Base Ball Bear、満員野音に爽やか夏風を吹き込む

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Base Ball Bearが6月27日、東京・日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ「日比谷ノンフィクション」を開催した。

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関根に初号機を演じるよう指示し、「俺、シンジやるからさ」と主人公の碇シンジ役を買って出た小出。そんな2人の微妙なやりとりを、湯浅と堀之内は温かい目で見守った。

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Base Ball Bear史上最長ツアー「LIVE MATHEMATICS TOUR 09」を経て行われたこの日のライブ。チケットは即日完売し、会場は立ち見客を含め各地から集まった大勢のファンに埋め尽くされた。

天気は薄曇りと梅雨時にしては、上々の天候。時折心地良い風が吹く中、観客は入り口で配られた団扇を扇ぎながら、期待感を膨らませながらライブの始まりを今か今かと待つ。

定刻から数分過ぎ、SEが止み小出祐介(Vo,G)がステージに登場。小出は丁寧に観客に挨拶をすると、ステージ後方に吊るされていた巨大な黒い幕に手をかける。すると「日比谷ノンフィクション」の文字が書かれた横断幕が姿を見せ、客席からは感嘆の声があがった。

横断幕の出現が合図となり、関根史織(B)、湯浅将平(G)、堀之内大介(Dr)が次々とステージ上に。そして「こんばんは。Base Ball Bearです」という挨拶に続き、「image club」でライブは始まりを告げた。リズム隊の叩き出す太いグル―ヴとエッジの効いたギターをバックに、ボーカルは空気を伝いどこまでも伸びていく。続いて「ELECTRIC SUMMER」では関根の涼やかなコーラスが、ひと足早い夏気分をオーディエンスに提供した。

「YUME is VISION」を演奏し終えたところで1回目のMCへ。小出は「本日は『日比谷ノンフィクション』にお越しいただき、誠にありがとうございます」と丁重に挨拶。さらに“雨バンド”と呼ばれていることを引き合いに出し、「今日は晴れてたのにだんだん曇ってますが……。10日前の天気予報では今日は雨だったわけで、雨バンドの汚名は返上できてると思います」とニヤリとしながら語った。

少しまったりした空気を払しょくするように、その後は「ラビリンスへのタイミング」で攻撃的な一面を見せつける。「彼氏彼女の関係」ではイントロのギターが鳴った瞬間に美しい手拍子が鳴り、「GIRL FRIEND」では歌い出しと同時にoiコールが空高く響き渡る。ライブアンセムとも言うべき楽曲の連続に、オーディエンスの熱気は高まるばかり。それに呼応するように、4人は紡ぎだすアンサンブルは曲が進むごとに結束力を強めていった。

「今日は国民が楽しみにしていたと思うんですよ」という小出の言葉から始まった2度目のMC。大げさにも自分たちの野音公演のことを指しているのかと思わせておいて、一呼吸置いて「ヱヴァの公開じゃないですか」と公開されたばかりのアニメ映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の話を持ち出し会場を笑わせる。さらに「ヱヴァのキャラの中で関根さんが似てるキャラがいるんですよ……。初号機なんですけど」と言い出し、関根の体型とヱヴァネタを絡ませながらトークを展開。さらに「初めて会ったときに肩がすごくて。水泳部だったからなんですけど、あまりに初号機に似てたからバンドに入れたと言っても過言じゃないです」と、関根加入秘話を明かしファンを爆笑させた。

小出のヱヴァ愛にあふれたトークはその後も止まらず、関根に初号機の真似を強要する場面も。関根はムチャ振りに「えー?」と躊躇を見せつつ、初号機の動きと声真似を披露しオーディエンスをおおいに沸かせた。しかしふざけてばかりはいられないと気付いたのか、小出はライブがノンフィクションをコンセプトにしていることを語り出す。「僕らのありのままのノンフィクションを見てもらいたいと思いつつ……」と、言葉とは裏腹にドープ感が漂う「FICTION ONCE MORE」へと繋げた。

夜の匂いが漂い始めた頃、「今日のライブは1回だけの特別な日だから、Base Ball Bearの歴史の中で一番古い曲をやります」という言葉に続いて始まったのは「ホワイトワイライト」。湯浅の弾く切なげなギターの音色がノスタルジックなムードを作り出し、青春色の濃厚な歌詞世界とともにオーディエンスを魅了した。

夕暮れどきに似合うナンバーを経て、怒涛の後半戦は「夕方ジェネレーション」からスタート。横断幕が落ちると、まばゆいライトがステージ上を赤々と照らし、「ホワイトワイライト」でチルアウトした空気を加熱させていく。その後は「真夏の条件」「ドラマチック」「WINK SNIPER」「海になりたい」「Crazy For Youの季節」といったアッパーチューンが次々とライブを彩った。本編のラストナンバー「LOVE MATHEMATICS」ではシンプルな照明が4人の姿をくっきりと浮かび上がらせ、ステージをドラマチックに演出。4人はスリリングなアレンジをステージ上で再現しながら、オーディエンスを煽っていく。そして息を合わせて最後の1音を鳴らすと、名残惜しそうにしながらステージを去っていった。

盛大なアンコールに応え、4人はオーディエンスに配られたものと同じ団扇を持って登場。客席からはメンバーを呼ぶ声が飛び交い、アイドルのコンサートさながらの雰囲気に。それを受け、小出は照れくさそうな表情で「俺たちだけ名前で不公平だもんね」と言い、「みんな!」とオーディエンスを呼んだ。

しばらくファンとコミュニケーションを取った後は、「『次のTUBEのポジション狙ってるの?』とか言われてますけど、やっと資生堂さんが僕らの存在に気付いてくれて。僕らほど夏が似合うバンドはいません」と断言。夏バンドぶりをアピールしたところで、「シーブリーズ」のCMのために書き下ろされた新曲「BREEEESE GIRL」で涼しげな夏風を送り込んだ。ライブの定番「祭りの後」で一旦アンコールが締めくくられるが、オーディエンスはまだ足りないとばかりにダブルアンコールを求める声を上げる。

その声援を受け、4人は満面の笑みを浮かべながらステージ上に。小出は「これを言ったらやらなきゃいけないんですよ……」ともったいぶりながら、2010年1月3日に日本武道館でライブを行うことを報告。その瞬間少しゆるんでいた会場の空気は、大きな拍手と歓声に打ち破られ、驚きと興奮にあふれたものへと変わった。

「皆さんのお陰で、とうとう武道館をブッキングすることになりました。でも、本当にやっていいんですか?僕なんて音楽やってなかったらDVD観てるだけの男なんですよ?」と自虐的に語る一方、「(武道館は)僕らにとってゴールでもないですから」と強気にコメントをした小出。Base Ball Bearの決意表明とも言える頼もしい言葉に、オーディエンスは大きな拍手を贈った。

ダブルアンコールを飾ったのは「HIGH COLOR TIMES」。「これからも皆さんに色とりどりの音を届けていきたいという願いを込めて……」という思いを現すように、鮮やかな照明の下で4人は1音1音を丁寧に重ねていく。キラキラとしたサウンドはオーディエンスの笑顔を呼び、ライブは爽やかな余韻を残したままフィナーレを迎えた。

Base Ball Bear「日比谷ノンフィクション」セットリスト

01. image club
02. ELECTRIC SUMMER
03. YUME is VISION
04. ラビリンスへのタイミング
05. 彼氏彼女の関係
06. 東京ピラミッド
07. GIRL FRIEND
08. FICTION ONCE MORE
09. 気付いてほしい
10.愛してる
11.ホワイトワイライト
12.夕方ジェネレーション
13.真夏の条件
14.ドラマチック
15.WINK SNIPER
16.海になりたい
17.CRAZY FOR YOUの季節
18.LOVE MATHEMATICS
<アンコール>
EN1.BREEEEZE GIRL
EN2.祭りのあと
<ダブルアンコール>
21.HIGH COLOR TIMES

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読者の反応

あぐりも @agrimo_myb

Base Ball Bear、満員野音に爽やか夏風を吹き込む https://t.co/15IZmOSgl9

2009年の最初の日比谷ノンフィクションの記事だけど、この時1回目の武道館の発表あったんだね〜。FICTION ONCE MORE聴きたいし、image clubはじまりもいいな。エヴァ破公開日だったから見てから野音行ったことまで覚えてる

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