DISH//が雨と共に刻んだ“取り戻せない今”3度目のコニファーで繰り広げた壮大な宇宙の旅

16

2024

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 252 1771
  • 1 シェア

DISH//が8月27日に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストでワンマンライブ「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」を開催した。

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)

大きなサイズで見る(全10件)

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)[拡大]

2019年の初開催以降、毎夏恒例のイベントとなっているDISH//のコニファーフォレスト公演。「DISH//SUMMER AMUSEMENT '21 -森羅万象-」というタイトルを冠した前年に続く今回、DISH//は、地球上の森羅万象を超える「PLANET」という壮大な言葉をタイトルに付けた。会場に足を踏み入れると、壁面がすべてLEDビジョンに覆われた2段構えのステージがスラッシャー(DISH//ファンの呼称)の目に飛び込んでくる。集まった大勢のスラッシャーがこれから始まるであろう“宇宙旅行”に胸を高鳴らせる中、ライブの幕開けに高らかに鳴り響いたのは、スタンリー・キューブリック「2001年宇宙の旅」のメインテーマでもある「ツァラトゥストラはかく語りき」。全面LEDビジョンに映し出された壮大な宇宙空間を光速で走ってゆく映像が地球を捉え、富士山麓のコニファーフォレストにフォーカスすると、ステージ上に焚きしめられたスモークの中から北村匠海(Vo, G)、矢部昌暉(Cho, G)、橘柊生(DJ, Key)、泉大智(Dr)が姿を見せた。

彼らが1曲目に選んだのは、“地球外生命体”・ヴェノムの活躍を描く「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」の日本語吹替版主題歌でもあるラウドなロックナンバー「Shout it out」。ブラックホールや流星群、太陽のフレアなどの映像がスケール感を増幅させる中、4人は初っ端から轟音を響かせてオーディエンスを圧倒する。橘と泉のラップの応酬が勢いを加速させた「rock'n'roller」、燃える荒野の映像をバックに矢部がライトハンドを取り入れたテクニカルなギターソロで魅了した「FLAME」と、アッパーな楽曲を連投してギアを上げ続ける4人。橘がショルダーキーボードを構えてステージ最前線へと飛び出した「JUMPer」では思い切り飛び跳ねるスラッシャーによって客席に大きなうねりが発生し、これにはメンバーも「いいね!」と思わず笑みを浮かべる。

北村匠海(Vo, G)(Photo by Ray Otabe)

北村匠海(Vo, G)(Photo by Ray Otabe)[拡大]

青空の下に生まれる熱狂に、北村は最初のMCで「初めて雨が降ってないコニファーです! 歴史的な瞬間ですよ。これだよな、野外は!」とひと言。そして「太陽も機嫌いいことだし、懐かしい曲やろうか。なあ? 昌暉」と矢部に語りかけた。ここでプレイされたのは、6年前に矢部が作詞作曲を手がけたラブソング「僕の太陽」。北村が心地よい風に乗せて届けるピュアでまっすぐな思いに、聴衆はじっくりと耳を傾けた。北村が作詞、泉が作曲を手がけた「ありのまんまが愛しい君へ」では、橘の奏でる優しいピアノの音色が演出する静かで温かなムードが、これまでとは異なる内省的なムードを表出させる。大ヒットソング「猫」が届けられる頃には夕暮れも迫り、曲を終えた北村は「夕焼けが燃えてる感じでね」と、歌詞の描写と今この瞬間を重ね合わせながら、スラッシャーへと語りかけた。

矢部昌暉(Cho, G)(Photo by Ray Otabe)

矢部昌暉(Cho, G)(Photo by Ray Otabe)[拡大]

「ようこそ、我がスペースシップへ!」と改めて観客を歓迎した北村は「僕らもこんな宇宙旅行ができるなんて思っていなかったです」と言って、ステージを愛おしそうに見つめた。ここで彼が語ったのは、新曲「しわくちゃな雲を抱いて」への思い。北村作詞、泉作曲によるこの曲は、同じコンビで書き下ろした「ありのまんまが愛しい君へ」と連作になっていることを明かした北村は「どちらにも『大丈夫』という言葉が入っているんだけど、これは自分にも、みんなにも向けた『大丈夫』であって。どうなるかわからない毎日だけど、僕が描く大丈夫だよっていう気持ちを与えられたら」と自身のクリエイティブに込める思いを語った。そんな言葉ののちにプレイされた「しわくちゃな雲を抱いて」ではLEDビジョンにユニコーンカラーの雲が浮かび、北村は軽やかなバンドサウンドに乗せ、温かなメッセージを歌い上げていた。

泉大智(Dr)(Photo by Ray Otabe)

泉大智(Dr)(Photo by Ray Otabe)[拡大]

柔らかなムードを切り替えるようにエレクトロなサウンドが広がる「FLASH BACK」へと展開すると、ビジョンの中にはSF感満載のスペースシップが登場。2段構えのステージ構成で普段とは異なる距離感ながら、4人は密度の高いアンサンブルで分厚いサウンドを作り上げてゆく。「HIGH-VOLTAGE DANCER」では北村と矢部がギターをかき鳴らしながら鮮やかなターンを決めるエネルギッシュなパフォーマンスでスラッシャーを魅了した。そんな中、集まったスラッシャーをあっと驚かせたのが、北村・泉コンビによる浮遊感あるシティポップ「宇宙船」が届けられた場面。この曲でステージを飛び出した北村は、前かごにグレイ(宇宙人)を乗せた自転車に乗り込んで客席通路を疾走。「E.T.」のエリオット少年のごとくチャーミングな姿を見せるボーカルの姿を、ステージ上のメンバーもスラッシャーも笑顔で追いかけていた。

橘柊生(DJ, Key)(Photo by Ray Otabe)

橘柊生(DJ, Key)(Photo by Ray Otabe)[拡大]

「宇宙船」の曲中に降り出した雨は次第に強くなり、北村がステージに戻る頃には本降りの様相に。空を見上げた北村は「雨降ってんのかーい!」と思わず叫び「全然いつもと変わらない!(笑)」と少し肩を落とした。雨避けのビニールテントがステージ上に運ばれる中、4人は“夏の思い出”をテーマにトーク。「俺、花火やりたい! この大人数に見守られながら1人でやりたい」と名乗り出た橘が本当にステージ上で手持ち花火に火を点けたその瞬間、会場後方から打ち上げ花火が上がるというサプライズがオーディエンスの驚きを誘った。橘が作詞作曲した「音花火」はそんな粋な演出とともに届けられ、北村と橘はステージや花道を歩きながらクールなラップリレーを繰り広げていた。

北村匠海と矢部昌暉。(Photo by Ray Otabe)

北村匠海と矢部昌暉。(Photo by Ray Otabe)[拡大]

強い雨が打ち付けるコニファーフォレスト、薄曇りの空が夕闇へと変わりゆく中で届けられた「DAWN」では、北村がメインステージから花道の最先端へと力強く歩を進め、「そりゃあ雨の日だってあるよな!」と全身で雨を受け止める。オーディエンス、そして自分たちのテンションを引き上げてゆくかのごとく4人が演奏に没頭した「星をつかむ者達へ」、橘も最前線へと躍り出て北村とともに鋭利なラップを炸裂させた「B-BOY」を経て、「NOT FLUNKY」では矢部のパッションがついに爆発。ギターを置いて「俺の時間だあー!」と花道へ駆け出した彼は、自由すぎる歌声を響かせながら舞台上を縦横無尽に駆け回る独壇場を見せ、雨を跳ね返すほどのテンションでスラッシャーを盛り上げてみせた。4人の息の合ったソロ回しから彼らのライブに欠かせないアッパーチューン「Seagull」へとなだれ込むと、「踊れ踊れー!」と振り切れたテンションで叫んだ北村の声に合わせてファイヤーボールが豪快に放たれる。矢部も「押し寄せるスラッシャーに、心踊らせちゃうぞー!」と歌い替えて熱狂を加速させ、客席の熱気も最高潮へと達した。

手前から北村匠海、矢部昌暉。(Photo by Ray Otabe)

手前から北村匠海、矢部昌暉。(Photo by Ray Otabe)[拡大]

「雨降っちまったなあ」。最後の曲を前に、北村は少し肩を落としながら小さくつぶやいた。「初めてコニファー来たよっていう人いる? 毎年雨降ってるんですよ」と説明した彼は「『今年こそ、今年こそ』って思ってるんだけどね。でも途中雨降ってきたりとか、こういうトラブルがあるのがライブだし、生きてればいろんなことがあるって、たった数時間でそれを感じました」と続けると「DISH//の10年、紆余曲折いろんなことがあったけど、それが全部全部今日のこのライブに詰まっているような気がします」と言葉を噛みしめる。「今この場所がどんな状況であっても楽しんだり、自分に素直になって。そうやって、一瞬一瞬を大事にしてほしいです。過去は取り戻せないから」。そんな思いを「Replay」の歌と演奏に込めてオーディエンスへと届け、北村は「ありがとう。来年も再来年も、一緒に楽しいことしましょう」と告げてステージをあとにした。

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)[拡大]

スラッシャーが熱のこもった拍手で“おかわり”を待つ間に雨は止み、雨避けのビニールテントも撤去されたステージ。ファンの前へ再び姿を見せた4人は「好きになってくれてありがとう」でライブを再開させた。アニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングテーマとして書き下ろされた「No.1」ではオーディエンスを鼓舞する北村と矢部の歌声にも一層の熱がこもり、北村は力いっぱいに人差し指を天へと突き上げる。「まだまだ踊り足りねえんじゃねえか? 踊ろうぜ!」という北村の煽りを合図にドロップされたラストナンバーは「愛の導火線」。4人は圧倒的にパッショナブルな演奏によって、スラッシャーもLEDビジョンの中の宇宙人も一緒になってダンスを踊る狂騒を作り上げ、アンコールの3曲を一気に駆け抜けた。

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)

「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」の様子。(Photo by Ray Otabe)[拡大]

曲を終え、北村は「雨降ってテントが出てきたとき、ぶっちゃけ心が折れたんです。それでもすごいパッションのみんながいてくれて、スタッフがいてくれて。最後はみんなが見える状態でライブできてよかったです」と、ホッとしたような笑みを浮かべた。ここでは9月1日配信の楽曲「DAWN (in 2022)」がサッカー日本代表の応援プロジェクト「SAMURAI BLUE 新しい景色を2022」公式テーマソングに決定したことが北村の口から発表され、この大きなニュースにメンバーもファンも大盛り上がりで喜びを共有。雨上がりの夜空に前途を照らす花火が咲く中で今年のコニファーフォレスト公演は幕を閉じ、メンバーは「来年もずぶ濡れになろうな!」「来年も雨降ります!(笑)」「もう雨用の演出考えよう!」と冗談を飛ばし、笑い合いながら何度もファンに手を振っていた。

この記事の画像(全10件)

DISH//「DISH//SUMMER AMUSEMENT '22 -PLANET -」2022年8月27日 富士急ハイランド・コニファーフォレスト セットリスト

01. Shout it out
02. rock'n'roller
03. FLAME
04. JUMPer
05. 僕の太陽
06. That's My Life
07. ありのまんまが愛しい君へ
08. 猫
09. しわくちゃな雲を抱いて
10. FLASH BACK
11. Shall We Dance????
12. HIGH-VOLTAGE DANCER
13. 宇宙船
14. 音花火
15. DAWN
16. 星をつかむ者達へ
17. B-BOY
18. NOT FLUNKY
19. Seagull
20. Replay
<アンコール>
21. 好きになってくれてありがとう
22. No.1
23. 愛の導火線

全文を表示

読者の反応

ソニーミュージック @SonyMusic_JPN


#情熱大陸 ご覧いただき
有難うございました🎶


#DISH//についての記事も是非チェックしてみてね👀

■万々歳
🎧https://t.co/dWzBpsTZsj
📺https://t.co/NVO8lWB6UA
 
■Real Sound
https://t.co/36HXof242i
■THE FIRST TIMES
https://t.co/mDlxB7vXnT
■ナタリー
https://t.co/QfFHEbZRF8 https://t.co/TdBEtYHubl

コメントを読む(16件)

このページは株式会社ナターシャの音楽ナタリー編集部が作成・配信しています。 DISH// の最新情報はリンク先をご覧ください。

音楽ナタリーでは国内アーティストを中心とした最新音楽ニュースを毎日配信!メジャーからインディーズまでリリース情報、ライブレポート、番組情報、コラムなど幅広い情報をお届けします。