岡山の炙りなタウン、満員のライブハウスで迎えた初の東京ワンマン

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炙りなタウンが4月6日に東京・Spotify O-Crestでワンマンライブ「かかあ天下」を開催。応募殺到のチケットを入手できた幸運な観客で会場が埋め尽くされる中、アンコールを含めて全24曲を披露した。

炙りなタウン(撮影:toya)

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「東京初ワンマン、O-Crestに捧げます!」

炙りなタウン(撮影:toya)

炙りなタウン(撮影:toya)[拡大]

炙りなタウンは、ゆきなり(G, Vo)、しおきち(B, Vo)、めぐぞう(Dr, Cho)の3人からなる岡山のパンクバンド。作詞作曲を手がけるゆきなりによる日常を切り取った言葉は、リスナーの気持ちに寄り添いながらも強く背中を押すような強いメッセージ性が特徴だ。百戦錬磨のライブバンドでもある彼女たちは年間を通して全国各地で対バンライブや音楽フェスへの出演を重ねており、会場の広さや集客数にとらわれず、常に全力のパフォーマンスと熱いMCをオーディエンスにぶつけている。先日3月9日に地元岡山のCRAZYMAMA 2nd Roomで“最初で最後の初ワンマンライブ”を行ってから約1カ月、彼女たちが「お世話になりまくっている」というライブハウス・O-Crestで東京における初ワンマンの日を迎えた。

ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)

ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)[拡大]

ステージに上がり、ゆきなりは「息を吸うだけで苦しかった東京。少しだけ好きになれたのはライブハウスのおかげでした。怖くて冷たいはずのライブハウスがなんだかあったかく感じたのは、あんたたちのおかげでした。From ガラガラのライブハウスから岡山炙りなタウン、東京初ワンマン、渋谷O-Crestに捧げます!」と宣言し、1曲目「プルースター」へ。歌い出しのフレーズ「いい加減にしろ!」で観客の感情が爆発し、ダイブも発生。「そんなことよりO-Crestワンマンソールドアウト? 大事件だ!」というシャウトが響いた。続けてバンドは「8mg」「63円」「ゴキブリ人間」と畳みかけ、会場を熱気で包みこむ。

東京公演の前半戦では、めぐぞうの丁寧なテンポキープが光り、激しい演奏の中でも冷静さを保っている様子がうかがえた。そんな中でも、しおきちが力強いコーラスで感情をあらわにするなど、メンバーそれぞれの気迫もフロアに届いていた。

バンドの“これまで”と“これから”が詰まったライブ

炙りなタウン(撮影:toya)

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ゆきなりは「岡山ワンマンのときより、“ボキャボキャ”に緊張している」と独特の表現で心境を吐露しつつ、「今日は炙りなタウンのこれまでとこれからを体感できると思うんで、楽しんでいってください」と呼びかけ。バンドは「ホームラン」「馬鹿」「パンクな彼女」「橋本■奈」など青春を想起させるパンクチューンを連発し、徐々に荒々しさを増していく。汗だくの観客がひしめくフロアに向けて3人は、ショートチューン「狼煙をあげろ」を投下。「行け 行くしかないだろう / やれ やるしかないだろう」という力強いメッセージでオーディエンスを勇気付けた。

満員のライブハウスで鳴り響く歌

炙りなタウン(撮影:toya)

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ライブ中盤、「まさか東京の渋谷でワンマンライブをやるなんて、7年前のわしらにはきっと想像もできなかったことで」と振り返ったゆきなり。彼女は、ワンマンライブのチケットをソールドアウトさせる難しさに触れ、「ずっとガラガラでやってきたからわかるんだけど、当たり前じゃない」と力を込めて話を続ける。そしてチケット完売のため会場に入れなかった人もいることに言及した彼女は、「来たくても来られなかった人が、炙りなタウンが必要な人の中にもいる。それをわしらは絶対に忘れたくない」と述べた。

炙りなタウン(撮影:toya)

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ゆきなりはギターでコードを鳴らしながら、「惑わされないで。数字とかネットの知らない人の言葉とか。これからワンマンが増えたとしても、もっと大きな会場でできるようになったとしても、忘れない」と話してから、メロディを付けて「役立たずなわしの歌であの子が泣いている! くだらない愛の歌がわしらを救うのだ!」と歌った。そしてギターを掻き鳴らし、「今夜! 渋谷O-Crestをわしらの秘密基地にしよう!」と叫び、バンドを象徴するナンバー「ライブハウス」へ。ガラガラのライブハウスのことや音楽への素直な思いを歌ったこの曲が、満員の観客の合唱とともに場内に鳴り響いた。

たくさんの「ありがとう」

ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)

ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)[拡大]

しおきち(B, Vo)(撮影:toya)

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「桜花」「SING OR DIE」などの新曲を織り交ぜながらライブは進む。「桜歌」はゆきなりが初めてメンバーに向けて書いた曲。「SING OR DIE」はグランジテイストのギターリフや早口のフレーズ、目まぐるしい展開が映える炙りなタウン史上もっともヘビーで激しいナンバーだった。そんな新曲群を披露したあと、ゆきなりは「新生活が始まった人もおるでしょう。炙りなタウンを好きなやつは、変なやつだから! 一緒に生き抜いていこう」と観客に語りかけ、「音頼み」へ。彼女は15歳の頃のつらい経験を振り返り、「首を吊るために用意した青い毛糸は、青いギターに変わった」「今、君の歌を君と歌おう」と、全身から振り絞るように声を張り上げた。その後、さらなる新曲「さらば」や、JMSと渡辺旭(THE NINTH APOLLO)による共同レーベル・WAKASA WO WARAUNA WORKSから発表した1stシングル「猛虎」に収録の人気曲「1998」なども披露。「ろくでなしの唄」では「普通ってなんだよ教えてくれよ!」とメンバーと観客が一斉に叫び、すでにステージとフロアは一体になったかのようだ。感情いっぱいのライブを続ける炙りなタウンは、続いて涙を誘うナンバー「ルナ」を投下。オーディエンスの多くが抱えているであろう日常の苦しみを解放するかの如く、優しくて力強い演奏を届けた。

めぐぞう(Dr, Cho)(撮影:toya)

めぐぞう(Dr, Cho)(撮影:toya)[拡大]

ゆきなりは「炙りなタウンがいなくても『生きててよかった』って思ってほしい。最近、新しい感情が生まれた。炙りなタウンがいらなくてもいい、ライブハウスに頼らなくても生きていけるような人になってほしい。それでも、これはわしのわがままなんだけど、できるだけ会いに来てほしいです」と素直な思いを吐露。さらに「生きている時間しか、わしらは一緒にいられんから、できるだけ一緒にいてほしいです」と続け、新曲「凪の人」へ。この曲はこの日、“O-Crestに向けた手紙”として演奏され、ゆきなりは演奏中に「大嫌いな東京って街を好きにさせてくれて、ありがとうございました!」と会場への感謝を言葉にした。

新たなステージへ、夏に渋谷クアトロワンマン開催を発表

左からしおきち(B, Vo)、ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)

左からしおきち(B, Vo)、ゆきなり(G, Vo)(撮影:toya)[拡大]

アンコールでは8月29日に東京・渋谷CLUB QUATTROでワンマンライブ「かかあ炎天下」を開催することを発表。「劣等星」とこの日2度目の演奏となる「狼煙をあげろ」でライブは大団円を迎え、笑顔のメンバーと観客から発せられる「ありがとう!」の言葉が場内に響いた。なお終演後、「かかあ炎天下」に加え、6月13日に大阪・ユニバースで自主企画「革命日和」を行うことが告知された。

ライブレポート

セットリスト

炙りなタウン「かかあ天下」2025年4月6日 Spotify O-Crest

01. プルースター
02. 8mg
03. 63円
04. ゴキブリ人間
05. ホームラン
06. 馬鹿
07. パンクな彼女
08. 橋本■奈
09. 初恋
10. 狼煙をあげろ
11. ライブハウス
12. 桜花
13. 反省文
14. SING OR DIE
15. 渋川
16. 音頼み
17. さらば
18. 1998
19. ろくでなしの唄
20. ルナ
21. 凪の人
22. ZOKKO'N ROLL!
<アンコール>
23. 劣等星
24. 狼煙をあげろ

公演情報

革命日和

2025年6月13日(金)大阪府 ユニバース
<出演者>
炙りなタウン / and more

かかあ炎天下

2025年8月29日(金)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
<出演者>
炙りなタウン

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炙りなタウン @aburinatown

【 Live Report 】

~~~

2025/4/6
at 東京 渋谷Spotify O-Crest

「かかあ天下」
- ONE MAN SHOW -

~~~

この日のことをライブレポートしてもらいました📝
是非チェックしてみてください!

https://t.co/3kXstnRP53

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