「東京女子流から皆さんにお伝えしたいことがあります。2026年3月31日をもちまして、東京女子流は解散することを決めました」。アンコールのステージでリーダー庄司芽生が告げた突然のひと言で、15周年の祝福ムードで終始盛り上がっていたフロアにしばらく静寂の時が流れた。東京女子流は2010年元日、エイベックスが7年ぶりに世に送り出すガールズグループとして誕生。同年5月5日にシングル「キラリ☆」でデビューを果たしたのち、「おんなじキモチ」「ヒマワリと星屑」「鼓動の秘密」などの洗練された楽曲とキレのあるパフォーマンスで瞬く間に注目度を上げ、そこから15年にわたって現在のアイドルシーンを象徴するグループの1つとして愛されてきた。そんな女子流が大きな決断を口にした一夜の模様をレポートする。
15年間の感謝と歴史を、愛を込めて
東京女子流がこの日用意した楽曲は、デビュー曲から未発表の新曲まで、15年の歴史をギュッと凝縮した計19曲。オープニングSEに乗せて順にソロダンスを披露し、横1列に並んだ山邊未夢、新井ひとみ、中江友梨、庄司芽生の4人は、やおら黒いワンピースを脱ぎ捨てると純白の新衣装にチェンジ。1年前の14周年ライブで下ろされた楽曲「フォーリンラブな時」でライブをスタートさせた。続くデビュー曲「キラリ☆」で一気に時代をさかのぼったかと思えば、音楽的進化を模索した2017年のナンバー「ダイヤ♢」、現時点での最新アルバムである2022年発表の「ノクターナル」収録曲「ストロベリーフロート」と冒頭からさまざまな時代を行き来しながら、歩んできた道のりを感じさせるパフォーマンスを見せた。
「15周年ライブにお越しの皆さん、こんにちは! 東京女子流です!」とくったくのない笑顔で挨拶した4人は、客席のみならず、CSテレ朝チャンネル1での生中継を楽しむ視聴者にもカメラ越しに笑顔を振り撒く。新井は「みんなー、今日は来てくれてありがとうー」と客席に手を振るも、返ってきた声援に「まだちょっと足りないですねえ。Zepp元気?」とさらなる歓声を求め、中江は「今日は15周年ライブ、つまり15年間の私たちのありがとうという感謝の気持ち、この歴史を皆さんに愛を持ってぶつけたいなと思いますので、全部全部受け取って帰ってくれたらうれしいです!」とこのライブに懸ける思いを述べた。
少女から大人へ、15年の変化
「みんな一緒に踊っていけますか?」という新井の煽りから始まったのは、女子流が1年目から現在に至るまで歌い続け、アイドルフェスではアンセムと化している「おんなじキモチ」だ。15年の間に女子流の魅力に引き寄せられた幅広い層のアスタライト(東京女子流ファンの呼称)が集うフロアもこの曲で1つに。同じく女子流の初期を代表するナンバー「ヒマワリと星屑」では、メンバーがおなじみヒマワリの指飾りを装着し、マイクスタンドを前にポーズを決めた。母親への大きな愛を歌った「Dear mama」では三角形のスクリーンにその歌詞と、メンバー手書きのママへの手紙が映し出される。2013年発売のアルバム表題曲「約束」は当時のメンバーにとってはいささか大人びたムードだったが、全員が20代後半となった彼女たちは妖艶さを放ちながらこの曲を歌い上げた。
「約束」のように年齢とのギャップで魅せる楽曲は初期の東京女子流にとって大きな武器となっていたが、近年の作品では洗練を重ねながら楽曲の年齢に追いついた4人ならではの等身大が表現されている。「ノクターナル」収録曲「ガールズトーク」でガールズグループとして洗練された姿をしっかりとアピールした4人は、ここでひと息入れてガールズトーク。この日のために用意された白い新衣装について触れ、それぞれの個性に合わせて作られた細かいディティールや、爪先など細部までこだわったメイクについて和気あいあいと語り合った。さらに、いつも近くにいるからこそわかるメンバーそれぞれの15年間の変化を明かす。庄司は中江に「この15年間で笑いのツボがすっごく浅くなった」と指摘され、山邊に対する庄司の「一番アイドルらしくなった」という声には新井と中江、会場のアスタライトも満場一致でうなずいた。活動を始めてしばらくはファンとの接し方がわからず「塩(対応)だった」という山邊はその変化について「大人になったってことですね。アイドルが未知の世界でどうしていいかわからなかったけど、活動していく中で『楽しい!』と思えるようになって、その楽しさが前面に出るようになったんだと思う」と自己分析した。
記念すべき日に放つ最新楽曲、そして……
温かくステージを見守るアスタライトに向けた曲として「days~キミだけがいない街~」を届けた女子流は、「きっと 忘れない、、、」「コーナーカット・メモリーズ」「Viva La 恋心」と4曲を続けてパフォーマンス。そして「今日のために準備してきた、私たちの新曲です」と、ここで2025年第1弾となる最新楽曲「導火線、フラッシュバック」を初披露した。この曲は、近年の女子流楽曲におけるキーマンと言える作家・きなみうみが書き下ろした、BPMを抑え沸々とたぎるようなダンスチューン。突然の新曲披露に沸くフロアをさらに熱くさせるように、女子流は昨年7月に配信リリースされた、きなみうみプロデュースのアップテンポなナンバー「datura」を投下し、これを受け止めたアスタライトは拳をとペンライトを突き上げて「オイ! オイ!」と声を上げた。この日一番の盛り上がりを見せたところで、4人は「皆さんにうれしいお知らせがありまーす!」と、通算7枚目となるオリジナルアルバム、その名も「東京女子流」が7月30日にリリースされること、直前に披露した新曲「導火線、フラッシュバック」がアルバムからの先行シングルとして6月18日に配信リリースされることを報告。そして「15年の活動でいろんな出会いと別れを経験した今、改めて感謝の気持ちを込めて届けたい曲です」と、ライブを締めくくる1曲として2021年のナンバー「Hello, Goodbye」を歌った。
アンコールを求める拍手の中、再びステージに登場した女子流は、薄暗いブルーの照明の中、東京女子流の音楽性を大きく拡張させた2016年発表のトロピカルハウス「深海 -Hi-ra Mix-」で華麗なステップを踏む。明るくなったステージで笑顔に戻った4人は改めて感謝を告げ、庄司は今回のライブについて「15年間の感謝。私たちが歩んできた軌跡。そして、私たちは小さな奇跡の積み重ねでこの15年があると思うので、そんな思いを今日はみんなに伝えたいと思ってこのタイトルに決めて、セットリストを作りました」と4人で考えたコンセプトを説明。「15年前は、15年後も女子流でいられるなんて思ってもいなかった」としみじみ語った山邊は「こんな大事な日の朝は、みんなで朝から早めに合流して、マックを食べてきました」と仲睦まじいエピソードを付け加えた。ほのぼのムードのまま物販グッズを紹介したのち、4人はコロナ禍の中で迎えた10周年のタイミングでアスタライトとの絆を結んだ楽曲「キミニヲクル」を披露。場内は祝福の拍手に包まれたが、4人はここで、胸に秘めていた決意を打ち明ける。
東京女子流、2026年に解散……メンバーの決意
ここまで15年続けてきたグループに終止符を打つこと。それはメンバー4人とスタッフで何度も話し合い、意見を重ねて自分たちで出した決断であること。活動を支えてくれたファンやスタッフ、家族への感謝の思いを涙をにじませながら話す庄司の横で、山邊、新井、中江もまた大粒の涙を流した。東京女子流は2026年3月31日の東京・Zepp DiverCity(TOKYO)でのワンマンライブをもって、すべての活動を終了。そこまで約10カ月の間には、さまざまなイベントへの出演や、ホーム会場である東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで6月から3月まで定期公演を行うという。
「ぜひ最後の日まで、東京女子流をよろしくお願いします」と深々と頭を下げる4人に、会場のアスタライトたちは温かい拍手を送った。「最後はやっぱりみんなで気持ちを1つにして、熱くなって、『今日は楽しかったね!』って言えるような時間にしたいので……みんな女子流についてきてくれますか?」と、笑顔に戻った4人は最後にもう1曲、長年にわたり女子流ライブの起爆剤として名場面を作り続けてきたキラーチューン「Attack Hyper Beat POP」をパフォーマンス。すべてを出し切った山邊、新井、中江、庄司は充実した表情でステージをあとにした。
当日生中継でライブの模様が放送されたCSテレ朝チャンネル1では7月19日12:00より、バックヤード映像などを加えたこのライブの“完全版”がオンエアされる。
セットリスト
「東京女子流 15th Anniversary Live ~キセキ☆~」2025年5月3日 Zepp Shinjuku(TOKYO)
01. フォーリンラブな時
02. キラリ☆
03. ダイヤ♢
04. ストロベリーフロート
05. おんなじキモチ
06. ヒマワリと星屑
07. Dear mama
08. 約束
09. ガールズトーク
10. days~キミだけがいない街~
11. きっと 忘れない、、、
12. コーナーカット・メモリーズ
13. Viva La 恋心
14. 導火線、フラッシュバック
15. datura
16. Hello, Goodbye
<アンコール>
17. 深海 -Hi-ra Mix-
18. キミニヲクル
19. Attack Hyper Beat POP
放送情報
テレ朝チャンネル1「<完全版>東京女子流 15th Anniversary Live ~キセキ☆~」
2025年7月19日(土)12:00~
山邊未夢 (東京女子流) @Miyu_TGSJP
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いつも愛溢れている
ライブレポと写真有難うございます🫧 https://t.co/78sn0U9iV3