坂本龍一のドキュメンタリー映画「
「Ryuichi Sakamoto: Diaries」は坂本が、がんに罹患して亡くなるまでの約3年半にわたる闘病生活とその間の創作活動の記録を、本人がつづった日記を軸にたどっていくドキュメンタリー作品。2024年4月にNHK総合で放送された特番「Last Days 坂本龍一 最期の日々」をもとに、未完成の音楽や未公開映像など映画オリジナルとなる新たな要素を加えて制作された。監督はNHKの番組ディレクター・大森健生が務め、劇中での日記の朗読は生前坂本と交流のあった
事前に映画を鑑賞したコムアイは「やっぱり最後に坂本さんが亡くなるシーンはすごく泣いてしまったんですけど、私の中に残ったのは“生きるのってこんなに楽しいことなんだ”という感覚だったんです」と意外な感想を述べる。「それと同時に、楽しく生きるには条件があるということも感じました。その条件は“サボらないこと”。坂本さんって、本当に生きることを1秒も休まない人だったというか、ものすごい熱量で“今”を生きていた。亡くなるほんの数日前にも病床でものすごく心を動かされているシーンがあって。坂本さんが一番サボらなかったことは“感動すること”だったんだなと、この映画を通じて教えてもらいました」と熱く語った。
この映画を観て生きる楽しさを感じたというコムアイの感想に大森監督は「『元気が出た』という感想がコムアイさんらしいなと。多くの方からは『言葉になりません』という言葉をいただくんですけど、やっぱりいろんな方にいろんな感想が生まれる作品なんだと改めて思えることができてよかったです」と言葉を返すと、コムアイは「人間はいずれ誰しも死ぬことはわかっていて。じゃあ、それまではこんなに楽しそうに生きることができるんだと。そういう希望を感じて、私自身、鼓舞されました」と笑顔を見せた。
またMCに、坂本から影響を受けたことや与えられたものについて尋ねられたコムアイは、坂本の死後に行われた明治神宮外苑地区再開発に抗議する集会「Demonstration with Ryuichi Sakamoto」に参加したときのことを回想。「現場には坂本さんの確固たる思いがそこにあって、それが引力のように作用して、みんなが集まった。坂本さんの人と分かち合おうとする感覚というか……欲望なのかな。自分1人の世界の探求と人に開かれた世界、その両方がものすごく強くて、自分も意識したいと思いました」と語った。さらに初めて参加した脱原発運動が、坂本のオーガナイズによるイベント「NO NUKES」だったと振り返り、「自分の人生を振り返っても、いろんなところですごく影響を受けてきたことに気付かされます」と述べた。
一方、生前に坂本と対面することができなかったという大森監督だが、「この映画を作らせてもらい、こういう場でお話しさせていただいていることが坂本さんからのギフトのようなものですね。こういう形で携わらせていただいて非常に大きいと感じたことは、1人の人を知ることの難しさと尊さ。この映画は『この人のことを、自分がどれだけ理解できるか』という極限の挑戦だったわけですが、さまざまな方の協力を得て、2年半かけて彼を“見る”努力をしたことはとても大事な経験になったと思います」と語った。
最後にコムアイは「この映画を通して、坂本さんと向き合えました。この世にはもっと感動できて、楽しめることが実はたくさんあって、心を開く、感覚を開くことを教えてもらえました。この映画はこれからの生き方について考えるきっかけになると思うので、大事な人に広めていただけたらうれしいです」とアピールし、トークイベントを締めくくった。
映画「Ryuichi Sakamoto: Diaries」は11月28日より東京・TOHOシネマズ シャンテほかで全国公開される。
Bami @Mcmooney20
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