ビッケブランカが「RAINBOW ROAD」で見た“素晴らしい景色”「またここで会いましょうね！」

ビッケブランカが10月30日に東京・東京ガーデンシアターでワンマン公演「Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-」を開催した。

「RAINBOW ROAD」はビッケが日々の音楽活動の中で気付いた、自身を支えてくれるファンへの思いを形にすることをコンセプトにした、新たなライブシリーズ。“デビュー5周年のファイナル”という位置付けでこのライブシリーズを立ち上げたビッケは、今回のステージのために用意したセットリストと演出で、集まったファンを存分に楽しませた。

割れんばかりの拍手に迎えられてステージに姿を見せたビッケは大きく手を上げて歓迎を受け止め、ステージの端から端までを歩いて広い会場を見渡す。開口一番「Are you ready!?」と呼びかけた彼がオープニングナンバーに選んだのは「Shekebon!」。遊び心あふれるダイナミックな曲展開に彼のアイデンティティが色濃くにじむこの曲を挨拶がわりに届けると、ステージ上から放たれるパワフルなサウンドに、オーディエンスも開放的なノリで呼応して瞬時に熱狂の空間を作り上げる。

ステージのあちこちからスモークが噴出する中、ピアノと向き合ったビッケとバンドメンバーが刺激的なセッションを展開した「ココラムウ」、ギターを手にご機嫌なロックサウンドを鳴らした「Moon Ride」を終えると、ビッケはファンを歓迎し「ずっと楽しみにしていました。この『RAINBOW ROAD』に関しては、どうやったら面白くなるかなって、いつも以上に考えてきたような気がします。貴重な時間一緒に過ごせたら」とこのライブにかける特別な思いを語った。そんなMCののち、「Black Catcher」はバンド編成のアレンジで届けられ、バンドのアグレッシブな演奏を鋭く貫くビッケの力強いファルセットボイスが広い会場に響き渡った。

アシンメトリーに組み上げられたステージセットの上に立ち、張り裂けるような感情表現を歌に乗せて聴衆を釘付けにした「ミラージュ」まで6曲を届けると「ちょっとカッコつけすぎちゃったかな……」とつぶやいたビッケ。「でもさ、よく思い出してほしい。本来ビッケブランカは芯食った音楽をやる、めっちゃカッコいいヤツなはずなんですよ」と“自己解決”すると「もうカッコつけきったので（笑）。ここからはフレンドリー側のビッケブランカが出てくると思います」と観客に伝える。そんな予告ののち、「1、2、3！」のカウントで始まったのは「オオカミなら」。この曲で、ステージセンターからアリーナ席へと伸びる花道へ初めて進んだ彼は、三方を囲むファンに笑顔を向けながら柔らかくこの曲を歌い上げた。

ライブ中盤、花道の先のサブステージに電子ピアノと照明の付いた椅子が置かれると、そこに腰かけたビッケは「せっかくこういう場所があるから、しっかりバラードを聴いてもらおうと思って」とひと言告げる。ここで彼は「Divided」「まっしろ」といったバラードナンバーを弾き語りで披露。小さな光の下、繊細な演奏と歌で楽曲を歌い届ける彼の静かながらも熱を帯びた歌声に、オーディエンスもじっくりと聴き入った。続けて彼がプレイしたのは、「自分の心の一番下のところが動いたタイミングで創作した曲」だという「魔法のアト」。広い会場の真ん中でピアノと向き合うビッケが作り上げたごくごくパーソナルな世界観を、観客は息をのむように見守っていた。

緩急自在のステージングで、自身の持つさまざまな表情を惜しみなく見せてゆくビッケ。「もう、盛り上がっていきたいんだよな」という彼の声にオーディエンスが椅子から立ち上がると、ビッケはステージをゆっくりと歩きながら観客たちの笑顔をじっと見つめ「幸せ者です」とつぶやいた。「また次会うときには、みんなからビッケ、ビッケ！って呼んでもらえるように。そういう場所を絶対に作ろうと思います。またすぐにこの素晴らしい景色を共有できたらいいと思う！」。そう約束すると「Winter Beat」をタイトルコールし、心弾むビートに清々しいボーカルを乗せながら軽快にステージ上を駆け回る。バンドメンバーの奏でる楽器の音色が順に重なってゆくドラマティックなイントロアレンジが施された「Slave of Love 」では、ビッケの歌声に合わせてオーディエンスがリズミカルにハンズアップし、会場中が大きな一体感に包まれる。さらなる盛り上がりを作るべく曲中に拍手を求めたビッケは、ステージ上に降り注ぐように送られたファンからの盛大なクラップを受け止め「……最高です！」と喜びをあらわにした。

ミラーボールの光の粒が無数に光るステージの上、ビッケと4人のダンサーが歌い踊る華やかなパフォーマンスが展開された「This Kiss」で会場の熱気がまた1段引き上げられると、ここでドロップされたのはキラーチューンの「Ca Va?」。イントロの歌い出しからすでに大きな盛り上がりを見せる客席をさらに煽り立てるように、ビッケはトリッキーかつパワフルなボーカルワークを聴かせて狂騒の空間を作り上げた。ラストの「ウララ」では、ビッケとバンドが放つ底抜けに陽気なサウンドに、ファンも大きなハンドウェーブで反応。親密な空気感と熱狂が入り混じる晴れやかなムードの中で、「RAINBOW ROAD」の本編は締めくくられた。

アンコールは“変わりたい” と強く願う思いを歌う「Changes」で幕を開けた。ビッケが迫真のアカペラパフォーマンスを見せた繊細な歌い出しからスケール感あふれるサビへと展開していくドラマティックで美しいアレンジには、オーディエンスから惜しみない拍手が送られる。この曲を終えるとビッケは「思い入れが強すぎて、あんまり言いたいことないかも（笑）」と、「RAINBOW ROAD」に自身が込めた思いの強さをファンに吐露した。「『ビッケブランカがいるからちょっといい日になった』みたいな言葉って、皆さんが思っているよりもうれしいんです。どのミュージシャンもそうだと思うんだけど、そんなことあっていいの？って思う。とんでもない奇跡に感じるんですよ。それが結局、一番の活力になっているんですよね」とファンのサポートに感謝した彼は「一生懸命何かと向き合っていれば、そのときに生まれる音楽はきっと“何か”を帯びるんだよね。なんと容易い奇跡。僕はそれをずっと繰り返していきたいなと思っています。そんな気持ちでビッケブランカは、ここから6年目に入っていこうと思います。これからもよろしくお願いしますね」と思いを言葉にする。「またここからの1年への活力として、僕自身も注入したい曲を最後に届けたいと思います。また『RAINBOW ROAD』で会いましょうね！」と言ったビッケが届けたラストナンバーは「THUNDERBOLT」。力強いサウンドに会場の誰もが拳を掲げる中で「RAINBOW ROAD」は幕を閉じた。

なお、各配信サイトでは、この日の披露曲をセットリスト順に並べたプレイリストを公開中。またCSテレ朝チャンネル1では、この「Vicke Blanka presents RAINBOW ROAD -軌-」の特番が12月31日（土）にオンエアされる。