ブルース・スプリングスティーンの若き日を描いた映画「
「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は、1982年リリースのアルバム「ネブラスカ」創作の舞台裏に焦点を当てた物語。大ヒット作「Born In The U.S.A.」発表前夜、名声の影で深い孤独と葛藤に揺れ、キャリアの岐路に立つスプリングスティーンの姿が描かれる。
スプリングスティーンを意識したファッションで登場した吉田は「今日はデニムがドレスコードって聞いたんで(笑)」とジョークを交えて挨拶し、会場を和ませる。高校時代に初めてスプリングスティーンの存在を知ったと言い、「テレビ神奈川の音楽番組で『Born In The U.S.A.』を観たとき、星条旗を背にテレキャスターのギターを下げて拳を突き上げる姿に衝撃を受けた」と当時を振り返った。
その後、スプリングスティーンのアルバムをさかのぼっていくうちに、アルバム「ネブラスカ」に強く惹かれたという。「これまでとは毛色が違って、歌詞カードを見ると殺人犯の視点で書かれていたり驚きました。でも音の質感が好きで」と述べ、「この映画が『ネブラスカ』制作当時のブルースを描くということで、『それならいいよ』とブルース本人が映画化を承諾したと聞き、楽しみにしていました」と笑顔を見せた。
26歳で単身アメリカへ渡った吉田は、現地でスプリングスティーンのライブを体験した。「ギター1本で2時間。しびれました」と興奮気味に振り返る。渡米の経緯については「デビューして数年後、22歳頃に『一度休んで、勉強し直したい』と考えるようになって。その4年後に渡米しました」と説明。劇中でスプリングスティーンがキャリアの岐路に立つ姿に、自身の経験を重ねる一幕も。「おこがましいですけど、重なる部分はあるかもしれません。ハイリスクハイリターンじゃないですけど、人がやらないような道をあえて選んだり。長くやっているとそういう瞬間がありますよね」と静かに語った。
作品で描かれる“父と子”の関係にも深く共感したと話す。「父親って、ずっと向き合い続ける存在ですよね。成長の中で父の背を越えたり、『歳をとったな』と思う瞬間があったり。ブルースにもそんな関係があったことが伝わってきて、ファンとしてうれしかったです」と語る。また今年9月、妻・内山理名との間に第1子が誕生した吉田は、父となった今の心境にも言及。「この歳になっての子育てなので。とにかく自由に育ってくれれば。クラシックやジャズを聴かせても泣きやまないのに、ロックでピタッと泣きやむことがあって、『お?』って思いました」とほほえましいエピソードも披露した。
イベント終盤には、劇中で使用されていたギターと同型のギブソンJ-200が用意され、吉田がそのギターを手にスプリングスティーンの楽曲「Hungry Heart」を弾き語りで披露。大きな拍手に包まれながら、「ど緊張でした」と言いながらも満足げに拳を突き上げる。そして「『ネブラスカ』の頃のブルースが、何と闘い、どう生きていたのか。そういうものがじっくり見られる映画です。楽しんでいただけたら」と呼びかけ、熱気あふれるイベントを締めくくった。
「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」は11月14日に全国で公開。
映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」日本版本予告
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