MONO NO AWAREはライブが楽しくて仕方ない、嵐の夜に“同釜”たちと繰り広げた祝宴

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MONO NO AWAREの全国ワンマンライブツアー「アラカルトツアー」の追加公演が8月29日に東京・LIQUIDROOMで開催された。

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)

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“松屋あの世店”にたどり着くと

スタッフと円陣を組むMONO NO AWARE。(Photo by renzo masuda)

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MONO NO AWAREが6月にリリースした5thアルバム「ザ・ビュッフェ」。本作は“食”を媒介として見える文化や習慣の違い、多様性との向き合い方をテーマに、多彩な音楽性が詰め込まれた意欲作だ。アルバムを携えて全国を巡った4人はツアー初日公演以来の東京の地で、さらに磨きのかかったサウンドを披露した。なお追加公演はLIQUIDROOMの恵比寿移転20周年の祝福を兼ねて行われ、チケットはソールドアウトとなった。

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)

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玉置周啓(Vo, G)(Photo by renzo masuda)

玉置周啓(Vo, G)(Photo by renzo masuda)[拡大]

柳澤豊(Dr)が叩くボレロ調のドラムを合図に、ステージの幕が開き、逆光のメンバーの姿が現れる。1曲目はアルバムのコンセプトが色濃く反映された「同釜」だ。ダンサブルなビートに切り替わり、竹田綾子(B)の歪んだベースが狼煙を上げるように轟くと、観客が“祝宴”の始まりを全身で喜んだ。なめらかにラップを繰り出す玉置周啓(Vo, G)は至ってクール。彼の言葉に呼応するように加藤成順(G)が浮遊感のあるギターを効果的に重ねる。そうしてじっくり時間をかけて音を積み重ねた末、「同釜」のラストのパンチライン「松屋あの世店でやっと会えた君と飯を食う」にたどり着き、演奏が凶暴性を帯びた瞬間、フロアから爆発じみた歓声が。それはバンドサウンドとひとつになり、LIQUIDROOMの“立方体”の空間すみずみまでが一時ものすごい轟音で満たされる。アルバムと同じくライブでもオープニングを飾った「同釜」の演奏は、メインディッシュ級のパンチ力ですっかり“お仲間”と化した観客の胸をたぎらせ、この日最初のハイライトとなった。

1つとして同じ味のない楽曲群

加藤成順(G)(Photo by renzo masuda)

加藤成順(G)(Photo by renzo masuda)[拡大]

次に配されたのは、最新作の中で異彩を放つ妖しげなナンバー「うれいらずたのぼー」。アウトロで徐々にテンポアップし、極限まで上り詰めるような演奏を展開した4人は、そのヒリヒリとしたムードのままエネルギッシュな「異邦人」へとなだれ込む。そんなライブ冒頭を経て、親心を歌う「もうけもん」、早口言葉がテーマの「かむかもしかもにどもかも!」という遊び心のある楽曲では一気に場内の緊張がほぐれ、大人も子供も笑顔で踊るハートフルなムードが広がった。

柳澤豊(Dr)(Photo by renzo masuda)

柳澤豊(Dr)(Photo by renzo masuda)[拡大]

竹田綾子(B)(Photo by renzo masuda)

竹田綾子(B)(Photo by renzo masuda)[拡大]

その後もライブ定番曲を挟みながら観客を新作の世界へと誘った4人。柳澤は終始、安定感抜群のビートで演奏を牽引し、アルバム制作で頻出ワードだったという“ノリ”を体現するようなリズム感で観客の心身を踊らせる。竹田は頭でリズムを取りながら、熱くも冷静に演奏を支え、随所に差し込むコーラスでもアンサンブルに深みを与えた。彼女の反対側、ステージ下手では加藤が髪をなびかせながら情熱的にプレイ。カラフルな音色を巧みに操り、バンドのアイデンティティであるサウンドとクセになるリフを生み出す。そして、それらの中心を担う玉置は、1つとして同じ味のないユニークな楽曲群を、エネルギーを放ちながら動的に奏で、歌い上げる。ツアーの中でタフさを増したステージは見どころにあふれ、フロアを常に高揚感で満たした。

メチメチに楽しいライブを

玉置周啓(Vo, G)(Photo by renzo masuda)

玉置周啓(Vo, G)(Photo by renzo masuda)[拡大]

大胆なアレンジを施した「そういう日もある」に続き、「ブーゲンビリア」で「こういう日も悪くないね」と歌った玉置。この日、台風の影響が各地で出ていることに触れた彼は「違う気圧を生み出して、心の台風を退けましょう。そういうライブをします」と宣言し喝采を浴びた。さらに「今、僕らはライブが楽しくて仕方がないタームですので。ブチブチに、メチメチに楽しいライブをして去っていきます。そういう出会いの時間にできたら」と独特の擬態語を用いて語った。

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)[拡大]

その後、ボサノバ風にアレンジされた「イニョン」でライブは終盤へ。「あんたにはまたどっかで会うわ」と繰り返し歌い、観客との“イニョン=縁”を結んだ4人は、エモーショナルな「風の向きが変わって」へとつなぐ。そして「東京」で観客それぞれの心象風景を1人ひとりの目頭に浮かばせたMONO NO AWARE。最新作のラストの流れをなぞるように「忘れる」「アングル」をまっすぐに演奏し、大歓声の中でステージをあとにした。

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」の様子。(Photo by renzo masuda)[拡大]

アンコールでMONO NO AWAREは最新作より「あたりまえ」を繊細に、1stアルバムより「駈け落ち」をアグレッシブにパフォーマンス。嵐を巻き起こすような強烈なプレイで深い余韻を残し、充実のライブに幕を下ろした。本公演のセットリストはSpotifyとApple Musicでプレイリストとして公開されている。

MONO NO AWAREは11月16日に東京都八丈島のライブハウス・八丈島POT HALLで「アラカルトツアー」“追加追加公演”を2部制で開催。10月には特別編成で東阪のBillboard Liveのステージに立つ。

セットリスト

「MONO NO AWARE 追加公演 / LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY」2024年8月29日 LIQUIDROOM

01. 同釜
02. うれいらずたのぼー
03. 異邦人
04. もうけもん
05. かむかもしかもにどもかも!
06. 味見
07. 幽霊船
08. そういう日もある
09. ブーゲンビリア
10. 88
11. イニョン
12. 風の向きが変わって
13. 東京
14. 忘れる
15. アングル
<アンコール>
16. あたりまえ
17. 駈け落ち

ライブ情報

MONO NO AWARE Billboard Live Tour 2024

2024年10月22日(火)東京都 Billboard Live Tokyo
[1st]OPEN 17:00 / START 18:00
[2nd]OPEN 20:00 / START 21:00

2024年10月24日(木)大阪府 Billboard Live Osaka
[1st]OPEN 17:00 / START 18:00
[2nd]OPEN 20:00 / START 21:00

MONO NO AWARE 追加追加公演 in 八丈島

2024年11月16日(土)東京都 八丈島POT HALL
[1部]OPEN 14:00 / START 14:30
[2部]OPEN 18:00 / START 18:30

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読者の反応

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もちチーズのりまき @UNoN1C6nzWj8B4W

いい写真いっぱい…行きたかった😭
ブーゲンビリアやってるあああああ😭😭😭

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