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成海璃子と池松壮亮が恋に落ちる男女に、矢崎仁司が学園紛争の時代描く「無伴奏」

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「無伴奏」 (c)2015 「無伴奏」製作委員会

「無伴奏」 (c)2015 「無伴奏」製作委員会

「ストロベリーショートケイクス」を手がけた矢崎仁司の監督最新作「無伴奏」に、成海璃子池松壮亮斎藤工らが出演することがわかった。

本作は小池真理子の同名小説をもとにした青春ラブストーリー。1969年の宮城・仙台を舞台に、時代に流されるまま学園紛争に参加していた女子高校生が、大学生との恋をきっかけに大人の女性へと成長していく様子を描く。

主人公の野間響子に扮するのは、「神童」「ストレイヤーズ・クロニクル」の成海璃子。そして響子が恋に落ちる相手、堂本渉を第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した池松壮亮が務める。そのほか渉の友人・関祐之介役には斎藤工、関の恋人・高宮エマには遠藤新菜がキャスティングされた。

成海は、響子を演じるにあたり「作中で起こる全てのことを背負って生きていく役なので、覚悟を決めて背負おうと思いました」と心構えをしたと明かし、池松は渉を演じる上で「どの時代にもいる強さも弱さも持つ普通の男の生き様を見せられればと思いました」と述べた。そして矢崎は本作の時代背景に触れ、「あの時代の空気感を、あの時代に生きた人たちに観てもらい、あのとき吹いていた風を思い出してもらえたらうれしいです。それと同時に、今、主人公と同じ年齢の高校生や大学生たち含めて若い方たちにも、いつの時代でも変わらない反抗心や愛について感じてほしいと思います」とコメントを寄せている。

「無伴奏」は2016年に公開される。

成海璃子 コメント

響子は作中で起こる全てのことを背負って生きていく役なので、覚悟を決めて背負おうと思いました。
完成作品をまだ客観的に観ることは出来ませんでしたが、この現場に参加して良かったと、心から思いました。たくさんの方に観ていただきたいです。

池松壮亮 コメント

この作品のお話を頂いたとき、矢崎さん渾身の作品がまわってきたなと思いました。こちらがやりたいと思ってやれるような監督ではないので、飛び込んでみようと思いました。
渉を演じるにあたり、特にありませんが強いて言えば、どの時代にもいる強さも弱さも持つ普通の男の生き様を見せられればと思いました。
成海さんとは初共演ですが、とても面白かったです。沢山救われましたし、戦友のような存在です。完成した映画は、強度のある、深みのある矢崎映画となっていて、一先ずほっとしております。

矢崎仁司監督 コメント

小池真理子さんの小説は以前から好きで読んでいました。「無伴奏」の映画化の話を、5年くらい前に、あるプロデューサーからいただいたときは本当にうれしかったです。反面、こんな凄い小説を映画にできるのかという畏れもありました。だけど、生身の俳優たちで、この小説の登場人物たちを映し撮りたいと挑みました。
映画を作りはじめた頃から、ノーマルとかアブノーマルという言葉に疑問を持っていました。だから最初の長編映画「風たちの午後」は、女性同士の愛についての映画です。その後の「三月のライオン」は、兄と妹の愛の映画です。ですから、当然私がこの原作「無伴奏」に巡り合うのはある意味宿命だと感じます。私は今の社会で、誰もが正しいと信じて疑わないことこそ、大きなクエスチョンマークをつけるのが芸術家の仕事だと思っています。
いつも映画を作るたびに、私はなんてラッキーなんだと感じます。映画とは旅に似ていると思います。旅の途中、いろんな人に出会って、映画のエンドマークまで。そして、この映画を観てくれた人たちに出会う訳ですけど。製作途中の旅では、素晴らしい俳優たちに出会ったと思っています。成海さん、池松さん、斎藤さんほか、皆さん素晴らしかったです。何度助けられたか解りません。エンドで涙が零れてしまうのは、彼女、彼らが本当に苦悩しながら諦めないでカメラの前に立ち続けたことを私が知っているからなんです。
日本中が学園紛争の嵐のなかで、地方都市で思春期を過ごした一人の少女の成長物語な訳ですが、あの時代の空気感を、あの時代に生きた人たちに観てもらい、あのとき吹いていた風を思い出してもらえたらうれしいです。それと同時に、今、主人公と同じ年齢の高校生や大学生たち含めて若い方たちにも、いつの時代でも変わらない反抗心や愛について感じてほしいと思います。

小池真理子 コメント

「無伴奏」は、作者自身の高校時代を描いた作品です。時は1960年代の終わりころ。当時、仙台で高校生活を送っていた私の、これはまさに、永遠に色あせない思春期の記録でもあります。
学園紛争があり、反戦フォーク集会があり、音楽、映画、文学、演劇など、すべてのサブカルチャーが一斉に塗り替えられて、学生たちの誰もがじっとしていられなかった時代でした。タイトルの「無伴奏」というのは、当時、仙台に実在したバロック喫茶の名前です。多くの若者たちがバロック音楽を聴きながら本を読み、思索にふけり、議論をし、幾多の恋が生まれたり消えたりしていました。
その、貴重な思春期の想いが詰まっている店を舞台にして小説を書いてから、すでに25年の歳月が流れました。矢崎仁司監督からの熱心な映像化の依頼があったのは、2010年。喜んでお受けしたものの、翌年には東日本大震災が起こります。中断に次ぐ中断を繰り返し、長い時間をかけながらも、しかし、監督の、この作品に向けた強い愛情はつゆほども揺るがずにいて、このたび映画は完成の運びとなりました。
試写を観ながら、私は客席で胸熱くし、自分自身のあの時代を思い返していました。時代背景の何もかもが、繊細に丁寧に描かれていて、私自身がスクリーンの中のどこかに隠れ、あの時代を生き直しているような感覚を味わいました。
矢崎監督と私は同世代。監督と原作者の、あの時代に向けた特別の想いが混ざりあって、またとない化学変化を起こしたのかもしれません。「無伴奏」の店内も完璧に再現されました。俳優さんたちの、役になりきった瑞々しい演技。近年まれにみる映像美の数々。どれをとりあげても、この映画にかかわったすべての方々の無垢な情熱が感じられます。
多くの方々にご覧いただきたいと切に願っています。

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