このツアーは3月に発売されたシングル「Break into the Light~約束の帽子~ / The Sharing Song~トリコのテーマ~」、およびミニアルバム「HEROES」のレコ発ツアーとして、全国15公演にわたって行われた。最終日のZeppには超満員のファンが詰めかけ、メンバー9人の力強いパフォーマンスを堪能した。
オープニングを飾ったのは「Boogie Stop Shuffle」。ミディアムテンポのイントロが鳴り始めると、オーディエンスは自らの期待を高めるように手拍子を始める。そして曲が一気にスピードアップすると同時に、フロアでは激しいモッシュが起こる。そのまま「Chase」「The Sharing Song」と高揚感を煽るナンバーを連発。メンバーはそれぞれステージ中央に躍り出てソロパートを鳴らし、観客の歓声に応えていた。
谷中敦(B.Sax)の「いい感じだね、最高だね! アゲていくよ、なぜなら今日は最終日だから!」というMCに続いては「Straw Hat Boogie」。ホーン隊4人の音色がユニゾンからソロへと華やかに展開し、場内に響き渡る。「SOUL GROWL」では沖祐市(Key)がハンディサイズのハモンドオルガンを手にステージを走り回り、コミカルながらも迫力あるソロを聴かせた。
中盤では茂木欣一(Dr)の恒例MCが入る。「帰ってきたぜ、TOUR HEROES! 最終日にこんなに素晴らしい表情の人たちに会えてうれしいです! 最初からブレーキが効かない感じだぜ、誰も止められないよね!(笑)」とハイテンションに語った後は「8月にミニアルバムが出るんだけど、これがすごくいいんだよね(笑)。みんなも待てないよね? 今日1曲、ここで歌わせてもらいます!」と紹介。8月3日リリースのミニアルバム「Sunny Side of the Street」から、東京シティ競馬トゥインクルレース25周年テーマ曲に起用された「Twinkle Star ~頼りの星~」を披露した。
この曲はスカパラらしいエネルギッシュな疾走感と、都会的な雰囲気が共存したナンバー。新曲とは思えない盛り上がりがフロアを満たした後は、往年の名曲「花ふぶき」を渋く聴かせる。続く「Break into the Light ver.#2 ~ Roar of swords」で再び会場の空気は一変。音数が多く華々しいアレンジとアグレッシブなメンバーのステージングで、オーディエンスを圧倒していた。
NARGO(Tp)が曲前に「Tequila」を奏でて会場を沸かせた「SKA ME CRAZY」に続いては、谷中が「3月に震災があって4月にレコーディングをしたので、テーマはシンプルに『We can do it』にしました」と説明した新曲「All Good Ska is One」。ミニアルバム「Sunny Side of the Street」に収録されるこの曲ではFISHBONEのアンジェロ・ムーアとコラボレーションを果たしているが、この日は谷中と大森はじめ(Per)がボーカルを取った。オーセンティックなテイストのサウンドに乗せ、メンバーの思いが込められた歌が会場に響く。オーディエンスも彼らの気持ちを受け取るように、じっくりと聴き入りながら身体を揺らした。
そしてライブはいよいよ終盤戦へ。川上つよし(B)の奏でる印象的なフレーズから始まった「THEME FROM LUMPY GRAVY」では、9人それぞれが歯切れのいい音を鳴らしてオーディエンスのテンションを高める。ドラマチックな展開を見せた「Pride of Lions」のアウトロから、沖はそのままピアノを奏でて「水琴窟」へ。涼やかなピアノの音色と熱く激しいホーンの音がひとつに収束し、後半の熱狂へ導く流れでフロアの盛り上がりはピークに達する。ラストを飾ったナンバーは「Break into the Light」。会場全体に照明が灯され、ステージとフロアが一体となったまま本編が終了した。
熱烈なアンコールの声に応えて再びステージに現れた9人は、ゆっくりと楽器を構え「You'll never walk alone」を披露。重厚なハーモニーにファンが酔いしれた後、このツアーを総括するMCが始まる。谷中は「今、東京は元気がない気がしてたんだよね。なんか『節電モード』って感じでしょ? 東京の人はお互いを見て周りに合わせちゃうから、東京人って意識のある人はどんどんアゲていってほしいな。こんなふうにまとめてたくさんの笑顔が見られる空間は本当にうれしいですね」と語り、フロアから拍手を浴びた。
そしてメンバーそれぞれもツアーを振り返る。加藤隆志(G)は4月に出演したメキシコのフェスティバルについて「盛り上がりがものすごかったんですよ。どのぐらいすごいか説明がつかないくらい(笑)。メキシコとその後行ったタイと、あとこうやって集まってくれたみんなから力をもらって、今回のツアーができたと思います」と話す。また、NARGOはツアーの仙台公演を振り返り「仙台でできるってなったときはみんなで大喜びしましたね。実際に行ってみたら、想像以上にみんなが元気になろうとしていて、どの会場よりもハイテンションで僕らが元気をもらいました。常に彼らとともにあると思って、これからも世界中を元気にしたいです」と語った。
谷中が「東京、エネルギー見せてくれよ!最後にそのエネルギー無駄使いしてくれよ!」と叫び、アンコール2曲目として「DOWN BEAT STOMP」を演奏。オーディエンスは谷中の声に応えて激しく踊り狂い、メンバーもフロアから放たれるエネルギーに負けじと熱いパフォーマンスを惜しみなく続けた。
曲が終わり、メンバーが笑顔で挨拶して去った後もダブルアンコールを求める手拍子は鳴り止まない。ほとんどの観客があきらめずに長い時間手を叩き続け、メンバーがその情熱に根負けしたかのようにステージへ戻ってきた。谷中は「うれしいね、最高だ。クリーンエネルギーだね(笑)」と笑い、「Just say yeah!」をプレイ。会場全体が一体になり、世界中にその“クリーンエネルギー”を届けるような熱狂の盛り上がりを見せた。
スカパラはこの後、7月からヨーロッパツアーを敢行。8月3日のミニアルバムリリースに続き、8月6日には主催フェス「トーキョースカジャンボリー vol.3」を山梨県で開催する。そして夏フェスシーズンを経て、10月からは全国ホールツアーへと旅立つ。今年後半も彼らの勢いは加速するばかりだ。
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA 2011 STANDING TOUR "HEROES"
2011年6月23日 Zepp Tokyo セットリスト
01. Boogie Stop Shuffle
02. Chase
03. The Sharing Song ~トリコのテーマ~
04. Straw Hat Boogie
05. SOUL GROWL
06. STORM RIDER
07. Full throttle ~ SEA MONSTERS
08. Twinkle Star ~頼りの星~
09. 花ふぶき ~愛だろ、愛っ。~
10. Break into the Light ver.#2 ~ Roar of swords
11. SKA ME CRAZY
12. All Good Ska is One
13. Day By Day
14. THEME FROM LUMPY GRAVY
15. Pride of Lions
16. 水琴窟 -SUIKINKUTSU-
17. Break into the Light ~約束の帽子~
EN1-01. You'll never walk alone
EN1-02. DOWN BEAT STOMP
EN2-01. Just say yeah!
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音楽ナタリー @natalie_mu
「世界中を元気にしたい」スカパラツアーお台場で千秋楽 http://natalie.mu/music/news/51908