スプリングスティーンが明かしたエルヴィス愛、音楽評論家・湯川れい子が来日時の交流述懐

2

12

この記事に関するナタリー公式アカウントの投稿が、SNS上でシェア / いいねされた数の合計です。

  • 2 8
  • 2 シェア

第38回東京国際映画祭が開催されている11月1日、ブルース・スプリングスティーンの若き日を描いた映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」のジャパンプレミアが東京・TOHOシネマズ 日比谷で開催された。上映前には、音楽評論家で作詞家の湯川れい子と、字幕監修を務めた音楽評論家・五十嵐正が登壇。1985年のスプリングスティーン初来日時に取材し、その後も本人と会う機会があった2人が、当時の思い出や映画の見どころを語り合った。

五十嵐正(左)と湯川れい子(右)が「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」ジャパンプレミアに登壇

五十嵐正(左)と湯川れい子(右)が「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」ジャパンプレミアに登壇

大きなサイズで見る(全21件)

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は、1982年リリースのアルバム「ネブラスカ」創作の舞台裏に焦点を当てた物語。大ヒット作「Born In The U.S.A.」発表前夜、名声の影で深い孤独と葛藤に揺れ、キャリアの岐路に立つスプリングスティーンの姿が描かれる。「クレイジー・ハート」の監督スコット・クーパーが、再び音楽をテーマに人間の内面に踏み込んだ作品を完成させた。

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」ポスタービジュアル

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」ポスタービジュアル [拡大]

まずは五十嵐が、「監督は『クレイジー・ハート』の成功を経て、ミュージシャンの伝記映画を撮ってほしいと無数の依頼があったそうです。例えばエルヴィス・プレスリー、マイルス・デイヴィス、チェット・ベイカー、グレイトフル・デッド……大物の企画がいっぱい来たけど、すべて断ったそうです」と解説する。そしてクーパーが出会ったのが、映画の原作となった「Deliver Me from Nowhere(原題)」だった。同書は元ミュージシャンのウォーレン・ゼインズが、ライターおよび音楽評論家に転身して「ネブラスカ」の制作過程を記した音楽評論。五十嵐は「小説や自伝的な“盛った”ところがないので、監督は『これはイケる!』と思ったのでは」と制作背景に言及した。

字幕監修を務めた音楽評論家・五十嵐正

字幕監修を務めた音楽評論家・五十嵐正 [拡大]

湯川は本作を「いわゆる音楽映画というより、人間ブルース・スプリングスティーンを深掘りした作品」と評し、「彼の音楽は1編1編が短編小説のよう。そんな彼をここまで見せてくれたことが、この映画の一番の素晴らしさ」とコメント。スプリングスティーン役で主演したジェレミー・アレン・ホワイトについても「(作中で)自らリトル・リチャードの歌も吹き替えなしで歌っていて、そのあたりもすごいです」と称賛した。

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」で若き日のブルース・スプリングスティーンを演じたジェレミー・アレン・ホワイト

「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」で若き日のブルース・スプリングスティーンを演じたジェレミー・アレン・ホワイト [拡大]

スプリングスティーンは1985年・1988年・1997年と過去に3回来日しており、湯川・五十嵐ともに本人と対面している。五十嵐が「1997年の来日時、ウェルカムパーティで湯川さんがブルースの隣で長く話されていたのが印象的。あのとき、何を話されていたんですか?」と尋ねると、湯川は「もうほとんど忘れちゃってるんですけど(笑)、本当に印象に残っているのは1つだけ。ブルースはエルヴィスに影響を受けて、ロックを目指した人。『エルヴィスのことは本当にお好きだったんですか? どこがよかったんですか?』と伺って、『Everything(すべてだよ)』とおっしゃったことを鮮明に覚えています」と述懐。このエピソードには五十嵐も「映画を観たら『なるほど』と思うシーンがあります」とうなずいた。

音楽評論家・作詞家の湯川れい子

音楽評論家・作詞家の湯川れい子 [拡大]

トークの締めくくりに、湯川は「実在の人物が多く登場し、人間ドラマとしても音楽史としても、値打ちがあって楽しいものではないかと思います。とにかく観ていただくことが何より先決」と観客に呼びかける。五十嵐は「1人のアーティストが『ネブラスカ』という偉大なアルバムを生み出すまでに、どれほど精神的な苦闘を重ねたか。スプリングスティーンは『幸せになるよりも偉大な作品を作って、偉大なアーティストになりたい』と努力してきた人。その信念が描かれています」と力強く述べた。

ブルース・スプリングスティーンのファンに囲まれる五十嵐正(中央左)と湯川れい子(中央右)

ブルース・スプリングスティーンのファンに囲まれる五十嵐正(中央左)と湯川れい子(中央右) [拡大]

そして湯川は最後に「彼はニュージャージー出身だけど、ネブラスカは中西部でちょっと遠い。『ネブラスカには行ったことあるんですか?』と聞いたら、『もちろん行ってるよ。アメリカは、僕は本当にあちこち行ってるよ』という答えがあったことも申し上げておきます」と付け加え、イベントの幕を引いた。

第38回東京国際映画祭は11月5日まで開催。「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は11月14日に全国で公開される。

特集記事

この記事の画像・動画(全21件)

©2025 20th Century Studios

映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」日本版本予告

読者の反応

  • 2

ホヤ・コンパクタの葉っぱ🌿 @MAuxmarrons

11/1の上映前トークで見どころなどをお話して頂いた模様が詳しく書かれています。
#東京国際映画祭
#スプリングスティーン 孤独のハイウェイ https://t.co/wb60VAsdMz

コメントを読む(2件)

リンク

あなたにおすすめの記事

このページは株式会社ナターシャの映画ナタリー編集部が作成・配信しています。 スプリングスティーン 孤独のハイウェイ / ブルース・スプリングスティーン / スコット・クーパー / ジェレミー・アレン・ホワイト / 湯川れい子 の最新情報はリンク先をご覧ください。

映画ナタリーでは映画やドラマに関する最新ニュースを毎日配信!舞台挨拶レポートや動員ランキング、特集上映、海外の話題など幅広い情報をお届けします。