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本作は、福山雅治演じる弁護士・重盛が、役所広司扮する殺人犯・三隅の二転三転する供述に翻弄されながらも真実を追い求めていくサスペンス。
本作を4回鑑賞したという熱烈なファンも集まる中、まず根岸季衣演じるアパートの大家が登場する場面について「監督らしいドキュメンタリータッチを感じましたが、彼女のセリフはアドリブですか? また接見室で三隅がやけどの痕をいじるシーンが好きなのですが、監督のアイデアでしょうか?」という質問が。是枝は「僕もあのシーンは大好きです。セリフは全部書いてありましたね。(三隅が)傷をむしって、なめるというのも台本に書いてありました。でも実際に役所さんがあの場でやっているのを見たら、台本を書いたときよりずっとゾッとしました。役所さんはご自身の中で役をたくさん膨らませてくださっていたので、あの役を自分で書いたとは思えませんね」と回答する。
さらにイベントでは、阿部寛主演の是枝作品と比較し、「『歩いても 歩いても』や『海よりもまだ深く』は父親と母親の両方が出てくると思いますが、福山雅治さんが主演の本作や『そして父になる』では母親は出てこず、冷めた父親が出てきます。主演が阿部さん、福山さんであるときに意識しているのでしょうか?」というコアな質問も。是枝は「たまたまですね。今回の話は、3組の父親と娘の話。弁護士と殺人犯と被害者、それぞれに“父親と娘の関係がうまくいっていない”という共通点を太く作っておきました。重盛のキャラクターに肉付けをしていくときに、母親より父親かなと思って、父親にしましたね」と答えつつ、「こんなところまで観られているなんて、怖いなあ」と笑った。
後半には、海外から来たファンに「初のサスペンスということで、以前の映画とまったく違う雰囲気で撮られていましたが、今後もサスペンスを撮りたいですか?」と問われた是枝。「霧が晴れるかと思えば、晴れないで終わるので、厳密に言うとサスペンスではないかなと自分では思っています。でも、カメラワークや美術、セットなどを含めて、ある種の犯罪映画という形を目指しながら撮った作品ではあります。僕としても珍しいアプローチだったと思いますね」と振り返るが、この先については「とても勉強になりましたし、面白かったけど、今後も撮るかなと思うとそうではないですね」と述べた。
最後の挨拶では、是枝が「すっきりはしないかもしれませんが、それが狙いだと言い続けている映画です。僕にとって『あれはどうだったんだろう』と話し合うことは、映画を観る体験の中でも大好きな時間ですから、それも含めて楽しんでいただけたらうれしいです。そろそろこの映画に決着をつけて次の作品に向かっていきたいところですが、まだまだ日本だけじゃなく海外にも広がっていくといいなと思っています」と話し、イベントは終了した。
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