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ジャンプ編集部を完全再現!大根仁監督「バクマン。」制作現場レポート

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大根仁監督 (c)2015映画「バクマン。」製作委員会

大根仁監督 (c)2015映画「バクマン。」製作委員会

大場つぐみ小畑健によるマンガを実写映画化した「バクマン。」。2人の高校生がマンガを共作し、週刊少年ジャンプでの連載を目指す文化系青春映画だ。映画ナタリーでは編集作業中の大根仁監督を訪ね、10月の公開より一足早く制作裏話を聞いてきた。

「この企画は2011年の『モテキ』公開中、地方を回っているときにプロデューサーに振られたのが最初。脚本には2年くらいかかりました。20稿以上書き直したんですよ。本当にすごく難しかったですね」

そんな産みの苦しみを経て「バクマン。」は動き出した。抜群の画力を持つ真城最高を佐藤健、彼と組んで原作を担当する高木秋人を神木隆之介が演じる。

「神木はそんなに心配していなかったんだけど、健が童貞に見えるかどうかが一番不安だったんですよ(笑)。でも、最初の衣装合わせで制服とジャージを着た姿を見て『あっ、いける! 大丈夫だ』って」

大根監督の思いとは裏腹に、主演2人のキャスティングが発表された2014年5月、巷では「配役、逆じゃない?」というツッコミの嵐が吹き荒れた。

「え?って思うくらい世間の反応は意外でした。Twitterが炎上とは言わないまでも、すごいことになっていて。キャスト発表の日、家に帰ってNHKのニュースを見たら、今日のトレンドワードとして『バクマン 逆』って出てた(笑)。でも俺、逆境に置かれないと燃えないんですよ。『バクマン。』は準備からスムーズに進んでいて物足りない感じもあったから、クランクイン直後のその騒ぎで『よし、待ってろよ! 逆の逆だった!って言わせてやる』と逆に俺のやる気が出ました(笑)」

「マンガ原作をやるときは、映像ならではの表現で原作に勝てる部分があるかを考える」と話す大根監督。「今回でいうと、マンガを描くのって基本的に紙に鉛筆やペンを走らせる地味な作業なので、さすがにそのまま撮ったら単調になってしまう。エンタテインメント映画としてはもうちょっと何か欲しい」と思い、撮影前にリサーチを重ねたそうだ。

「売れっ子の小畑(健)さんから新人まで、ジャンプ作家の仕事場を見学させてもらいました。まだ持ち込みをしている人たちも含めて10軒くらい。特に小畑さんの所はすごかった。カリカリとペンを走らせているだけなのに、売れている作家の緊張感があって『戦場ですね、ここは』という感じ。前にマンガ家の知り合いからも『やっていることは地味だけど頭の中はすごいことになっている』と聞いたことがあって、面白いなと思ってたんです。そういうマンガ家たちの戦いを、CGなどを使っていろいろな形で表現しました」

「俺の映画はだいたい部屋が汚いって言われます」と笑う大根監督は、自称「隙間恐怖症」。「モテキ」では主人公の部屋がサブカルグッズの博覧会と化していたが、「バクマン。」のセットにも、ドン・キホーテの店内さながらに物が詰め込まれている。なかでも手強かったのは週刊少年ジャンプ編集部だった。「普段からいろんな出版社に行く機会が多いんですけど、あんなに汚い編集部は見たことがない。すごいですよ。何十年もトップを走り続けてるってこういうことかと。それを空っぽのところから作って再現するのは本当に大変でしたね。でも実は山田(孝之)くんが最初に原稿の山から出てくるシーンは、実際の編集部で撮ってるんです」。

最高と秋人の仕事場は、最高の叔父でマンガ家の川口たろう(宮藤官九郎)が生前使っていたという設定。所狭しとマンガや資料が並べられているので、思わぬお宝グッズが発見できるかも。

「俺にとってのジャンプ黄金期は『Dr.スランプ』や『ストップ!! ひばりくん!』が連載されていた80年代。映画にも趣味が反映されてますね。川口たろうは江口寿史先生や、ゆでたまご先生のファンっていう裏設定があるんですよ。彼が手塚賞のパーティで2人にもらったサインが部屋に飾ってあります。江口先生には、作中の設定とあわせて『87年ぐらいのタッチで』ってお願いして描いてもらいました」

また「ジャンプを代表する言葉『友情・努力・勝利』の物語にしようと思った」と語る大根監督。「男2人のバディものでもありながら、チームものでもある感じを出そうと。だから、それぞれのキャラクターに思い入れがありますね」という言葉通り、染谷将太演じる新妻エイジをはじめ、ほかのマンガ家たちの仕事場も個性たっぷりに作り込まれている。この場所でどんな物語が生まれるのか想像しながら、10月の劇場公開を待とう。

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