第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された「
犯罪で生計を立てながら東京の下町でひっそりと暮らす一家の姿を描く本作。父・柴田治をリリー、治の妻・信代を安藤、信代の妹・亜紀を松岡、家族の“定収入”として年金を当てにされる祖母・初枝を樹木が演じる。また治の息子・祥太に城、治が家に連れ帰る少女ゆりに佐々木が扮した。
フランス現地時間5月14日の午前中に小雨が降る中行われたフォトコールには、約70名ほどのスチールカメラマンが集結。オレンジの色鮮やかなドレスを身にまとった松岡をはじめとした7人は、飛び交う目線やポーズのリクエストににこやかに応えた。前日の公式上映を振り返り、是枝は「どの経験も感慨深いが、昨日はこれまでで一番温かく感じる拍手が続いて、今まで映画を作ってきた20年間が報われた気持ちになった」とコメント。また城は「昨日は眠たく、途中寝ちゃって……最後のほう起きました」と明かし、佐々木も「眠かったです」と述べ周囲の笑いを誘った。
これまでも「誰も知らない」「そして父になる」「海街diary」など、さまざまな家族を題材に作品を生み出してきた是枝。会見では「ファミリードラマを撮り続けてきたが、今回は少し視野を広く持って、現代と社会と家族の摩擦をきちんと描きたかった。今までより社会に寄って、切り裂かれていく家族を描いてみたいと思ったんです」と主題を明かす。実生活でも妹がいる松岡は「お芝居をするきっかけは妹だった。子供の頃から同じ役を争ったりして、家庭の中で正直風通しがよくないこともあり、そういうときの気持ちが今回の役に通じるところがあった。現在は演技を辞め、新しい夢に向かって進んでいる妹の姿をたくましいと感じる」と語った。
本作で描かれる家族の一員になりたいと思ったという意見が飛ぶと、是枝は「この家族が実際にいたとしても日本で報道されたらただの犯罪者でしかない」と述べる。そして「ただ、カメラがあの家に入ったときに、報道だけでは伝わらない、ある種の豊かなつながりや僕たちが感じられない色や光があって、その姿を描くことによって、僕らの家族とか共同体というものが逆に照らされる、そんな存在としてあの家族を描きたかった」と続けた。
本作以外にも「モリのいる場所」「日日是好日」と公開作を控える樹木。多くの監督に起用される理由を尋ねられると「それは、いやー、わかりません……」と言葉を濁す。これを受け是枝は「監督側としてはすごく明快。僕は自分が作るものを希林さんに出ていただけるものにするために努力する。甘いままで彼女の前に立つとすぐに見透かされる。希林さんの前で恥ずかしくない監督でありたいと思う。そういう役者がいることは監督にとって非常に大切なこと」と樹木に敬意を払う。最初に行われた夏のシーンの撮影では、樹木のアドリブによってその後の脚本も手直しし、それが演出の指針になったという。
樹木と同じく是枝組の常連俳優であるリリーは「是枝さんにはいつも勉強させてもらっているのと同時に人生を彩っていただいている」とコメント。いい映画を作るという行為自体が「温かさを知ることにつながることを教えてもらった」と話し、「なので仕事という感覚はあまりないのかもしれない」と明かした。
第71回カンヌ国際映画祭は現地時間5月19日まで開催。授賞式には是枝が参加する予定だ。「万引き家族」は、6月8日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にてロードショー。
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- 「万引き家族」公式サイト
- 「万引き家族」本予告
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