祝祭の幕開け
昨年9月に東京・東京国際フォーラム ホールCで幕を開け、4カ月をかけて4カ所全6公演が行われたこのツアー。終着地となった東京ガーデンシアター公演は、ONE N' ONLY史上最大規模のワンマンとなった。ライブを強く意識して制作された10月リリースの最新EP「Fiesta」を引っ提げての今ツアー、ワンエンの6人は冒頭からバイタリティに満ちたパフォーマンスでSWAG(ONE N' ONLYファンの呼称)を牽引。満員の会場を漏れなく巻き込み熱狂へと誘う、“Fiesta(祝祭)”の名に違わぬひとときを作り上げた。
ステージ上でひときわ存在感を放つのは、極彩色で彩られた巨大なカーニバルの仮面。オープニングSEに乗せてせり上がった仮面の奥に6つのシルエットが浮かび上がると、SWAGの期待感は最高潮に達する。ONE N' ONLYの“祝祭”の始まりに鳴り響いたのは、ツアータイトルにも冠された新たなアンセム「Fiesta」だ。底抜けにパワフルなサウンドが聴衆を高揚させる中、みなぎる気迫を全身に宿したメンバーはアグレッシブな歌とダンスで初っ端からオーディエンスを圧倒する。彼らの勢いに負けじと、SWAGも「OH-E-O!」と声を上げ、1曲目にして会場は大きな盛り上がりに包まれた。
「SWAG! 今日は最高のお祭りを味わっていこうぜ」。リーダー・HAYATOが号令をかけると、彼らは「DOMINO」「EVOL」と濃密なラテンフレイバー香るアッパーチューンを続け、ラテン音楽とJ-POPをかけ合わせた“Jatin Pop”なる唯一無二の音楽性を冒頭から強く打ち出していく。南米の野鳥たちを思わせるカラフルな羽や原色のフリルをあしらった華やかなジャケット衣装は、ツアーファイナルのために仕立てられたもの。「EVOL」では、ステージに大きく広がり一層の声を求める彼らに、SWAGがリズミカルな「Hey!」の大合唱で応える。曲中、メンバーは順に自己紹介をしていき、EIKUは「気持ち込めて、みんなで魂を届けます!」と誓い、KENSHINは「SWAG、愛してるぜ!」と宣言した。
情熱をそのままフロウに乗せるHAYATOのラップが冴え渡る「YOUNG BLOOD」のドロップパートで“二丁拳銃”を構える6人の動きにSWAGもシンクロすると、「OPEN」ではKENSHINが「OK、SWAG! ツアーファイナル暴れようぜ!」とシャウト。ラウドなロックサウンドに身を委ね、6人は「Are you ready? 曝け出せ!」と歌い叫ぶ。するとメンバーは、続く「Set a Fire」で騒ぎ足りないとばかりにアリーナエリアの客席通路へ。360°を囲むSWAGから圧倒的な熱量で送られる歓声を全身で受け止め、ライブ序盤とは思えぬほどの一体感を作り上げた。
個性輝くパフォーマンスリレー
ジャングルの映像をバックに、土着的なムード漂うダンストラックを用いたパフォーマンスリレーを見せ、ライブを次のシーンへと進めた6人。TETTAとNAOYAが見せたダイナミックなフラッグパフォーマンスにも客席が沸き立つ中、ステージに1人残ったREIは仮面を装着した瞬間にHAYATOとEIKUに早変わりするというイリュージョンを見せる。REIと同様仮面を着けて現れた2人がそれを取り去ると、2MCスタイルのヒップホップナンバー「Dropped」へ。今ツアーの世界観に合わせて書き下ろしたというこの曲で、彼らは卓越したラップスキルと挑発的なパフォーマンスを見せてオーディエンスを魅了した。すると、続いてステージに姿を見せたKENSHINとNAOYAは「Black Hole」を艶やかに歌い踊る。普段は主にラップパートを担う2人が聞かせる甘いボーカルと湿度を感じる視線。彼らが手繰り寄せたトップスの裾からは素肌がのぞき、客席からは声にならない悲鳴が絶えず漏れ聞こえていた。
KENSHINとNAOYAがステージを去ると、今度はTETTAが1人でスポットライトを浴び「Bla Bla Bla」をじっくりと歌い届ける。持ち前のボーカルスキルを遺憾なく発揮し、繊細な感情の揺らぎをマイクに乗せる彼の真摯なパフォーマンスに、聴衆はじっくりと耳を傾けた。メンバーそれぞれが持つオンリーワンの個性が輝いたリレーパートのアンカーを担ったのはREI。スパンコールジャケットを羽織ったきらびやかないでたちでSWAGの前に現れた彼は、ビッグバンドアレンジが施された「TALKIN'」を歌い、優雅にステップを踏む。コーラスとダンサーを務めたHAYATOとKENSHINもREIのオンステージに華を添え、3人が醸すハートフルな空気感の中でストリングカーテンが下ろされた。そして再びカーテンが上がると、そこには純白の衣装に着替えた6人の姿が。NAOYAの「SWAG、愛してるよ!」というメッセージとともに、彼らはアンコールの定番曲「My Love」をここで届ける。彼らの甘いハーモニーとスイートな表情に、ステージ上の巨大仮面の目も「♡」になったハートフルなひととき。ラストサビでステージに上がったムービーカメラにメンバーは次々とハートサインを送り、最後のTETTAは「すき♡」というメッセージと投げキッスのフルコースでSWAGを喜ばせていた。
“新境地”見せた中盤
11曲を一気に駆け抜け、この日最初のMCでは、HAYATOが「ワンマンでガーデンシアターを埋めることができました!」と喜びをあらわに。客席を見渡したKENSHINは「“パンパカパン”ですね!」と、独特な表現で超満員の状態を表現し、メンバーとSWAGの笑顔を誘う。そしてTETTAは「この会場ね、ガチでデカい声出すと揺れるらしい! だから揺らしてほしいの!」とSWAGに懇願した。
「これマジでやりたかった!」と目を輝かせたHAYATOによる会場を4層に分けてのコール&レスポンスを経てメンバーが姿を消すと、「Fiesta」収録の「Too Much」を使ったイメージ映像がSWAGの目を奪う。海辺の崖にたたずむ6人の端正な姿に期待感が高まる中、映像と同じ濃紺のセットアップに着替えて聴衆の前に戻ったメンバーは、この「Too Much」でパフォーマンスを再開させた。南アフリカ生まれのダンスミュージック・アマピアノを取り入れたこのナンバーで、6人は静かながらも確かに情熱を宿す歌とダンスを見せ、これまでとはひと味違うセンシュアルな表現でSWAGを魅了する。同じく「Fiesta」収録のEDMナンバー「R.U.S.H」では、飛び交うレーザー光線の中でハイエナジーな群舞を見せた6人。続く「FOCUS」でも、ロングテーブルを効果的に使ってフォーメーションを目まぐるしく切り替えながら、キックを多用するアグレッシブなダンスを踊るメンバーの姿がオーディエンスの目を奪う。マイクをヘッドセットに切り替えて届けられたこのシーンで6人が見せたのは、巧みなボーカルワークとテクニカルなダンスパフォーマンスが高次元で融合するONE N' ONLYの新境地。「FOCUS」の終盤、EIKUとTETTAによる力強いボーカルの掛け合いも聴衆の心を確かに揺さぶる。曲数を重ねるごとに渦巻く熱は高まっていき、まっすぐなメッセージソング「We'll rise again」で6人が見せたがむしゃらなアティチュードも相まって、心地よい高揚感がガーデンシアターに充満していた。
熱狂加速するフィナーレへ
6人が3組に分かれてのダンスレクチャー動画を経て、カラフルなスタジャンに着替えたメンバーがステージに戻ると、彼らは「Free Hug」からSWAGとの一体感でステージを作り上げるメドレーでラストスパートをかけていく。6人の軽やかな歌声に「A.S.A.P!」という元気いっぱいのコールが響いた「Nice Guy」で絆を確かめたのち、「HOLIDAY」ではKENSHINが「まだまだそんなもんじゃないよね?」と客席に問いかける。すると、SWAGからは大きなメンバーコールの声が。曲をリードするKENSHINはそのまま「東京ガーデンシアター」「上村謙信!」というコールを起こし、5人から「嘘でしょ?(笑)」という楽しいツッコミも浴びていた。「Departure」のドープなサウンドで一気に空気を塗り替えた6人がメドレーの最後に投下したのはアッパーなヒップホップトラックの「Hook Up」。強烈な重低音にリズミカルに体を弾ませ、圧倒的な熱量をもって6曲を駆け抜けたのち、勢いのまま突入した「Fiesta」収録の「Burn it out」では灼熱のバンドサウンドが会場の熱狂を加速させる。「Burn it out」は、HAYATOとTETTAの「ライブ後半に披露して、走り回って、大暴れできれば」という思いから制作された楽曲だ。興奮に身を委ね、思いのままにSWAGを煽り、叫び、ステージを駆け抜ける6人。EIKUがステージに横になって歌い叫べば、サビのパートを担うREIは力の限りのシャウトを大空間に響かせる。彼らの思惑に違わぬ熱い一体感が形成されたクライマックス、本編のラストに届けられたのは「Fight or Die」。リードボーカルを担うTETTAが爆発力に満ちた歌声でステージを牽引すると、彼らの背後からはスパークラーが噴出し、祝祭のフィナーレをド派手に彩った。
ガーデンシアター公演に至るまでのメイキングで構成されたエンドロール映像が上映されてもなお、熱狂の余韻を引きずるSWAGから送られる「ワンエン!」コール。これを受けてステージに戻ったメンバーは、「Freaking Happy」でアンコールをスタートさせた。“バンザイ”のポーズで片足ステップを刻む6人の心踊るダンスと晴れやかな表情に笑顔の輪が広がるガーデンシアター。勢いのままに再びの「Fiesta」へと展開すると、HAYATOは「今夜、これが本当に最後だぜ! みんなラストまで踊りまくれ!」とSWAGを煽る。このツアーを通し、回を重ねるごとに6人とSWAGの一体感が強固なものとなっていった「Fiesta」。すべてを出し切る勢いで満員の客席と向き合うメンバーの気迫に満ちたパフォーマンスとSWAGの声援はこの日一番の盛り上がりを生み、「Fiestaツアー、SWAGお前らマジで愛してるぜ!」とHAYATOが叫ぶと祝砲のようにテープキャノンが発射された。
「新しい ONE N' ONLYの形が見えた気がします」
「みんな出し切ったって顔してる。俺らも全身全霊で出し切りました!」とHAYATOが充実の表情で口にすると、最後に6人は1人ずつ思いを伝えていく。「僕は個人的に、このツアーを通して殻を1つ破れたかなと思っています」とNAOYAが瞳を輝かせると、EIKUは「長いようで短かったツアーという感じで……体感0秒でした!」と言ってメンバーとSWAGを笑わせつつ「皆さんの声援が僕たちの支えになって、最高のステージになったと思います」と満足げに語る。愛おしそうに客席を見渡したKENSHINが「こうしてみんなが見せてくれたガーデンシアター満杯の景色、忘れられないですし、心に刻みます。みんなが応援してくれるおかげで僕らいろんな景色を見ることができているから、恩返しの気持ちでパフォーマンスさせてもらいました」と言うと、続くTETTAは「この景色を絶対に忘れることはないし、春ツアーではもっといい景色を見たいので……ここにいる皆さん、春ツアー、そして武道館、絶対来てください!」と未来を見据えた。
「僕、普段はライブ始まる直前って正直すごく緊張しているんですけど、今日はすごくわくわくしていました。こういう気持ちをくれるみんなに向けて、もっとがんばらないとって思いました」と思いを明かしたREIは「まだまだ僕たち、大きくなります。1人ひとり愛してます、ホントにありがとうございます!」とまっすぐにSWAGに伝える。そして最後にHAYATOは「僕らいろんな経験をしてきた中で、ポンポンと次のステージに行けない時期もあったけど、47都道府県ツアーからパシフィコ横浜、東京ガーデンシアターと1つずつ大きなステージに立てるようになってきていて。今回の『Fiesta』は、SWAGが全力で応援してくれることに感謝したいなと思ったツアーでした」と総括し「こうやってたくさんライブをやって、会話するようにパフォーマンスすることで、みんなの背中を押せるようなアーティストになりたい。ポジティブな気持ちを届けたい、そういう気持ちを第一に活動したいという思いが、メンバーみんなの中で強くなっています」「この熱い気持ちをずっと燃やして、春ツアーも武道館も、この先のワンエンが楽しみになるような時間にしたいと思います」と誓った。挨拶を終え、客席の端から端までSWAGに手を振って終演を惜しんだ6人。HAYATOは「また新しい ONE N' ONLYの形が見えた気がします」と手応えを語り「2025年の活動もよろしくお願いします! マジできれいだなこの景色! またね、愛してるぜ!」とSWAGへ思いを叫んだ。
メンバー挨拶全文・セットリスト
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@natalie_mu 🍫