来年2月に上演される「
「黒百合」は泉鏡花が明治32年(1899年)に発表した長編小説。富山・神通川流域で繰り返される洪水被害と、立山に伝わる黒百合伝説を背景にした同作を、藤本有紀の脚本、杉原邦生の演出、宮川彬良の音楽で立ち上げる。
本作参加への決め手を問われると、土居は「邦生さんです!」と即答。「これまで2回ご一緒していますが、稽古も本番も本当に楽しくて、邦生さんの作品だったらどんな作品でもやりたいと思っていました。なので、お声がけいただいて、本当にうれしいです」と笑顔を見せる。
作品の印象を「すごく広がありがあるというか、想像力の舞台だと思います」と語り、「ト書きがとても美しいんです。たとえば“夢のように現れる”って、舞台上でどう表現するのかすごく楽しみですし、こんなにどうなるか想像がつかない作品は初めてかもしれません。いろいろな可能性がある作品だと思うので、あまり決め込まずに冒険できたらと思っています」と話す。
役については「勇美子はとても多面的で、いろいろなふうに取れる役なので、私1人で考えるより、稽古場で皆さんとフラットに役に向き合ってみたいなと思っています。邦生さんとは作品についてまだあまりお話しできていないのですが、先日ポロッと、『勇美子はすべてを見ている人だからね』とおっしゃっていて、なるほどなと。わがままなお嬢さんのような印象がありつつ、戯曲を読み進めていくとそれだけではなくてもっと包容力があったり、人間なのかもわからない感じがあったり(笑)。いろいろなアプローチができそうで楽しみです」と笑顔を見せた。
近年は映像にも活動の場を広げている土居。改めて舞台への思いを聞くと「舞台は絶対にずっと、やりたいんです。ずっとバレエをやっていたこともあって、舞台も劇場も好きですし、一番呼吸ができる場というか、細胞が喜ぶ感じがします(笑)」と頬を緩ませた。
なお本作は、勇美子が花売りの娘・雪に“魔所”に咲くとされる幻の花・黒百合を取ってくるように言ったところからすべてが始まる。この黒百合について、植物の百合として捉えているのか、何かの象徴として捉えているのか、現在の土居の考えを尋ねると、「『手に入れたいけれど手に入らないもの』というセリフがあるのですが、難しくても追い求めてしまうもの……たとえば夢だったり、渇望しているものだったりの象徴なのかなと。なかなか手に入らない、というところがポイントなのではないかと思います。でもそれを勇美子が自分で取りに行かず、なぜ雪に鳥に行かせたのかは謎なのですが。私だったら、自分で取りに行くんだけどな!」、そう話して場を和ませつつ、「稽古が楽しみです!」とにっこり微笑んだ。
本作には土居のほか、木村達成、岡本夏美、白石隼也、白石加代子、また村岡希美、田中佑弥、新名基浩、猪俣三四郎、内田靖子、鈴木菜々、佐藤俊彦、大西多摩恵、外山誠二らが出演。チケットの一般前売りは12月14日にスタート。
黒百合
開催日程・会場
2026年2月4日(水)〜22日(日)
東京都 世田谷パブリックシアター
スタッフ
原作:泉鏡花
脚本:藤本有紀
演出:杉原邦生
音楽:宮川彬良
出演
木村達成 /
スウィング
小林宏樹 / 松本祐華
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【会見レポート】杉原邦生演出「黒百合」に土居志央梨が思い語る「舞台は一番、呼吸できる場所」
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