THE RAMPAGE RIKUの「音楽大陸」 Vol.10(後編) [バックナンバー]
ネガティブなSAMが大事にしていることは?
信用はせず信頼して生きていく
2021年10月22日 11:00 1
取材
どんなに嫌なことがあっても曲にしちゃえばいい
RIKU(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE) SAMさんはすでにラッパーとして十分なほど活躍されていると思いますが、何か具体的な目標ってありますか?
SAM めっちゃ売れたいとかそういう欲はあんまりないんですよ。強いて言うならずっと続けたい。だからバトルに出すぎて心が疲れるなら自分から出ないようにするとか、ラッパーやラップを嫌いにならないようにしながら活動していきたいと思っていて。もちろん今はバトルに出たり露出したりしていたほうがいいのはわかっているのでいろいろ出ていますけど、自分の名前が広がることでラップを嫌いになってやめるなんてのは嫌だから、そうならないように活動するのが目標なんだと思います。
RIKU ラップを嫌いにならないように続けるっていいですね。僕はもともとラップを聴かなかったし、ヒップホップみたいなゴリゴリのサウンドに自分の声がハマらないなとずっと思っていたんです。THE RAMPAGEの曲でも自分の歌がハマってないような気がして、歌うことが好きだったのに嫌いになりそうだったというか、もう歌いたくないと思ったことがあったんですよ。でもファンの皆さんは僕が歌うのを楽しみにライブに来てくれるわけだから、ステージに立ったら歌わないといけない。自分で望んでTHE RAMPAGEになったのに、歌うことが嫌になっている自分が嫌だったんです。でもそうなってしまったとき、自分を救ってくれたのもまた音楽でした。僕はSAMさんの音楽にも人を勇気付けられる要素がたくさんあると思っています。SAMさんがご自身の経験を音楽にすべて注げられる理由って何かあるんですか?
SAM うーん。僕は後ろを振り返れば嫌なことばっかりだったんですよね。バイクに乗っていても振り返るのが嫌だから警察に呼び止められても走り続けて捕まったし。そういうマインドが自分の中には大きくある。でもそういう嫌なことを曲に昇華することで、前向きになれるというか。うちのおふくろはフィリピン人なんですけど、それが原因で小学生の頃にはいじめられたし、おふくろにお金を持ち逃げされたこともある。そういう出来事を曲にするために振り返ると、ちゃんと「おふくろのこと好きじゃん」と思えたりもするんですよ。自分の中できちんと落とし前をつけて曲として昇華することが俺にとっては本当に大切なこと。それがわかってからはどんなに嫌なことがあっても曲にしちゃえばいいやと思えて、前を向いていられるようになったというか。
RIKU 僕、ゴルゴ(松本)さんが少年院でした命の授業(2011年よりゴルゴ松本は全国の少年院にボランティアで慰問し、「命の授業」と題した話をしている)の話が好きなんですよ。苦難、災難、困難……全部難しいという漢字が入っていますよね。“難”がない人生は無難だけど、ありがたいは「有り難い」と書く。つまりは無難な人生よりも困難があるほうが実はいい人生なんだという話。僕はいろんな夢を抱いて歌手になったんですけど、ここにたどり着くまでにあえて修羅の道を選んできた自負があるんです。そこにはたくさんの“難”があったし、だからこそ今こうしてここにいることができている。僕はSAMさんみたいに大変な10代を送ってはいないので、その気持ちについて「わかります」とは生意気に言えないんですけど、少しは僕のマインドと近いものがあるんじゃないかなと思ってうれしくなりました。
SAM いやいや。そう言っていただけて安心しました。
明るそうに見えて根暗なんですよ
RIKU ご自身の活動における指針は聞かせてもらいましたが、表現をするうえで大事にしていることはありますか?
SAM 般若さんがそうだったので、俺もそういう考え方なんですけど、みんなの需要に合わせるわけじゃなくて、自分が思ったことや体験したことが100人のうち1人に響いたらいいなと思いながらやっていますね。それは俺がそういう音楽に救われた部分があったからそう思うんですけど、パフォーマンスを観た1000人のうち5人くらいでもいいから「明日がんばろう」って思えるようなラップができたらいいなって。
RIKU その気持ちはめちゃくちゃわかります。THE RAMPAGEってボーカルは3人とパフォーマーが13人の16人グループで、もちろん自分のファンもいるんですが、ほかの15人のファンだからそのライブに来てくれている人も当然いて。それでもある程度大きな会場でやらせていただくので、その中の1人や2人くらいが僕の一生懸命歌って踊る姿を観て「明日も仕事をがんばろう」「学校めんどくさいけどちゃんと行こう」って思ってくれたらいいなと思ってるんです。逆に言えばそう思ってくれる人が0人になったらアーティストとしては死んだも同然だなって。そういう考え方は人間関係でも同じで、数少なくても自分を理解してくれる人がいたらいいやというタイプなので、SAMさんと僕はちょっと似てるかなと思いました。
SAM そうですね(笑)。話し始めたときはすごく明るい方だったので、「俺、大丈夫かな。話せるかな」と思っていたんですけど、そんな心配はいらなかったです。
RIKU 明るそうに見えて根暗なんですよ。家帰ったらヤバいです。
SAM 闇が深そうです。
RIKU 闇は深めですね(笑)。だからこそ、その闇を理解してくれる友達と仲よくなれるんだと思います。……ということでぜひ友達としても仲よくしてください!
SAM ぜひぜひ(笑)。
人に期待をしない自分を信じる生き方
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音楽ナタリー @natalie_mu
THE RAMPAGE・RIKUさんの連載「#音楽大陸」Vol.10のゲストはSAMさん。共通する“闇”を持つ2人が活動を続けていくうえで大事にしていることとは?少し距離の縮まった2人のトークをお楽しみください。
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