
ゴールデンウイークに合わせ、サメ映画、ブルース・リー出演作、「マッドマックス 怒りのデス・ロード」をラインナップした特集放送「怒りのサメロードGW映画祭」が5月2日から6日にかけてBS12 トゥエルビで実施される。巨大ザメが暴れ回り、カンフー技で敵をなぎ倒し、改造マシンが荒野を疾走。そんな「考えるな、感じろ」の精神あふれる全10作品がそろった。
本特集では、サメ映画をサメ映画ルーキー、ブルース・リー作品を高橋ターヤンがそれぞれレビュー。さらに互いのジャンルを薦め合う“相互プレゼン”も通して、新たな視点から楽しみ方を提案する。サメか、ドラゴンか。どちらも“感じて”ご覧あれ!
文 / サメ映画ルーキー(サメ映画)、高橋ターヤン(ブルース・リー作品)

文 / サメ映画ルーキー
サメ映画に必要なのは、常識ではなく感受性
サメ映画を観る際、もっとも不要なものは「常識」である。「ジョーズ」という完璧な頂から遠く離れ、独自の生態系を築き上げた現代サメ映画たちは、「頭で理解する物語」ではなく、耳目を引きつける「見世物」としてチューンナップされている。サメ映画が理屈を超えて人を惹きつけるのは、観客を驚かせたいというエクスプロイテーション映画(※編集部注:1950年代以降に流行したB級映画の総称)のエネルギーが満ち溢れているからだ。
今回放送されるサメ映画の多くはアメリカの制作会社・アサイラムの手によるものだ。彼らは「モックバスター」と呼ばれる、“メジャー映画に偶然タイトルやビジュアルが似てしまった作品”の制作を得意としている。その方針は彼らが手がけるサメ映画でも例外ではない。そんな作品の観客に求められるのは、ストーリーやテーマを「考察」することではなく、ただ目の前に映し出されたものを受け止める「感受性」だ。まさに「考えるな、感じろ」である。
それ故に、サメ映画の魅力はテキストで伝わるものではない。とはいえ何も知らずに観ても受け身を取れずに怪我をする可能性もあるので、今回放送される作品を簡単に紹介しよう。
アサイラムが放つメガロドン2連発
「ザ・メガロドン 怪獣大逆襲」はスキンヘッドの人気アクション俳優が超巨大なメガロドンと戦うサメ映画にたまたま似てしまったシリーズの第2弾。アメリカ軍と中国軍が共同戦線を張るなんてリアリティがない──そんな批判が飛んできそうだが、彼らが相手をしているのは巨大ザメである。サメを前にすれば国境や国同士の諍いなど無意味であることを教えてくれる、アサイラム精神を感じる一作だ。
続く「ザ・メガロドン 大怪獣覚醒」では、大量のメガロドン群が目覚め、人類を喰らい尽くそうと大暴れする。サメのサイズが場面によってガンガン変わり、どう見ても深さが足らない浅瀬に突如巨大ザメが現れたりするが、インスパイア元より早く続編を出すことに命をかけるアサイラムの早業をこそ評価してあげて欲しい。まさに巧遅は拙速に如かずである。
サメ映画の多様化が止まらない
「シャーク・ド・フランス」は単独製作としてはフランス初のサメ映画。引退間近の海上警察官が、平和なビーチリゾートに現れたサメと対峙するという「ジョーズ」的な設定だが、全編を覆うのはシュールな笑いとシニカルな人間模様。独特のゆるいテンポで進む物語は、「サメの恐怖」よりも「人間社会の滑稽さ」に焦点を当てており、サメにばかり注目して「ジョーズ」の社会派な側面を顧みなかったサメ映画界に反省を促す、初心者にもってこいの作品だ。
さらに「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」では、地球温暖化で地表の98%が海に沈んだ未来で、生態系の頂点に君臨するサメたちが人類を狩るというトンデモ設定のSFパニックが繰り広げられる。どこかで聞いたタイトル、どこかで見た世界観ではあるが、「どうしてもサメで世界を終わらせたい」という熱いアサイラム魂がほとばしる愛すべき作品である。サメの電気でロケットを飛ばすところまでは観てあげてほしい。
そして「ムーンシャーク」は「ソ連が開発した人間とサメのハイブリッド兵士が月に追放されて進化を遂げていた」という、あらすじの時点で傑作が約束されたアサイラム作品だ。不屈の精神で月面サメ文明を築き上げたハイブリッドシャークたちの不断の努力には涙を禁じ得ない。サメをよく知らずにサメ映画を作る会社がさらに知らない月や宇宙を舞台にしている時点で観ない手はないだろう。
これら5つの作品は、いずれも観る者の知性と寛容さを試される劇薬揃いだ。テキストだけではどんな内容か全く分からないかもしれない。だからこそ、結局サメ映画はその目で観て、感じるしかないのである。もちろん、面白いと感じてもらえるのがベストだが、その結果が「怒り」になる人もいるかもしれない。そんな時は今回の特集のタイトルを思い出して欲しい。「怒りのサメロード」というタイトルを。
ブルース・リーファンに知ってほしい!サメ映画のここに注目
「考えるな、感じろ」。ブルース・リーが「燃えよドラゴン」で遺したこの言葉は、武術の極意であると同時に、実は「エクスプロイテーション映画」と向き合うための最も重要なリテラシーでもある。
ブルース・リーの死後、いわゆる「ブルースプロイテーション」ブーム──本物そっくりの俳優を並べ、似たタイトルと荒唐無稽な設定の低予算カンフー映画が大量に世に放たれた。「ジョーズ」以降のサメ映画もかなり似た道を辿ったことはよく知られているだろう。
カンフー映画の純粋かつ暴力的なまでのエネルギーは、現代のサメ映画、特にアサイラム社が量産するような「コンセプト一点突破型」の作品群に色濃く継承されている。彼らにとって重要なのは、整合性のある脚本や高度な画作りではなく、いかにして観客の予想を裏切り、視覚的なインパクトを叩き込むかという一点に集約されている。
ブルース・リーが「ジークンドー」を打ち立てたように、サメ映画もまた、「海にいるはずのサメ」を雪山へ、宇宙へ、果ては歴史の改変へと解き放ち、既存の映画的常識を破壊し続けている。洗練された大作映画の「型」に飽きたなら、ぜひこの混沌としたサメの群れに飛び込んでみてほしい。理屈を捨て、強引な脚本で乗り切ろうとするサメ映画たちを真正面から受け止めるのである。その時、あなたの目に映るサメは、もはや単なる魚類ではなく、映画の自由を象徴する闘士に見えてくるはずである。ブルース・リー作品のファンなら、きっとこの“同じ匂い”に気づくはずだ。
ゴールデン・サメ劇場 2026
2026年5月2日(土)~6日(水・振休)
GWはサメざんまい! 海だけじゃなく、月へ、未来へ──フランス発の異色作やSFパニックまで、バラエティ豊かなサメ映画を一挙放送。「ザ・メガロドン」シリーズなど、サメ映画の自由さを詰め込んだ5作品がラインナップされた。
放送作品
- 「ザ・メガロドン 怪獣大逆襲」
- 「ザ・メガロドン 大怪獣覚醒」
- 「シャーク・ド・フランス」
- 「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」
- 「ムーンシャーク」


文 / 高橋ターヤン
ホンモノの武道を観客に突き付ける
ブルース・リー映画の魅力については、多くの先達によって様々な論評がなされてきた。しかしその魅力が的確に伝えきれているかというと、必ずしもそうとは言えない。なぜならブルース・リー映画の圧倒的な存在感の前に、どのような言葉も無力だからだ。
ブルースは若くしてアメリカに渡り、ジークンドーを創始しつつハリウッドで俳優としてのキャリアを求めるも、東洋人であることの壁を感じて香港に帰国。新興のゴールデンハーベスト社と契約を結んで「ドラゴン危機一発」に出演する。元々は助演として出演予定だったが、ブルースの圧倒的なカンフーとオーラ漂う佇まいを見た製作陣は急遽脚本を書き換える。主役を途中で殺してしまい、ブルースが主役になるように変更した。その結果、本作は香港の歴代興行記録を更新する特大ヒットを記録した。
この大ヒットを受けて製作されたのが「ドラゴン怒りの鉄拳」だ。本作からブルースが武術指導を担当し、これまでの香港映画とは一線を画する“ホンモノの武道”がスクリーンに登場。全編にわたって緊張感溢れるアクションが続き、悲壮感溢れるラストまで隙の無い出来となり、本作をブルースのベスト作品とするファンが多いのも納得である。
さらにブルースの快進撃は続く。香港映画として初めてローマロケを敢行した「ドラゴンへの道」では、監督・主演・脚本・製作・武術指導の5役を担って作品全体をコントロールし、ブルースのやりたいことが詰まった作品と言えよう。特にクライマックス、ブルースの盟友チャック・ノリスとのコロシアムでの激闘は、永遠に語り継がれる芸術的なものとなっている。
未完となった「死亡遊戯」ラスト10分が放つ輝き
「ドラゴンへの道」は特大ヒット作となり、ブルースはさらに武道に特化した作品を企画する。「死亡的遊戯」と名付けられたその映画は、ブルースの弟子であるNBAのスーパースター、カリーム・アブドゥール・ジャバールがブルースを訪ねて香港にきたことから、急遽撮影を開始。しかしハリウッドからのオファーで「燃えよドラゴン」の撮影に参加することになったため、撮影は中断してしまう。「燃えドラ」の後で撮影を再開する予定だったものの、再開の準備中にブルースは亡くなってしまう。その後ゴールデンハーベスト社はブルースが撮影したフィルムを利用し、「燃えドラ」のロバート・クローズを監督に迎え、「死亡遊戯」として映画を完成させる。その出来については賛否両論あるものの、ブルースが監督・主演したラスト10分強のオリジナルフィルムが発する圧倒的な輝きの前にはすべて吹き飛んでしまうのは万人が認めるところだ。
この思考を超越し、映画である必要性すら超越した孤高の存在こそが、ブルース・リー映画の本質なのである。考えるな、感じろ。
サメ映画ファンに知ってほしい!ブルース・リー作品のここに注目
ブルース・リー映画といえば、世界的に大ヒットをし、知らない者はない超特A級映画というイメージ。しかし改めて観てみると、チープで下世話で残酷であることに気付くだろう。無理解に基づいたデタラメな描写も多く、「そんなわけあるかい!」と突っ込みどころが満載。圧倒的なブルース・リーの存在感とクライマックスの超絶ハイレベルなバトルによって、映画を観た後の満足度は絶対的に高いのだが、逆にそこ以外はB級臭がプンプンする。1970年代の東南アジア映画はおしなべてそんなもんなのだが、ブルース・リーが出演することによってレベルの底上げがされているのだ。敵も海外の格闘家や悪徳日本人、さらには規格外な肉体の持ち主など、ゲテモノ感強め。ちなみに「MEG ザ・モンスター」の後にアサイラムが大量のパチモン・サメ映画を量産しているように、ブルース・リー死後にはブルース・リやブルース・ライ、ドラゴン・リーなど大量のニセ・ブルース・リー映画が誕生した。これらは「ブルースプロイテーション映画」というジャンルを形成しているので是非一度挑戦してみてほしい。
ブルース・リー特集
2026年5月2日(土)~5日(火・祝)
アクション映画の歴史を塗り替えたカンフー映画の原点。武道の哲学と礼節が息づく、ブルース・リー主演作を紹介する。「ドラゴン」シリーズから「死亡遊戯」まで伝説の4作品がそろった。
放送作品
- 「ドラゴン危機一発」
- 「ドラゴン怒りの鉄拳」
- 「ドラゴンへの道」
- 「死亡遊戯」
「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
2026年5月6日(水・振休)
理屈を超えて体感するアクションはここにもある。ジョージ・ミラーが監督を務め、アカデミー賞6部門を受賞した「マッドマックス 怒りのデス・ロード」も放送。荒野を舞台に、二輪・四輪の改造マシンが砂塵を巻き上げて疾走する迫力の映像が見どころだ。
※R15+指定作品

- 2026年5月2日(土)
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- 18:00~「ザ・メガロドン 怪獣大逆襲」
- 19:35~「ドラゴン危機一発」(4Kデジタル修復版)
- 2026年5月3日(日・祝)
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- 18:30~「ザ・メガロドン 大怪獣覚醒」
- 20:00~「ドラゴン怒りの鉄拳」(4Kデジタル修復版)
- 2026年5月4日(月・祝)
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- 18:30~「シャーク・ド・フランス」
- 20:05~「ドラゴンへの道」(4Kデジタル修復版)
- 2026年5月5日(火・祝)
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- 18:10~「PLANET OF THE SHARKS 鮫の惑星」
- 20:00~「死亡遊戯」(4Kデジタル修復版)
- 2026年5月6日(水・振休)
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- 18:00~「ムーンシャーク」
- 19:40~「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
※R15+指定作品

















































