スカパラ、桜井和寿&長谷川白紙と共に“再会のツアー”完走!「innocent world」も響いた最終公演

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東京スカパラダイスオーケストラの全国ツアー「東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2021 『Together Again!』」の最終公演が、7月2日に東京・東京ガーデンシアターで開催された。

桜井和寿(Mr.Children / 中央)と東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:ヤオタケシ)

桜井和寿(Mr.Children / 中央)と東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:ヤオタケシ)

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ライブのオープニングの様子。(撮影:ヤオタケシ)

ライブのオープニングの様子。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

「また一緒に」というメッセージをタイトルに冠し、1月にスタートした今回のツアー。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で公演の振替や開催断念などに見舞われながらも、スカパラは全国各地でファンとの再会を果たしてきた。2月に行われるはずだった公演が延期された影響でツアーファイナルとなったこの日の東京ガーデンシアター公演には長谷川白紙、桜井和寿(Mr.Children)の2人がゲスト参加することが事前に告知されていたこともあり、客席の雰囲気は開演前から期待感にあふれていた。

ライブのオープニングの様子。(撮影:ヤオタケシ)

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開演時刻を迎え「Together Again!」と大きく記された紗幕の奥から姿を見せたオレンジ色のスーツの9人を、会場の最上層まで埋め尽くした観客たちは総立ちになって迎える。オープニングを飾ったのは最新アルバム「SKA=ALMIGHTY」に収録されている「(Everybody is a) SUPERSTAR」で、GAMO(Tenor Sax)は「いよいよファイナルだ、盛り上がっていこうぜ!」と聴衆に呼びかけた。メンバーが声を合わせ送る「Come on! Go for it! Come on! Do your best!」という力強いエールにオーディエンスは息の合ったクラップで応え、場内は1曲目から大きな盛り上がりに包まれる。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:ヤオタケシ)

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「This Is My Life」を披露するスカパラメンバー。(撮影:ヤオタケシ)

「This Is My Life」を披露するスカパラメンバー。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

谷中敦(Baritone Sax)や大森はじめ(Per)、加藤隆志(G)が最前線に飛び出して客席を煽り、会場を揺さぶるほどのジャンプの波を巻き起こした「DOWN BEAT STOMP」を終えると、谷中は「今日、このパラダイスで束の間思いっきり盛り上がってほしいと思います!」と短く挨拶。そして、谷中と沖祐市(Key)がボーカルを担う高速スカナンバー「9」で客席を一層ヒートアップさせた。息つく暇もなくメドレーコーナー「Tokyo Ska Medley 2021 Together Again! Special」がスタートすると、「Storm Rider」では加藤と谷中が対峙してひりつくようなセッションを披露。「This Is My Life」ではホーンセクションの面々や加藤、川上つよし(B)が“はないちもんめ”や“椅子取りゲーム”を思わせるフォーメーションで遊びながらそれぞれの音を奏で、耳だけでなく目でもオーディエンスを楽しませる。その後もNARGO(Tp)が奏でるミュートトランペットの音色が澄み渡るように優しい空気を運んだ「Good Morning~ブルー・デイジー」、サンプリングされた川上洋平([Alexandros])の声と9人の勇壮な演奏が重なった、インストバージョンの「ALMIGHTY~仮面の約束」など多彩な楽曲が続き、ファンは彩り豊かな音の粒を全身で浴びるように、楽しげに体を揺らしていた。

リズムマシンのボタンを押す“春の精”ことNARGO(Tp)。(撮影:ヤオタケシ)

リズムマシンのボタンを押す“春の精”ことNARGO(Tp)。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

約半年に及んだ「Together Again!」ツアーの公演は“第1章”から“第3章”まで、時期ごとにセットリストや演出の異なる公演が届けられていた。最終章となる“第3章”の公演ではアルバム「SKA=ALMIGHTY」の収録曲が数多くセットリストに組み込まれており、ライブ中盤にプレイされた「A Touch Of Spring」もその1つ。作曲者である沖が「去年の春から、会うはずだった人に会えていない気がする……」「春の精がやって来ると春の調べを奏でて、みんなに幸せをもたらしてくれるという……」と語ると、舞台袖からハットに桜の枝を挿した“春の精”ことNARGOが登場し、リズムマシンのボタンを押す。ドラムレスの編成で演奏されたこの曲で加藤はアコースティックギターを柔らかに爪弾き、楽しげにステップを踏む沖は軽やかなタッチで鍵盤を叩いて、心躍るような春の訪れを音で表現していた。

茂木欣一(Dr)(撮影:ヤオタケシ)

茂木欣一(Dr)(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

ミニトークコーナー「Paradise Radio」では、MCを務める茂木欣一(Dr)が「(ツアースケジュールに)いろんな変化があったけど、ここまでたどり着いたね……」と感慨深げにひと言。そして「なんと言っても大きかった出来事は、アルバムをリリースできたこと! 今日東京で初めて、アルバムのあの曲をあの人とコラボしたいと思います。22歳の天才アーティスト!」と、1組目のゲスト・長谷川白紙をステージに呼び込んだ。鍵盤ハーモニカを手に現れた長谷川とスカパラがまずセッションしたのは、ジャズスタンダードの「Caravan」をスカパラ流にアレンジした「スキャラバン」。長谷川は艶のある音色で鍵盤ハーモニカを吹き鳴らし、客席の視線を一身に集めてみせる。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:ヤオタケシ)

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スキルフルかつ叙情的な演奏でその音楽的センスを聴衆に知らしめた長谷川は、曲を終えるなり「人がめっちゃ多いですね……なんでもない感想を言っちゃった」と客席を見渡した。そして、茂木の「今日はみんな、最高の目撃者だね!」という言葉を合図に突入した「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。 feat.長谷川白紙」では、ドラムセットを飛び出した茂木と長谷川がアグレッシブなボーカルの掛け合いを披露する。10人の白熱したセッションが展開した中盤、茂木がドラムセットに戻ってエネルギッシュなドラミングを見せると、長谷川も沖のキーボードを借り、鮮やかな鍵盤さばきでレスポンス。カオティックで刺激的なサウンドの応酬に舞台上も客席もヒートアップする中、曲を終えた長谷川は「長谷川白紙でした」と小さくつぶやき、駆け足でステージをあとにした。

“ロックンロールボクサー”に扮したNARGO(Tp / 左)と北原雅彦(Tb / 右)。(撮影:ヤオタケシ)

“ロックンロールボクサー”に扮したNARGO(Tp / 左)と北原雅彦(Tb / 右)。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

今回のツアーで仮タイトルが「ロックンロールボクサー」だったことが明らかになった「SKA ME CRAZY」では、作曲者のNARGOがグローブを付け“ロックンロールボクサー”に扮して大暴れするというシーンがファンの笑顔を誘う。続けてプレイされたのはツアータイトルにもなった「Together Again」で、この曲を書いた川上は「音楽をまたみんなで奏でて、音楽の楽しさを共有したい。そんな純粋な気持ちで作り、なんのヒネリもないタイトルを付けました」と曲を紹介。9人はそれぞれの楽器で雄弁な音色を奏でて合奏を楽しみ、ソロを担ったGAMOは深く優しいサックスの音色をホールいっぱいに響かせた。

東京スカパラダイスオーケストラ(撮影:ヤオタケシ)

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去年の春にリリースされた「倒れないドミノ」では、作詞者である谷中から「落ち込むときはブルー。音楽のブルースは悲しみを共有し、気持ちを交換するもの。『辛い時代を乗り越えたよね』って絆を持てるから、共有は大事だよね。音楽はそういうことがワーッといっぺんにできるものだと思っています。“青”について歌う曲を次にやりたいと思います」と思いが語られる。青い光に包まれたステージでドラムを叩くボーカルの茂木は、優しくも芯の通った歌声で谷中が歌詞に込めたメッセージをオーディエンスに歌い届けた。

桜井和寿(Mr.Children / 中央)と東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:ヤオタケシ)

桜井和寿(Mr.Children / 中央)と東京スカパラダイスオーケストラ。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

沖の静かなピアノ演奏から展開したインストナンバー「Prism」では、1つひとつの音に力を込めるメンバーの、熱を帯びた濃密なバンドアンサンブルがホールいっぱいに響き渡り、それを受け止めるオーディエンスは惜しみない拍手で9人の熱演を称えた。最高のムードの中、谷中はここで2人目のゲスト・桜井和寿をステージへと招き入れる。2組が披露したのは、スカパラがデビュー30周年を迎えた2019年に発表された「リボン feat.桜井和寿(Mr.Children)」。スカパラメンバーと同じオレンジ色のスーツ姿でステージのセンターに立つ桜井は突き抜けるような晴れやかさに満ちたボーカルで曲を歌い上げ、その歌声と存在感で観る者を圧倒した。

「Paradise Has No Border」を披露するスカパラメンバー。(撮影:ヤオタケシ)

「Paradise Has No Border」を披露するスカパラメンバー。(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

桜井がさっそうとステージを去ったのち「もうひと盛り上がりしようぜ!」とGAMOが聴衆に呼びかけ、その言葉とおりのド派手な立ち回りでファンを魅了した「Paradise Has No Border」で本編が締めくくられるも客席の熱は一向に冷めやらず、興奮のムードを保ったままライブはアンコールへ。スカパラメンバーはここで再び桜井をステージに招き入れ、桜井は「最高です!すごいですね、声を出さないで楽しんでくれて。すごく伝わります」と笑顔を見せた。そして谷中は、桜井とのコラボ曲をもう1曲用意していることを明かし「やる前から感動してる!」と表情をほころばせる。この言葉に色めき立つオーディエンスに送られた“もう1曲”はMr.Childrenの名曲「innocent world」で、聴き馴染みのあるイントロのフレーズをスカパラホーンズの4人が奏でた瞬間、その場の誰もが一斉に両手を挙げて歓喜に沸くという壮観が広がった。

谷中敦(Baritone Sax)(撮影:ヤオタケシ)

谷中敦(Baritone Sax)(撮影:ヤオタケシ)[拡大]

スカの軽やかなアレンジが施された「innocent world」は、聴衆のリズミカルなハンドウェーブを自然と誘う。桜井はそんな光景を笑顔で見つめながら力強い歌声を響かせ、圧倒的な求心力で熱狂の空間を作り上げた。「ありがとう、スカパラ!」と言う桜井を万雷の拍手で送り出し、スカパラの9人は最後に挨拶。茂木はここで次のツアーが決まったことをファンに報告し、北原雅彦(Tb)は「いやいや、生きてるって素晴らしいですね。皆さんお元気で!」と伝えた。谷中の「皆さんの未来が輝かしいものになりますように!」という声と共にドロップされたラストナンバー「Glorious」ではステージ上も客席もタオル回しで盛り上がり、心地よい高揚感の中でツアーは終幕。めいっぱい大きく手を振って賛辞を送るオーディエンスをスカパラの9人は笑顔で見つめ、名残惜しそうにステージをあとにした。

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東京スカパラダイスオーケストラ「東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2021 『Together Again!』」2021年7月2日 東京ガーデンシアター セットリスト

01. (Everybody is a) SUPERSTAR
02. DOWN BEAT STOMP
03. 9
04. Great Conjunction 2020
05. Storm Rider
06. This Is My Life
07. Good Morning~ブルー・デイジー (Inst)
08. ALMIGHTY~仮面の約束 (Inst)
09. 仮面ライダーセイバー
10. Pride Of Lions
11. A Touch Of Spring
~Paradise Radio~
12. スキャラバン w / 長谷川白紙
13. 会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。 w / 長谷川白紙
14. SKA ME CRAZY
15. Together Again
16. 倒れないドミノ
17. Prism
18. リボン w / 桜井和寿
19. Paradise Has No Border
<アンコール>
20. innocent world w / 桜井和寿
21. Glorious
※04~08はメドレー

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TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA @tokyoskaj

東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2021「Together Again!」7月2日 東京ガーデンシアター公演のライブレポートがUP!!!
https://t.co/4Y0Fd6DpZ5
#スカパラ #トゥギャザーしようぜ #桜井和寿 #長谷川白紙

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