フジファブリック、出し惜しみせずに20周年へ転がり出したツアーファイナル

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フジファブリックの全国ツアー「プラネットコロコロTOUR 2023」のファイナル公演が、11月1日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて開催された。

フジファブリック(撮影:森好弘)

フジファブリック(撮影:森好弘)

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2024年のデビュー20周年を控えた今年、精力的なライブや新曲リリースを展開してきたフジファブリック。今回のツアーはそうした活動の集大成、かつ20周年への弾みを付けるような意欲的なセットリストで行われ、全国のファンを楽しませた。

出し惜しみなし、レア曲連投

山内総一郎(Vo, G)、加藤慎一(B)、金澤ダイスケ(Key)、サポートメンバーの伊藤大地(Dr)がステージに現れ、逆光に照らされる中で最初に奏でたのは「STAR」。徐々に熱量を増していく4人のアンサンブルで観客の心を一気に引き込むと、その後はカラフルなライトの下で「Sugar!!」の心地よいリズムを鳴らす。「何がなんでもひとつになろうぜ、東京!」と山内が叫んでから始まった「ミラクルレボリューション No.9」では、オーディエンスがすっかり体に染み込んだおなじみの振付を楽しげに踊る。「LIFE」は間奏後のブレイク部分を山内がいつも以上に溜めてみせ、エモーショナルなボーカルでフロアを盛り上げた。

山内総一郎(Vo, G)(撮影:森好弘)

山内総一郎(Vo, G)(撮影:森好弘)[拡大]

MCで山内は今回のツアーへの思いを「19年目の最後のツアー。みんなで転がしてきたこのバンドの全曲……とは言わないまでも、すべてを見せたいと思っています」と語り、「全身全霊でやりたいと思います」と意気込んだ。そして始まった楽曲は「ポラリス」。“全身全霊”という言葉を回収したこの曲のあとは、独特の熱気と情感に満ちた「楽園」、そしてトリッキーなアンサンブルを聴かせる「夢みるルーザー」へ。多彩な楽曲の連投で「すべてを見せる」という山内の言葉を体現してみせた。

山内は今回のセットリストについて「来年が20周年なので、今までやってきたことを出し惜しみするのはヤだなと」と話し、後半に向けてファンの期待をさらに高める。そして「今までの曲を聴き返して『どれをやろうか』と話していたら、『秋の曲ってけっこうあるよね』という話になって。短いけどいい季節、その季節を大事にしてきたバンドなので、秋にまつわる曲を何曲かやろうと思います」と続くブロックを説明した。

金澤ダイスケ(Key)(撮影:森好弘)

金澤ダイスケ(Key)(撮影:森好弘)[拡大]

オレンジ色に染まったステージで始まった曲は、フジファブリックがデビューした2004年にリリースされたシングル「赤黄色の金木犀」。懐かしい楽曲に一瞬フロアはざわめくが、メンバーが織り成す哀愁に満ちた世界にすぐに惹き込まれていった。「透明」をたおやかに届けたあとは「Water Lily Flower」の壮大なアンサンブルを響かせる。金澤と加藤の流麗なコーラスワークで観客を感動に導いたのち、4人は「Light Flight」を力強くパフォーマンスした。

最新曲「プラネタリア」も披露

レアな楽曲の連続に、まだ少し夢見心地なオーディエンスを見渡しつつ、山内は「いやあ、いい曲だしいい演奏でしたね(笑)」と照れ隠しのように振り返る。そして「毎回やっている曲じゃないんですけど、今回は出し惜しみしないセットリストにしようと。『Light Flight』って隠れた名曲だなと思いましたし、もう隠すのはやめようと思いました(笑)。たぶんどんどんやっていくのでよろしくお願いします」と、曲の魅力を改めて語った。

加藤慎一(B)(撮影:森好弘)

加藤慎一(B)(撮影:森好弘)[拡大]

その後は金澤と加藤もマイクに向かい、観客に挨拶。ハンドマイクを握っておもむろにステージ前方に移動した金澤は「このツアーでは前に出ることを許されたんですよ。でも時間が来ると戻されるという、シンデレラのようです」と軽妙に話しつつ、ライブハウスツアーということで観客との距離の近さを喜ぶ。加藤は「けっこうひさしぶりにこの会場に来たなと思って。でも僕は今月もう1回来るんですよ」と、自身が出演する11月27日のトークライブ「渋谷怪談夜会」の宣伝をナチュラルに開始して金澤にツッコまれていた。一方、サポートメンバーの伊藤はメンバーたちが地元のライブでファンから「おかえり!」と声をかけられていたことをうらやましそうに回顧。自らが東京出身であることを話してフロアの「おかえり!」の声を浴び、笑顔を見せた。

ライブも終盤に差しかかったところで、ツアー中の10月25日にリリースされた最新曲「プラネタリア」が披露された。アニメ「新しい上司はど天然」のオープニング主題歌であるこの曲について、山内は原作から受け取った思いを「人と人が出会って新しい扉が開いたり、新しいものが見えるようになることが色濃く描かれていて。それを切り取って曲にしました」と話し、そのメッセージを語りかけるように丁寧な歌声を届けた。「TAIFU」「Splash!!」「Feverman」とアッパーチューンを連投したあと、本編最後は「虹」へ。大サビではフロアが大合唱し、4人もアグレッシブなソロ合戦でそれに応えた。

20周年はニューアルバム&記念ライブ

フジファブリック(撮影:森好弘)

フジファブリック(撮影:森好弘)[拡大]

アンコールでは最初に「若者のすべて」を演奏。真摯なパフォーマンスで会場を魅了したあと、山内は次に披露する「こころころころ」について語り始めた。「プラネタリア」のカップリングでもあるこの曲は、山内曰く「出会いによって変わっていく、転がっていく」ことを歌った曲とのこと。バンドの軌跡を振り返り「いいほうに転がっていくこともあれば、転がれないこともある。そういう繰り返しだったけど、僕にとって皆さんはバンドを転がしてくれる存在です」と話した山内は、温かみのあるサウンドで観客を包み込み「ひさしぶりにこういうのどかな曲ができてうれしいな」と笑った。

最後のMCで改めてファンへの感謝を述べた山内は「皆さんに提案があるんですけど……来年何日かくれへんかな? 俺たちと一緒に素晴らしい景色を見てくれへんかな?」と思わせぶりに話し、何かを察したフロアの大歓声を浴びる。ここで発表されたのは2024年に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)と東京ガーデンシアターで行われるデビュー20周年ライブの開催。大喜びするオーディエンスに向け、さらに金澤から1月にはニューアルバムをリリースすることも明かされると、その歓声はますます大きくなった。金澤は「めっちゃがんばってます。遅れないようにがんばります!」と制作状況を明かし、山内は「名盤になるんじゃないかと。変な曲がいっぱいです!(笑)」と自信を見せた。

ツアーを締めくくったラストナンバーは「SUPER!!」。4人は充実した表情でフロアに手を振り、山内は「また20周年で会いましょう。ツアー大成功!」と叫んでステージをあとにした。

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セットリスト

「プラネットコロコロTOUR 2023」2023年11月1日 Zepp DiverCity(TOKYO)

01. STAR
02. Sugar!!
03. ミラクルレボリューション No.9
04. LIFE
05. ポラリス
06. 楽園
07. 夢みるルーザー
08. 赤黄色の金木犀
09. 透明
10. Water Lily Flower
11. Light Flight
12. プラネタリア
13. TAIFU
14. Splash!!
15. Feverman
16. 虹
<アンコール>
17. 若者のすべて
18. こころころころ
19. SUPER!!

公演情報

フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at LINE CUBE SHIBUYA 2024「NOW IS」

2024年4月14日(日)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

フジファブリック20th anniversary SPECIAL LIVE at TOKYO GARDEN THEATER 2024「THE BEST MOMENT」

2024年8月4日(日)東京都 東京ガーデンシアター

読者の反応

Keisuke Odagiri @harasu_onigiri

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