和楽器バンド、初の野外ワンマン成功させ全国ツアー終幕

和楽器バンドが10月11日に東京・日比谷野外大音楽堂にて全国ツアー「和楽器バンド 1st JAPAN Tour 2015」の最終公演を実施。約3000人を前に21曲を披露した。

開演時間を迎え、明滅するライトを浴びながらステージ後列にいぶくろ聖志（箏）、山葵（Dr）、黒流（和太鼓）が、前列に鈴華ゆう子（Vo）、亜沙（B）、神永大輔（尺八）、町屋（G）、蜷川べに（津軽三味線）が登場。バンドは歓声を上げるオーディエンスに向かってまずアグレッシブなロックチューン「戦-ikusa-」をぶつける。楽曲に合わせて黒流が掛け声を発すると、オーディエンスも「オイ！ オイ！」と声を上げて紫色の光を放つペンライトを振った。

開始早々に観客をハイテンションにしたバンドは「いろは唄」「Perfect Blue」を続けざまに披露する。鈴華は「全国ツアーファイナル！ 今日は最後まで楽しんでいきましょう！」と呼びかけ、扇子を振りながら歌唱。ステージ前列の奏者4人は大きくヘッドバンギングしたりステージを縦横無尽に動き回ったりしながらのびのびと演奏する。「六兆年と一夜物語」ではいぶくろと蜷川がそれぞれソロプレイを披露。鮮やかに鳴り響く和楽器の音色に客席から感嘆の声が上がった。

鈴華はMCで「初野外ワンマン、この場所に来てくれたみんな本当にありがとう！ 外は気持ちいいですね。この日を迎えるまで天気予報が気になってしょうがなかったです（笑）」と話す。和楽器にとって大敵である雨天に見舞われることなく当日を迎えたことを喜ぶと、オーディエンスからは大きな拍手が起こった。そしてバンドは鈴華と町屋のツインボーカルが鮮烈な「脳漿炸裂ガール」、亜紗が強靭なベースを轟かせた「吉原ラメント」といったボカロ曲で観客を踊らせ、さらに黒流が豪快な手さばきで魅せた和太鼓ソロコーナーや軽快なサウンドのインスト曲「焔」など多様な演目で観客を惹きつける。叙情的な「暁ノ糸」では鈴華が扇子をひらひらと動かしながら伸びやかに歌い上げた。

メンバー間の仲のよさを感じさせる雰囲気のMCをはさみつつ、和楽器バンドはライブ後半も多彩な楽曲を届けていく。町屋が「それぞれの故郷を思って聴いてください」と話して「郷愁の空」を披露したあとは、黒流と山葵が和太鼓とドラムの応酬で会場を盛り上げる。「なでしこ桜」では野音のステージが桜色の照明で彩られ、本編ラスト「華振舞」では客席で無数のタオルが回された。

アンコールを求めるファンの間で自然発生した「暁ノ糸」の合唱がどんどん大きくなっていく中で8人は再登場。彼女たちはこの公演で終了となるツアーを振り返り、鈴華は「決してこの8人だけでは成し得なかった」と自分たちを支えるファンやスタッフに改めて感謝の言葉を告げる。そして彼女は「今日というこの日を絶対に忘れません。ツアーファイナル、野外。特別な日になりました」と話して「千本桜」を火薬の炸裂音とともにスタートさせ、再びオーディエンスを興奮状態にしたあとで最終曲「地球最後の告白を」をプレイ。万雷の拍手に包まれながら「また会おうね！」と言葉を投げかけ、全国ツアーを締めくくった。

和楽器バンドは11月7、8日に台湾公演を実施。2016年1月6日にはバンドにとって初となる東京・日本武道館公演を行う。