夕闇に誘いし漆黒の天使達、笑いあり嘘泣きありの新木場ワンマンでファンと再会

夕闇に誘いし漆黒の天使達が昨日6月13日に東京・USEN STUDIO COASTでワンマンライブ「夕闇に誘いし漆黒の天使達 ワンマンライブ 2021 -NIMAIME-」を開催。この記事では2部制で行われた公演のうち、1部の模様をレポートする。

夕闇は動画クリエイターとバンドマンという2つの顔を持つ、小柳（Vo）、ともやん（B）、ミスター千葉（G）、にっち（Dr）からなる4人組ラウド系コミックバンド。拡散力の高い動画クリエイターとしての一面が目立つことの多い彼らだが、その本質はバンド活動にあり、6月9日には多彩な楽曲からなる2ndフルアルバム「2枚目の夕闇に誘いし漆黒の天使達」をリリースしたばかり。ライブはバンドマンらしく演奏面での表現はもちろんのこと、エンタテイナーとしての演出もたっぷり。まず開演前、ニュースキャスターに扮した千葉の映像がステージ後方のスクリーンに投影された。千葉はたどたどしく注意事項を読み上げたり、ボタンを押すとプリセットされた音声が出るグッズのボイスキーホルダーの使い方を説明したりしつつ、ライブに向けて“選手宣誓”を行った。

荘厳なオープニングSEが流れる中、4人が颯爽とステージへ駆け込む。小柳はお立ち台に上がって「最高に“2枚目”な時間を始めよう！」と観客に呼びかけ、「Super Ultimate Happy Happy Song」でライブの口火を切った。千葉がギターソロを決めると、歓声の代わりに大きな拍手が沸き起こった。千葉が「お前ら、声出しいくぞー！ オイ！ オイ！ オイ！ オイ！」と叫ぶと、観客は手拍子でレスポンス。小柳が「声出せないから」「拍手返してるじゃん」と小声でツッコミを入れつつ、「物販にボイスキーホルダーを準備しました。MC中に使ってください」と説明すると、観客の持つ大量のボイスキーホルダーからの笑い声などがフロアに響いた。

夕闇が次に演奏したのは、人生最後のごはんをテーマにしたラウドチューン「Everyday 最後の晩餐」。タイトルの通り寿司について歌う「SUSHI SONG」では間奏で小柳が寿司を一貫食べた。「徐々に一致団結していく空気感が好きです。次は生活水準の歌を」という言葉のあとにタイトルコールをし、4人は生活水準にまつわる楽曲「Q.O.L」を披露。「1億円が欲しい」と繰り返し歌うサビではオーディエンスが大きく手を振り、楽曲のメッセージに同意するかのような一体感が生まれた。MCではこの日の公演内で最新アルバムの収録曲を全曲披露することを宣言。小柳は「手塩にかけて育てた、最強と言えるアルバムができました。名盤には都市伝説的な要素があるものなんですよ」と話してから、「アルバムの中でも、“呪いの曲”みたいのがありまして。正直本当に危なくて、車にまつわる曲です。帰り道は気を付けるように！ 危険を予測して帰るように！」と呼びかけ、次の曲「危険予測ディスカッション」へ。この曲では躍動感あるバンドサウンドに乗せて、レーザーが飛び交い、曲間には小柳がダンボールで作った車を持ち込む。「新幹線が横切るかもしれない」などとやや過剰なまでに安全運転を啓蒙し、続けて車つながりの楽曲「はたらく君に贈る歌」を演奏。映像や小道具を使った演出がありつつも、ラウドロックバンドらしくパワフルで盤石な演奏で観客を沸かせた。

赤い全身タイツに身を包んだ小柳が“ジャスティスマン”に扮してヒーローさながらにポーズを決めた「正義の味方『ジャスティスマン』」のあと、スクリーンには“酒場トワイライト”というバーを舞台にした寸劇が投影された。映像の最後に曲紹介があり、バンドは「MalibuMonster」「ウォウウォウイェイイェイ酒ナイト」を2曲続けてパフォーマンス。ドラムのにっちを含め4人が唐突に踊り始める場面もあり、大きく盛り上がった。数字の当て字で歌詞をつづった「数字」でラウドなサウンドを響かせたあと、4人は「3兆回目のアイラブユー」を披露。ヒップホップグループさながらに4人がハンドマイクのスタイルになり、メロウなラブソングを歌い上げた。

ライブ後半、ここで小柳の様子がおかしくなる。クールな紳士のような口調になった彼は、澄ました様子で「ありがとう」と連呼。そして「ライブができているのは当たり前じゃないなって思っています。ライブができない期間に自分なりにいろいろ考えることがありまして、1つ思ったことがあります。恋愛とパチンコって一緒なんだなって。当たりを待つ感情、相手を待つ感情、どちらも同じ感情なんじゃないかなって。だからこそ当たりを待つ、いや、あなたを待つ、そんな歌があってもいいんじゃないかって。ひたすら待ってもいいんじゃないかって。そんな歌を聴いてください」と話し、パチンコをテーマにした曲「Waiting For You」をラブソングのようにエモーショナルに歌い上げた。小柳はこの曲のときだけ登場したピアノの前に座っていたが、実際には弾いていなかった。そんな曲のあと、夕闇は「なんでやねん」「猫サンキュー」とアッパーチューンを続けてパフォーマンスし、ライブ終盤に突入していく。

夕闇は最新アルバムから小柳のシャウトが炸裂する重厚な楽曲「治安is良い方がE」では自作のイメージ映像を使った“盆踊りタイム”と“パーティーピーポータイム”を挟み、ハッピーな空間を生み出した。そして「蛍の光」が流れ、小柳が「我々から悲しいお知らせがございます。こんな発表になってしまって申し訳ございません。次の曲で最後になります」と嘘泣き。観客はボイスキーホルダーを使って、「ですよねー！」の音声を一斉に流す。小柳が納得するまで、「次の曲で最後になります」「ですよねー！」のくだりを3回繰り返したあと、バンドはメロディックパンク風のショートチューン「チャージする」「30秒間以上手を洗わないとウイルスは除去できない」を連投し、ステージをあとにした。その後、パチンコのディスプレイを思わせる映像で「継続」の文字が踊り、アンコールならぬライブの“継続”が決定。この時間はアンコールではなく、あくまで本編の続きだという。夕闇はひさしぶりの披露となる楽曲「-PANDEMIC-」でファンを喜ばせ、最後に「LAST A GAME」を熱く届けてライブを終えた。

なお、このあとに行われた2部の模様は会場に足を運べないファンのためにZAIKOにて生配信された。2部で夕闇はワンマンツアー「六道」の開催を発表。このツアーは8月14日の神奈川・KT Zepp Yokohamaを皮切りに、大阪、愛知、東京、宮城を回り、10月2日に神奈川・Thunder Snake ATSUGIでファイナルを迎える。なお配信チケットの保有者は、6月16日23:59まで2部のアーカイブを閲覧できる。