹田綾子（B）、柳澤豊（Dr）とともに結成したバンド。2016年に野外フェス「FUJI ROCK FESTIVAL」のROOKIE A GO-GOステージに登場し、翌年にはメインステージに出演。数々の国内フェスに出演するなど次世代バンドとして注目を浴びる。2017年3月に1stアルバム「人生、山おり谷おり」をリリース。2024年6月には5thアルバム「ザ・ビュッフェ」を発表し、全国ツアー「アラカルトツアー」をスタートさせた。その“追加追加公演”を11月に東京・八丈島POT HALLで行う。10月には東京と大阪のBillboard Liveで特別編成にてライブを実施。ボーカル玉置はTBSラジオ「脳盗」、Podcast番組「奇奇怪怪」のパーソナリティとしても人気を集める。

MONO NO AWARE（撮影：元）

大きなサイズで見る

ジャズのように楽しむ八丈太鼓

まずはイチローTシャツを着てタオルをねじり鉢巻きのように巻いた玉置周啓（Vo, G）がステージに登場。「今日はパーティなんで、酒飲みまくって踊って楽しんでください！」とくだけた雰囲気で挨拶し、最初のゲストである「八丈太鼓六人会」のメンバーを呼び込んだ。八丈島出身の玉置は「今年僕らが『FUJI ROCK FESTIVAL』に出演したときにこの3人が新潟まで太鼓を叩きに来てくれて仲よくなった」と紹介。そして八丈太鼓六人会の菊池孝光氏から「決まり事が少なく、ジャズのようにアドリブで自由に楽しむ」という太鼓の特徴や、基本的な4つのリズムがレクチャーされたのち、3人による迫力あるパフォーマンスが繰り広げられた。

ドミコ

MONO NO AWAREとドミコのセッション。（撮影：元）［高画質で見る］

2組目のゲスト、ドミコはさかしたひかる（Vo, G）とサポートドラマー・細川千弘の2人編成で登場。さかしたの「ドミコです、よろしく！八丈ー！」という咆哮で大歓声が沸き起こり、「ペーパーロールスター」でライブの幕を開けた。「誰にも言わないでいるよ」「幽霊みたいに」でフロアを大いに躍らせたあとは、ミドルテンポの「のらりつらり」では、間奏でギターとドラムのジャジーなセッションをじっくりと聴かせる。ムーディな雰囲気のまま「プトレマイオシー」へと続き、ドラマティックなボーカルとそれに寄り添うドラムがオーディエンスを引き込んだ。

ここでドミコは人気のロックナンバー「びりびりしびれる」でしっとりとした空気を一変させ、会場の熱気を再び急上昇させる。最後に「青の波浪」を哀愁たっぷりに歌い上げたさかしたは、「MONO NO AWARE、呼んでいいですか？」とメンバーを呼び込む。八丈太鼓とともに現れたMONO NO AWAREは、玉置と柳澤豊（Dr）が太鼓を、加藤成順（G）がギターを演奏し、竹田綾子（B）が観客に八丈島銘菓「黄八丈サブレ」を配るというお祭り感あふれる演出で会場を大いに盛り上げた。

MONO NO AWARE

MONO NO AWARE（撮影：元）［高画質で見る］

転換時にDJを行っていたDJ TOMMYが流す曲に乗せて演奏を始めたメンバーは、そのままの勢いで1曲目の「もうけもん」へとなだれ込む。客席から飛んだ「レッツゴーレッツゴー！」の声援に「ラジオ聴いとるやろ！よく保安検査場通れたな（笑）」とツッコミを入れつつも、地元の歓迎ムードにリラックスした様子で終始楽しそうな笑顔を浮かべる玉置。伸びやかなロングトーンで始まる「明日晴れたら」、ファンクのようなリズムが特徴的な「夢の中で」、ノリがいいポップな「イワンコッチャナイ」といった初期曲を次々と披露していく。

また、今回ゲストにドミコを呼んだ経緯について玉置は「僕は島を出て、成順の促しによってバンドを始めていろんな人と出会ったんですけど、ドミコは音楽もカッコよくて人間性も信頼できる数少ないバンド。そういう人には島を紹介したくなるんですよね。5年くらい前からずっと『来てよ』と誘っていたんですけど、なかなかタイミングが合わず今回が初の来島となりました」と説明。「八八音楽祭」開催を目前に控えた10月、八丈島は台風22号・23号の直撃により大きな被害を受けており、「台風被害も残っているのでフル満足とはいかないですけど、昨日は夕日も見れて、『八丈島、好きだわ』って言ってくれました。それがめっちゃうれしかったです」と語る。さらに「TOMMYさんは東京で初めて僕らのCDをお店に置いてくれた人。TOMMYさんがお店に置いてくれなかったら、僕らは今ここにいなかったかもしれない。それくらいの恩人です」とゲストたちに感謝の気持ちを伝えた。

玉置周啓（Vo, G / MONO NO AWARE）（撮影：元）［高画質で見る］

「パーティなのにダラダラしゃべるのはよくない！」と切り替え、MCを切り上げた玉置。4人はアグレッシブなセッションで熱を生み出す「同釜」、エモーショナルな最新曲「走馬灯」、シンガロングが巻き起こるライブ定番曲「東京」を連投した。最後に玉置は「昨日のライブでは言えなかったんですけど、家に帰って考えたんです。実家は台風で屋根が飛ばされちゃったので、今は親戚が貸してくれた家に親と借り暮らしをしてて。親がこんな暮らしを1カ月以上も続けているなんてやばいことになったと。昨日のライブ会場だった町役場にある『おじゃれホール』にも入口に罹災証明の申請窓口があって、へこんだんですけど、島に住んでいない僕がへこむのも違うなって。へこむんだったら餅でもつけよと。餅が一番いいですからね。今年は餅がつけなかったので、来年はみんなで餅をつきましょう」と次回開催への期待を込める。

MONO NO AWARE（撮影：元）［高画質で見る］

そして「今は島が複雑な状況ですけど、島の人も東京から来てくれた人もリフレッシュになってくれたらいいなと思ってライブをやりに来ました！こんなことしかできなくてすみません！ありがとうございました！」と叫び、最後の曲「水が湧いた」を熱演した。「今は瓦礫だらけの末小の校庭で、いつか盆祭りやるぞー！」と玉置が出身小学校の復興を力強く宣言すると、客席フロアの中央に八丈太鼓が運び込まれ、ステージにドミコが再登場。太鼓を中心にマイムマイムの輪が回転し、熱狂の渦となった。興奮冷めやらぬオーディエンスのアンコールに応えたMONO NO AWAREが再び「マイムマイム」を演奏し、大盛り上がりの中で「八八音楽祭」が終了した。

なお終演後にはフロアで八丈太鼓を自由に叩くことができる体験会も行われた。着替えを終えた出演者たちもバチをふるう姿を見せ、MONO NO AWAREの祭りは夜更けまで和やかに続いた。