このライブは文化庁による文化芸術収益力強化事業の一環として開催されたもの。ライブの模様は東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGE、愛知・THE BOTTOM LINE、大阪・梅田CLUB QUATTROの3会場に生配信され、レアな楽曲が満載のセットリストで各地のファンを楽しませた。このライブの模様は2月14日(日)にStagecrowd、Streaming+にて配信されることも決定。視聴チケットは本日2月2日10:00より各プラットフォームにて販売されている。なお、以下のレポートにはセットリストや演出などのネタバレが含まれているので、配信を視聴する予定の方はご注意を。
ライブのオープニングではサラリーマンに扮したカールスモーキー石井(Vo)とBON(B)が登場するショートムービーが流れる。2人がプレゼンのための企画書を持って取引先を訪れ、BONに続いて石井が重い扉を開けると、そこはステージ中央の“自由”な空間につながっているという演出。そのまま1曲目「TIME STOP」の芳醇なサウンドが奏でられ、ライブの幕開けを飾った。続く「愛はふしぎさ」ではシュークリームシュ、テキーラまさはる(Dance, Cho)も加わる。昨年10月に行われた配信ライブ「OMUSUBI」を骨折のため欠席したMINAKO(Dance)も元気な姿を見せた。曲紹介やメンバー紹介では各々が会社の稟議書さながらに角印を押したパネルを提示し、ライブのコンセプトをコミカルに演出してみせた。
石井は文化庁の主催で行われたこの日のライブの意義を「コロナ禍でライブハウスは大変です。僕らもライブハウスで生まれ育ってきたので、新たな収益の強化に取り組みたい」と語るが、続いて「国の力を背負って歌うことがどれだけ大変かを皆さんにわかっていただきたい!」と力説し始め、メンバーを苦笑いさせた。そして「次のコーナーでは“80年代の扉”を開けてみたいと思います」という石井の言葉から1987年リリースのアルバム「KOMEGUNY」収録曲の「Collection」、そして翌1988年リリースのアルバム「GO FUNK」収録曲の「SEXY POWER」が披露される。リリースから30年以上を経て、さらに妖艶さを増したパフォーマンスでファンを魅了した。
ここでリムジンの後部に乗り、秘書役のMARI(Dance)を従えて葉巻をふかす取引先の“会長”役、ジェームス小野田(Vo)の「LIVE中継的映像」が挿入され、ファンの期待を煽る。その後は古風なセーラー服にメガネ、三つ編み姿のシュークリームシュが登場し「逢いたくて」を可憐に歌い踊った。MINAKOは「米米CLUBのお兄様たちから自由な時間をいただきました!」とコーナーの趣旨を説明。「MINAKO、16歳です!」「MARI、16歳です!」と自己紹介した2人は、今回のライブのために制作されたテーマ曲「文化女子」を披露した。現代に生きる“女子”の姿を歌ったこの曲のあとはテキーラまさはるが「ヘイワ・ノ・セカイ」をスペイン語と日本語で熱唱。さらにBIG HORNS BEEが「BLOWZ JOB」の野性的なサウンドを届けるなど、メンバーそれぞれの個性が光るパフォーマンスが続々と繰り広げられた。
衣装を改めた石井がステージに現れ、映画「大コメ騒動」の主題歌でライブ初披露となる最新シングル「愛を米て」を歌う。曲中には美しい日本の風景を捉えた映像が挟まれ、楽曲の世界を盛り上げた。その後はジェームス小野田会長を乗せたリムジンが会場の前に到着。扉を開けた小野田は「美熱少年」「OH! 米 GOD!」をソウルフルに歌い上げた。さらにライブで演奏するのは18年ぶりという「AWA」もパフォーマンスし、グルーヴィなサウンドを響かせた。
フッシー小林(Tp)の哀切なトランペットソロから始まったのは、石井の真骨頂とも言える歌謡曲「東京ドンピカ」。白いフェザーショールをまとった石井はけれん味たっぷりの歌声を響かせ、MACHIKO(Cho)と小野田も情感あふれるコーラスを重ねた。再びシュークリームシュとテキーラまさはるが加わり、「080808」をファンキーにパフォーマンスしたあとは「どうにもとまらない」、そしてラストナンバー「Shake Hip!」へと怒涛の展開が繰り広げられた。
“BONUS SHOW TIME”に突入すると、石井は「こういう時代だけど僕らの心から歌を、音楽を取り上げることはできません。歌というものはどんな時代でも人の心を助けてきました。歌の力を信じています」と話し、「WE ARE MUSIC!」を高らかに歌った。メンバーたちも笑顔を浮かべつつ、思いを込めたそれぞれの音を鳴らした。全員が扉からステージをあとにする中、残った石井は「時代には笑いがあり涙がある。そんな中でも僕たちは人生を全うしなければならない……」と真摯に語るが、BONから冒頭に持っていたカバンを渡され“現実”に引き戻される。「俺こういうのやりたかったの!」と訴える石井をBONが「ほら、会社に戻って反省会!」と引きずっていき、扉がゆっくりと閉じられた。
「米米CLUB配信ライブ『自由の扉』」2021年2月1日 セットリスト
01. TIME STOP
02. 愛はふしぎさ
03. メンバー紹介
04. 君がいるだけで
05. Collection
06. SEXY POWER
07. SCS登場のテーマ
08. 逢いたくて
09. chu chu chu
10. 文化女子
11. ヘイワ・ノ・セカイ
12. BLOWZ JOB
13. 愛を米て
14. JO登場のテーマ
15. 美熱少年 / OH! 米 GOD!
16. AWA
17. 東京ドンピカ
18. 080808
19. どうにもとまらない
20. Shake Hip!
<BONUS SHOW TIME>
21. WE ARE MUSIC!
※記事初出時の公演タイトルに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
三沢またろう @misawaMATARO
-昨日の音楽ナタリーレポート-です‼️
https://t.co/BjEZCP26uD