本日4月25日、「
第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された本作は、足りない生活費を万引きで補いながら生きる一家の物語。カンヌへの出品は「海街diary」以来3年ぶり、7度目となる是枝は「できあがったばかりで先週が初号、今日が完成披露なので、事態が先に進んでいってしまっていて追いつくのに精一杯です」と心中を語る。
是枝組の常連で父・柴田治を演じたリリーは「監督からはずっと成長しない、でくのぼうのお父さんでいてくださいと言われた」と明かし、「こんなに長く撮影に参加したのは初めて。今回は終わってほしくないなとずっと思っている2カ月だった」と述懐。そして「家に帰って1人でぽつんとしているより、この家族たちといるほうがどんどん心地よくなってきて。いつも貧乏なランニング姿の祥太(治の息子の役名)が(撮影後に)本当のお母さんとおしゃれな服で帰っていく姿を見たくなかった」と話し、観客の笑いを誘う。さらに「こないだ樹木さんと取材を受けていたら『あんたが今着てるその服ちょうだい』って言われて、その場で取られたんですよ。『万引き家族』ならぬ“追い剥ぎ家族”ですよ」とエピソードを披露した。リリーが追い剥ぎされたという黒のセットアップを着て登壇した祖母・初枝役の樹木は「そんなに高そうでもないし、舞台挨拶にちょうどいいやと思って。前に(リリーに)あげたものがあるのでちょうどいいんですよ」とあっけらかんと述べる。
治の妻・信代役で是枝作品に初出演となった安藤は「是枝組に呼ばれるとは想像もしていなかったのでびっくりしました。周りの大先輩方が『俺たち、是枝組!』という感じなので、参加できるのが楽しみでした」と笑顔で話す。産後最初の作品となるが「特に先を考えてなかったのでこの作品があってよかったです」と続けた。
信代の妹・亜紀役の松岡が「樹木さんが私の顔に特徴がないって毎日毎日言ってくださって」と明かすと、樹木は「でもなんか人気があるみたいじゃない。観客動員お願いしますよ」とコメント。それを受けた松岡は「旬な感じのグループにはいます(笑)」と応答し、客席を盛り上げる。是枝組への初参加について「中高生の頃からいつかいつかと思っていましたが、想像よりも早く入れていただいた。でもまだ早かったなと思います」と述べ、「私が息する場所はここだったんだというくらいすごく息がしやすくて、温かくて風通しのよい場所でした」としみじみと撮影を振り返った。
樹木が「私はこれでご辞退させていただきます。寒くて早く帰りたくて本当に過酷な現場でした」と嘆くと、リリーが「毎回それ言ってますよ」とすかさずツッコむ。是枝は「髪を伸ばしたままがいいんじゃないかとか入れ歯を外してみたいと、衣装合わせのときに希林さんから提案していただいて。今回の作品は肉体をきちんと撮りたいと思っていたので、そういう演出意図を脚本を読んでくみ取ってくださったのではないでしょうか」と樹木の役作りに感心していた。
治の息子・祥太役の城、治が家に連れ帰る少女ゆり役の佐々木はオーディションで選ばれた。是枝は城については「座った瞬間にほぼこの子でいこうとピンと来ました。いつまでも見ていられると思いました」、佐々木については「家族と離れて部屋の隅でポテトチップスをつまむオーディションでの食べ方がよかった」とそれぞれの選出理由を明かした。
最後に是枝は「各世代で自分が一番撮りたいと思う、うまい役者を集めて映画を作りました。この現場に立ち会えていることが幸せだなと思う作品。濃密な時間を役者さんたちと一緒に作れたことが作品の中にみなぎっていると思いますので楽しんでください」とメッセージを伝え、イベントの幕を引いた。
「万引き家族」は、6月8日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にてロードショー。
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