北野は2013年に乃木坂46の2期生オーディションに合格。乃木坂46のムードメーカーとして、また選抜メンバーとアンダーメンバーを往還する立場として約9年間にわたってグループに貢献してきた。卒業コンサートには北野のほか、3月23日にリリースされた29thシングル「Actually…」のアンダーメンバーが出演。この日限りの特別なパフォーマンス、演出で北野の門出を祝福した。
開演前には影ナレを担当した4期生・林瑠奈が話している最中に思わず涙で声を震わせ、早くも会場内にセンチメンタルなムードが漂い始める。お馴染みの「OVERTURE」とともにこれまでの北野の姿をまとめた映像が流れ終わると、ステージ上に乃木坂46のメンバーが登場。北野をセンターに据えたこの日ならではのフォーメーションでパフォーマンスをスタートさせた。まず彼女たちは、北野が初めて選抜メンバー入りを果たした思い出の楽曲「気づいたら片想い」を披露。さらにアンダー楽曲の名曲として名高い「あの日 僕は咄嗟に嘘をついた」を切ない表情で届けたかと思えば、メンバーたちの「きいちゃん大好き!」という声をきっかけに「ハウス!」、北野の「最後まで一緒に楽しんでいってください!」という呼びかけに合わせて「ロマンスのスタート」を笑顔で歌唱した。最初のMCでは北野が「本当に緊張していて、本当にこれは現実なのかと疑ってしまうくらい夢のような光景で。でも、今4曲やってちょっと落ち着いてきました」と現在の心境を言葉に。後輩の3、4期、同期の2期メンバーは卒業コンサート当日を迎えた寂しさを口にしつつ、北野に対して抱いているそれぞれの気持ちを本人に伝えた。
その後、会場のスクリーンに映し出されたのは、北野がアンダー楽曲への思いを語るインタビュー映像。2期生メンバーがセンターを務めた「別れ際、もっと好きになる」「風船は生きている」「ブランコ」、アンダーメンバーの苦悩と葛藤、誇りが詰まったナンバー「アンダー」など、多種多様なアンダー楽曲が次々に畳みかけられ、観る者の胸を強く打った。次のMCでは3期生・中村麗乃が「最近ライブでファンの方や関係者の方に褒めていただく機会がすごく増えたんですけど、それのきっかけになったのが北野日奈子さんで。日奈子さんに何か言われたというわけじゃないんですけど、がんばるということがわからなかった時期に、日奈子さんがリハーサルとかいろんな場所で全力でがんばっている姿を見て、『こうやってがんばんなきゃいけないんだな』ということがわかって」と話しながら感極まって涙。北野に対する感謝の思いをあふれさせた。
続いてライブは北野を主役にしたユニット曲のコーナーへ。北野は「君に贈る花がない」「ゴルゴンゾーラ」「大人への近道」「隙間」といった思い入れの強い楽曲を、それぞれ違うメンバーと一緒に届けていく。このうち「君に贈る花がない」「大人への近道」の2曲は、北野の卒業を最後に在籍メンバーがいなくなるユニット・サンクエトワールのナンバー。観客は北野が歌う姿を目に焼き付けるように、じっくりとそのステージを見届けた。また北野は同期である山崎怜奈と並んで2期生の楽曲「ゆっくりと咲く花」を歌唱。お互いに抱き合ったり、手を取り合ったりしながら2人の間の絆を確かめ合った。
北野と山崎が活動初期の思い出を懐かしむMCを挟み、今度はスクリーンに「センターの未央奈が卒業したから、おのずと選びづらい曲になったのかなと思ったので、そこで私が一度披露することによって、ほかの後輩の子がセンターに立ってやってくれる機会が増えたらいいな、という思いがあって選びました」と北野がファンの期待を高めるインタビュー映像が映し出される。上映が終わると、昨年グループを卒業した2期生・堀未央奈のセンター曲「バレッタ」で勢いよくライブ終盤のブロックが幕開け。観客の胸が高まる中、同じくシングルの表題曲である「Route 246」「ガールズルール」「裸足でSummer」が連続で披露された。
ここまで計20曲を歌った北野は、「残りの2曲は特に思い入れのある曲で。これから歌う歌は、アンダーライブ九州ツアーのときに披露した曲です。その頃は休養前ということもあってステージの上でなかなか笑顔になることもできませんでしたが、あの頃の映像を観て、あんな自分を認められている今の自分がすごく好きです。当時と同じアレンジで披露させていただきます」とライブがクライマックスに突入したことを告げつつ、次の曲を紹介。「僕だけの光」をダンスなしのピアノバージョンで披露し、メンバーとともに会場を優しくも芯の強い歌声で包み込んだ。そして「北野日奈子は間もなく、乃木坂46としての運転を終了いたします。長らくのご愛好、誠にありがとうございました。明日からはまた次の目的地に向かって走り続けます。それでは北野日奈子ラストラン、間もなく発車いたします」というアナウンスと電車の発車ベルが響いたのを合図に、ファンから人気の高いアンダー楽曲である、北野のセンター曲「日常」のパフォーマンスがスタート。決められたレールの上を走る電車から降り、新しい扉を開ける決意を歌った力強い歌詞や、アッパーなサウンドに合わせた渾身のダンスが繰り広げられ、観客は曲に合わせて青のペンライトをそろって振りつつ、ステージ上の光景に釘付けになった。
アンコールでは北野が愛犬・チップの姿をスカートにあしらった黒いドレスに身をまとい、1人でステージへ。スタッフやメンバー、家族への感謝の気持ちを語ったあと、「自分のことをこんなにも大切に思ってくれる存在が、こんなにもできるとは思っていませんでした。私の力が足りなくて、皆さんの期待や思いに応えられない日々もたくさんありましたが、いつでも背中を押してくれて。『きいちゃんなら大丈夫。大好きだよ』という言葉が本当に励みになっていました」「この9年間だけで自分の人生は本当にすごく幸せだったなと言い切れます」とファンに向けた思いを丁寧に言葉に紡いだ。挨拶が終わると、北野は「Actually…」に収録されている最初で最後のソロ曲「忘れないといいな」を歌唱し、「私のことも あなたのことも 忘れないといいな 忘れないで欲しい」というメッセージを晴れやかな表情で響かせる。続く「君は僕と会わない方がよかったのかな」では北野が目に涙を浮かべるメンバーと肩を寄せ合ったほか、「いつでも何かあったら連絡してください。いつでもみんなの味方です」とメッセージを送り、そこに紙吹雪が舞うという感動的な光景が広がった。
自身のソロ曲のパフォーマンスについて「自分の今までとこれからを映しているような歌なので、なんとか笑顔で乗り切ろうと思っていて、それはできたと思うので120点です!」と笑顔で採点した北野は、メンバーから涙ながらに送られる言葉をしっかりと受け取ったあと、ライブのラストナンバー「乃木坂の詩」を全員で披露。ペンライトを振って会場に大きな一体感を生み出した。最後、改めて感謝の思いを述べ、深々とお辞儀した北野が客席を見渡すと、そこには彼女の決めポーズ「がおー」をもじった「ありがおー」という文字と、チップの絵があしらわれた紙を掲げるファンの姿が。その光景に感激した北野は、メンバーと一緒にマイクを使わず生声で「本日は本当にありがとうございました!」と叫び、万感の思いの中で自身の卒業コンサートの幕を閉じた。
乃木坂46「北野日奈子 卒業コンサート」2022年3月24日 ぴあアリーナMM セットリスト
SE. OVERTURE
01. 気づいたら片想い
02. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
03. ハウス!
04. ロマンスのスタート
05. ここにいる理由
06. 嫉妬の権利
07. 別れ際、もっと好きになる
08. 不等号
09. 風船は生きている
10. ブランコ
11. アンダー
12. 君に贈る花がない
13. ゴルゴンゾーラ
14. 大人への近道
15. 隙間
16. ゆっくりと咲く花
17. バレッタ
18. Route 246
19. ガールズルール
20. 裸足でSummer
21. 僕だけの光
22. 日常
<アンコール>
23. 忘れないといいな
24. 君は僕と会わない方がよかったのかな
25. 乃木坂の詩
つっか/Tsukka◢⁴⁶ @kyounosuke1218
“乃木坂46の太陽”北野日奈子、卒業コンサートで目潤ませ熱いパフォーマンス 2期生・グループへの愛溢れる<セットリスト> - モデルプレス https://t.co/sZEknPp52S