映画「
「アトロク」リスナー142名が招待された同試写会。まずステージに上がった宇多丸は、自身がアイドルの楽曲についての連載を続けていることを述べつつ「“恋愛禁止”については以前からずっと焦点にしてきた部分です。アイドル産業が持つ危うい部分を考えたり『何かを犠牲にしているのでは』と思ってきた身として、深田監督がそこにズバッと切り込んできたと感じています」とコメント。その後、観客と一緒に映画を鑑賞した。
上映後には深田、宇多丸、宇垣によるトークを実施。イベント前日に初めて本作を鑑賞した宇垣は「途中、引きつけを起こすくらい泣いてしまいました。どうしても当事者に近いまなざしで観てしまった」と切り出し、自身と照らしながら「運良く入った会社で、なぜか“こうあるべき”というアナウンサー像を求められることが多かった。でも私は(劇中の)彼女たちほど覚悟ができていなかったから『そんなつもりで入っていない』という気持ちになることが多かった」と吐露。ルールが“内面化”していくことへの恐怖にも言及し、「男の人と2人で外を歩くということはできるだけしないようにしてます。それが内面化されているから『できない』と思ってしまう」と言葉を紡ぐ。
本作を限られた層に届けるのではなく、それぞれの立場で考えてもらう“当事者性”を大事にしたという深田。宇多丸は劇中で描かれる「ライブ前のオフの段階」に共感しつつ「観客とは出会わないルートからエンタテインメントの世界に入ってくる。まだオフで眠いのか、ボーっとしているあの感じが……」と発言する。その言葉を聞いた深田は「冒頭のシーンは実際のアイドルのマネージャーにも取材をして書いた」と応じ、リアルさを追求したことを打ち明けた。
さらに宇多丸は、音楽を担当したagehaspringsを称賛。深田は「日本の典型的なアイドルソングは素晴らしいのですが、それはファンとアイドルの長年の信頼関係に根ざしているもの。日本のお客さんだったらある程度受容できるけど、海外ではちょっとハードルが高いだろう」と悩んでいたと述べ、プロデューサーからアイドルグループTomato n' Pineを紹介されたと回想する。そして楽曲に「音楽としても最高にいいが、ちゃんとアイドルソングにもなっている」と感銘を受けたことから、同グループを手がけたagehaspringsにオファーしたと説明。加えて振り付けを竹中夏海に依頼した経緯を話すと、当日客席に座っていた竹中から「アイドル業界の本当に腐った人間はみんな外圧に弱いので、監督みたいな視点から描いていただくのはすごく意味のあること」と映画の感想を伝えられる一幕もあった。
また、竹中からいろいろな話を聞いたという深田は「本当に深刻な性加害とか、そういった話も伺ったんですが、正直それって映画業界も同じなので。汚泥を見ていったらいくらでもある。だからどこまで描くのか、その匙加減はすごく難しかった。芸能事務所の悪辣さ、パワハラなどを描きすぎてしまって『それはこの暴力的な事務所が悪いだけで、うちは違う。でも恋愛はダメだよ、バレたらクビだからね』と逃げ道を残してしまうことはしたくなかった。だから芸能事務所を悪にするのではなくて、構造の問題を描くべきだと思いました」と述懐。「一見すると、ある種生ぬるい、良心的に見える事務所なんだけど、でもそこにはある種の抑圧と規制があるっていうような描き方にしたという感じでした」と振り返った。
イベントの中盤には観客からの質問コーナーも。前半部分と後半部分の色味の使い方が違っていたことに関して聞かれると、深田は前半の場面では3色を意識していたと言い、「実はこれ、(ハピ☆ファンの)メンバーカラーなんです」と明かした。
「恋愛裁判」は、1月23日より全国で公開される。
映画「恋愛裁判」本予告
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竹中夏海 @tknkntm
私くらいになると(?)皮膚科で洗顔したツラのまま試写会にお邪魔して話を振られて感想というより告発に近い話をし、それがそのまま映画ナタリーに載っても心が、凪です。我ながら勇敢だな
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