My Hair is Bad「信じててよかった！」超満員のクアトロワンマン

My Hair is Badが12月14日にワンマンライブ「師走の虎」を東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催した。

バンドにとって初めての渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブは平日にも関わらずソールドアウト。椎木知仁（G, Vo）が終始「僕らのライブで後悔すると思いますか？ させません」「『マイヘアよかった』なんて言わせるつもりないです。『最高だ』って言わせます」と自信をのぞかせていた通り、バンドは超満員の観客の前で、堂々たるパフォーマンスを繰り広げた。

定刻ちょうどに椎木、山本大樹（B, Cho）、山田淳（Dr）の3人が登場する。薄暗い中、椎木はギターを爪弾きながら「新潟県の上越市から来ました、My Hair is Bad始めます」と挨拶し、タイトル通り真っ赤なライトに照らされたステージで「真赤」を歌い始める。ベースとドラムが加わるとサウンドは重みを増し、椎木と山本が勢いよくジャンプしたり、山田が髪の毛を振り乱しながらダイナミックにプレイしたりと、3人は1曲目から迫真のパフォーマンスで観客を魅了した。

曲が終わると、椎木が「お待たせ！ 12月14日、渋谷CLUB QUATTRO、ワンマンライブ、新潟県上越のロックバンド、My Hair is Bad、始めます！」と再び声を上げ、バンドは「18歳よ」「マイハッピーウェディング」といったアップチューンを連投していく。椎木は歌詞やメロディをところどころ変え、まるで自身の近況を独白するかのように歌唱。また曲間には「ねえ、どんな感じですか？」「誰のために？ なんのために？」と自身やファンに問いかけるように言葉を重ね、ファンは彼の言葉にじっと聞き入っていた。椎木はアドリブの弾き語りをはさみながらライブを進行。自身の過去の恋愛を回想するかのような一人語りを交えて「まだ、ほどけて」や「白熱灯、焼ける朝」を歌い上げ、観客を楽曲の世界に誘っていった。

9曲を終えるとようやくバンドはMCヘ。椎木は昔、自身が追いかけていたバンドのライブを観るために渋谷CLUB QUATTROに来たこと、それゆえに同会場が思い入れのある場所であることを明かし、「今、夢が叶ったような気分です」と笑顔を見せる。またツアーの一環でない、単発のワンマンライブで渋谷CLUB QUATTROをソールドアウトできたことを素直に喜び、ファンへ感謝の気持ちを述べた。

そしてバンドは高校生のときに作ったという「月に群雲」をプレイする。曲の終盤にある「僕が生きてるよ」というフレーズではファンから大合唱が発生した。そこから3人は勢いを加速させ、なだれ込むように「クリサンセマム」「ディアウェンディ」と次々に楽曲を連投していく。椎木が「どこまでもいこうぜ！」と焚きつけた「クリサンセマム」ではファンが拳を上げて感情をむき出しにし、「友達になりたい」では椎木がフロアへダイブする一幕もあった。

「友達になりたい」を終えると椎木がフロア最前列の柵の上に立ち、肉声でMCを始める。彼は「ついに来たぞ！」と叫び、バンドの結成からこれまでを簡潔に振り返る。そして渋谷CLUB QUATTROでのワンマンをソールドアウトできた理由を「俺らはドカンって売れたわけではない。じゃあ何をしてたかって言ったら、ライブをしてました」と語り、続けて「信じててよかった！」と喜びを爆発させると、観客からは温かい拍手が送られた。椎木はステージに戻ると、ギターの弦が切れていることに気付くも「これくらいのほうがいいだろう」と、気にせずアドリブの弾き語りから未発表曲「フロムナウオン」へ。だんだん激しくなっていくバンドのサウンドに負けじと、椎木は声を荒げながら「俺はここまでやってきたことを全部◯だとは思わない。たくさん×もやってきた。その結果が、このステージだ！ ◯か×か△で選ぶんじゃなくて、やってみろよ！ 僕らにある選択肢は、やるかやらないか！」と熱くメッセージを送り続けた。

椎木が弦の切れたギターから、中学生の頃初めて買ったというレスポールに持ち替え「このギターで作った歌をやります」と説明し、バンドは「最近のこと」を披露。それまでの激情的なライブから一転、3人はゆったりとしたミディアムチューンを、互いに向き合って丁寧に届けた。

バンドはさらに、椎木の熱い言葉をはさみながら、「悪い癖」や椎木が「自分の日記みたいな曲だから絶対売れない」と自虐的に言ってみせた新曲（タイトル未定）をプレイした。椎木は表情をゆるめると、最後に「いつまでもこの曲が歌えますように」とつぶやき「優しさの行方」を歌う。そのまましっとりと終わるかと思いきや、椎木が「最後までドキドキして帰ってほしい」と告げ、バンドは再び熱量を上げて「アフターアワー」を投下。山本は勢いよく足を蹴り上げ、山田も立ち上がって力の限りドラムを叩くなど、バンドは渾身のプレイを見せ、ステージを降りた。

アンコールでバンドはさらに新曲（タイトル未定）をドロップ。3人はサビに向かうにつれて開放感の広がるサウンドで、場内のムードを明るくしていく。そしてフロアを見渡したかと思うとショートチューン「エゴイスト」をアグレッシブに叩き込みアンコールを終えた。しかしファンが彼らを呼ぶ声はやまず、メンバーはみたびステージへ。何も言わずに椎木が歌い始めた「夏が過ぎてく」でファンを熱狂の渦に巻き込むと、バンドは約2時間におよんだワンマンライブの幕を大盛況のうちに下ろした。

なおMy Hair is Badは1月11日に愛知・名古屋CLUB QUATTROにて自主企画イベント「月下美人」を開催するほか、1月18日には福岡・Queblickにてワンマンライブ「睦月の狼」を、3月18日には奈良・生駒RHEB GATEにてワンマンライブ「弥生の雀蜂」を実施する。