令和のアーティストとSNS 第6回 [バックナンバー]
TikTok宮城太郎&LINE MUSIC出羽香織が振り返る、2020年の音楽シーン
歌詞のインパクトと共感が生んだエモのスパイラル
2020年12月18日 18:00 8
カバー動画の投稿に対する敷居が下がっている
──
宮城 去年から「#歌うま」という企画をやっていまして、今年は春夏秋冬と季節に応じてやっているんですけど、春の「#歌うま」で
出羽 コロナの影響はありますよね。LINE MUSIC部の定例会に参加している女子高生の子たちも何人かアコギを始めたって言ってました。
宮城 そういう意味ではりりあ。さんとかが希望を与えているかもしれないですね。
出羽 アコギ1本で、コードもシンプルで真似しやすいから、初心者でもがんばって練習すれば弾けそうですもんね。
宮城 ギターを始めて1週間の人の動画もけっこう上がってたりするので、カバー動画の投稿に対する敷居が下がっている感じはしますね。
K-POPの人気
出羽 りりあ。さんの「浮気されたけどまだ好きって曲。」とかそうですけど、今年はアコギ弾き語りをベースにしたシンプルなメロディと、言葉の強い歌詞の曲がヒットしているのかなと思いますね。
──確かにそうですね。それにプラスしてエモい、みたいな。
出羽 世間的にもコロナでパーティのムードではなかったから、家でチルしながらアコギ弾き語りのスローテンポな曲がハマったんじゃないかなと思いますね。
宮城 ヒップホップもチルな曲が流行りましたもんね。
出羽 ですよね。LINE MUSICだと本格的なゴリゴリのヒップホップよりも、ちょっとゆるめの楽曲のほうが反応がよくて。それこそ
宮城 そういう落ち着いた感じの曲が流行った一方で、Meland × Hauken (feat. Benjain Beats)「CHERNOBYL 2017」、通称「やりらふぃー」と言われてるような楽曲とかも盛り上がりましたね。K-POPはダンスチューンを中心に盛り上がっていったので、ダンスも定番化しているのかなと。
──TikTokではK-POPも人気なんですか?
宮城 人気です。ダンスする人はK-POP中心になっていますね。本人たちが公式アカウントに曲の振り付け動画を上げて、みんなにチャレンジを促すパターンが定番化しています。振りが面白いのでユーザーも挑戦欲が湧くみたいで。先ほど歌詞が大事だと言いましたけど、K-POPに関してはむしろ日本語バージョンじゃないほうがいいようです。ハングルのほうがグルーヴするから、そっちのほうがみんな踊りやすくて好きなんですよね。BLACKPINKの曲も日本語バージョンだと逆にテンション下がっちゃうみたいで(笑)。
出羽 そうそう。韓国語バージョンをみんな欲していて。日本語バージョンしかないものは「韓国語バージョンを出してほしい」っていうリクエストも来ます。
宮城 そりゃBTSも世界征服できますよね(笑)。
気軽に動画を上げてほしい
──最後に2021年に向けての展望があればお聞かせください。
出羽 瑛人さんが音楽番組で「ヒットを実感したのっていつですか?」って聞かれたときに「お母さんがLINE MUSICで100位内に入ってるチャートを見つけて教えてくれたとき」って言っていたんですけど、それがすごくうれしくて。アーティスト自身が気付いていないバズをLINE MUSICのチャートに入ったことで実感してもらえるのがすごくありがたいなと思いましたし、そういうアーティストがもっと出てきてくれたらいいなと思います。LINE MUSICとしては音楽を聴くだけじゃなくて、カラオケできるようにしたり、LINEのプロフィールにMVを設定できるようにしたり機能面を充実させているので、どんどんユーザーにLINEやLINE MUSIC上で音楽を使って遊んでもらえたらいいなと思います。
──宮城さんはいかがでしょう?
宮城 ミュージシャンの皆さんにしっかりTikTokを認識していただいて、楽曲を入れていただくことを推し進めていきたいと思っています。サブスクは解禁するけどTikTokには楽曲を提供しないという方もまだいるので、そういう方たちに「やったほうがいいですよ」と広めていきたいなと。
出羽 最近は逆パターンもありますよね。TikTokでバズってて聴きたいのにLINE MUSICにない、みたいな。
宮城 配信してないパターンもありますね。例えばひらめさんの「ポケットからきゅんです!」はバズったのは6月なんですけどその時点でフル尺がなくて。本人もバズるなんて思ってなかったのでフル尺がそもそもない状態で、こちらで連絡して「今すぐ配信したほうがいいですよ」「いや、でもないんです」「早く作ったほうがいいですよ!」みたいな(笑)。そういうケースもあります。
──そうなんですね。
宮城 あとTikTok的にはいい動画を作ったり投稿したりする敷居がどんどん下がっているので、アコースティックだけじゃなくて多様な人たちが出てきてほしいですし、僕らもそれを応援していきたいなと思っています。
──動画を上げるにあたって何かアドバイスはありますか?
宮城 アドバイスというほどのものはないですけど、動画を撮るとなると「ちゃんとしたものを撮らなきゃ」と思うアーティストの方がけっこう多いんですね。でも別にいい動画じゃなかったら削除してもいいですし、みんなそういうトライ&エラーを繰り返してやっているので、一度上げてユーザーの反応を見てみたらいいんじゃないでしょうか。曲を上げるにしても完成してない状態で上げてもらって、それでユーザーの反応を見てよかったらフル尺を作るということも考えられますし。
──過程を知っていると、ファンもよりその楽曲のことを好きになれそうですね。
宮城 そうですよね。「この曲、あのときのやつだ」となると思います。どうしてもアーティストの方は完璧に作った状態で出したい人が多いと思うんですけど、もっと気軽にやっていただけるようになればいいなと思います。
宮城太郎
TikTok Japanの音楽チーム シニアマネージャー。音楽のプレイリストの管理および、レーベル、事務所、メディアと音楽を使った運営企画を行っている。現在「#冬の歌うま」「#カラオケ歌うま」などの音楽関連の企画も開催中。
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出羽香織
LINE MUSICのコンテンツマネージャー。レーベルや事務所の窓口としてアーティスト周りの企画を担当。独占映像コンテンツや音声コンテンツ、LINE LIVEの企画を行い、最近では音楽番組制作まで幅広く担当。
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