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「三度目の殺人」是枝裕和、福山雅治、役所広司、広瀬すずがヴェネツィアに登場

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左から広瀬すず、役所広司、是枝裕和、福山雅治、ルドヴィコ・エイナウディ。(写真提供:Vittorio Zunino Celotto / 2017 Getty Images)

左から広瀬すず、役所広司、是枝裕和、福山雅治、ルドヴィコ・エイナウディ。(写真提供:Vittorio Zunino Celotto / 2017 Getty Images)

第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されている「三度目の殺人」の記者会見が、イタリア・ヴェネツィアで現地時間9月5日に行われた。

是枝裕和が監督を務めた本作は、福山雅治演じる弁護士・重盛が、役所広司扮する殺人犯・三隅の二転三転する供述に翻弄されながらも真実を追い求めていくサスペンス。広瀬すずが被害者の娘を演じた。

会見には是枝、福山、役所、広瀬、音楽を担当したルドヴィコ・エイナウディが出席。エイナウディの音楽について是枝は「海外の映画祭を回っていたとき、飛行機でたまたま彼の曲を耳にしたら風景が浮かんだんです。水や火、雪とか。そのときは名前が読めなかったのですが、メモして日本に戻りアルバムを買って、今作の脚本を書きながらずっと彼の曲を聴いていました」と述懐する。一方エイナウディは「コンサートのため東京を訪れたとき、編集中の映像を見せてもらったのがこの映画との出会いでした。黒澤明監督の名作『羅生門』にも通じると思いますが、さまざまな視点から物語が紡がれていて何が真実なのかわからない。そこが面白いと思ったので、『最後の最後まで現れない真実』というスピリットを持って作曲しました」と語った。

是枝の過去作「そして父になる」にも出演した福山は「是枝監督は原案、脚本、監督、編集を担当されていて、そのすべての工程を一番近くで見られるということは、このうえない贅沢な経験。すごく刺激を受けます。自分の活動や表現をフィードバックできる現場ですから、参加させていただけることにいつも感謝しています」とコメントする。

広瀬は「10代だからこそ、少女だからこそ見える大人の言葉、行動、母への思いなど、いろんなものを客観的に捉えるようにしていました。(斉藤由貴演じる)お母さんの話を一字一句聞き逃さないようにして、徐々に言葉のニュアンスが変わったり自分をかばうように話す姿を見ていると、新たな感情が生まれたりしました」と撮影を回想。そして役所は「監督からは『誰か嫌いな人を2、3人殺す練習をしたらどうですか』……なんて言われたりはしませんでしたけど」と冗談を交えつつ「撮影の最終日まで脚本が変わり続けましたが、監督がどの方向に私たち俳優を導いてくれているのかが手に取るようにわかりましたので、なんとかやりきることができました」と話した。

また是枝は「この映画を撮りながら、『人は果たして人を裁けるのか? 法廷は誰かを裁く場所なのだろうか? それとも誰かを救う場所なのだろうか?』と考えていました。たぶん、その答えはないのだと思います。作品を通して答えのない問いかけを続けるということが、映画監督にとって一番誠実な態度だろうと僕は考えています」と発言。さらに「謎がだんだん解けて犯人にたどり着くというのが王道だと思うのですが、今作はその逆です。シンプルなはずの事件が複雑になってわからなくなっていく。でも、決してお客さんを煙に巻こうとしているのではありません。取材を通して出会った弁護士たちの、判決が出たあと釈然としない感情を持ちながらも次の裁判に行かなくてはならないというもやもやした感覚を本作の主人公は感じるわけです。そしてその感覚をお客さんにも同じように体験していただくことを目指してこの映画を作りました」と思いを明かした。

「三度目の殺人」は9月9日より全国ロードショー。

(c)2017『三度目の殺人』製作委員会

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