「百花」は川村にとって「世界から猫が消えたなら」「億男」「四月になれば彼女は」に続く、2年半ぶり4作目の新作小説。“記憶”をテーマに、認知症になり全てを忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく息子の姿が描かれる。あいみょんのほか、山田洋次監督、吉永小百合も本著にコメントを寄稿している。川村本人のものを含む各人のコメントは以下の通り。
あいみょん コメント
“記憶”というものは決して自分1人のものではなく、時には誰かと自分自身を繋ぐレールになっていると思った。食い違うこともあれば脱線もする。記憶はあくまでも瞬間の記録で、なんだか夢みたい。悲しい記憶も嬉しい記憶も、ああ全部夢だったんじゃないかと感じる日がある。一度失ったからこそ、二度と失いたくない息子への想い。一度失ったからこそ、二度と忘れられない母への想い。夢のような記録。あの日を繋ぐ記憶。
山田洋次監督 コメント
深い感動のうちに読了した。
ぼく自身の母親の思い出と重なり、
他人事ではなかったのだ。
吉永小百合 コメント
息子と母の切ない思いに、
胸が熱くなりました。
川村元気 コメント
久しぶりに祖母を訪ねたら、彼女は僕のことを忘れていました。アルツハイマー型の認知症でした。そこから祖母の元に通い、彼女との思い出をひとつまたひとつと話していきました。忘れていく祖母と向き合いながら僕は、自分自身が色々なことを忘れたり、記憶を書き換えていることに気づいていきました。「百花」はそんな体験を元に、認知症の方々、そのご家族、医療、介護関係者の方々、百人以上と出会いながら、“ある答え”を求めて二年半かけて書いた小説です。忘れていく母と、思い出していく息子。ふたりの愛と記憶、そして忘れられないひとつの事件の物語です。
リンク
- 『百花』川村元気 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
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